こころの維新

一条真也です。

京都大学「こころの未来研究センター」の研究報告会2日目です。
朝一番で、鎌田東二先生の基調報告を聞きました。
テーマは「こころの練り方〜モノ・ワザ・身体・場所を通して」でした。
日本の伝統文化の中で「こころ」がどのように捉えられ、いかなる鍛えられ方(練られ方)をしたかを、日本の思想史の事例から探るという内容でした。
それを通して、「こころと生き方」領域における問題のあり方を考えさせられました。
鎌田先生は、「こころの練り方」の伝統を『古事記』すなわち日本神話、聖徳太子最澄空海世阿弥白隠本居宣長夏目漱石宮沢賢治などの思想と表現の中から探りあて、それぞれの時代を特質や課題を示されていました。最後には、「解器(ほどき)」制作を通して「こころの練り方」が見えてきたという話をされていました。
鎌田先生とわたしが話していたら、図案研究家の秋丸知貴さんという方から「おお、リアル・ムーンサルトレターですね!」と声をかけられました。なんでも、秋丸さんは、毎月、「ムーンサルトレター」を楽しみに熟読されているとか。
そんな言葉をかけられると、本当に嬉しくて仕方がありません。

             
鎌田東二先生と


カール・ベッカー先生の「生きがい感と心身のケア」も、河合俊雄先生の「近代意識の過去と未来とその周辺」も非常に興味深く、考えさせられる内容でした。
人間の「こころ」をトータルに追求するという「こころの未来研究センター」の志はあまりにも壮大です。しかし、スケールの大きさのわりには、意外にも教授の数は5人にすぎず、みなさん多くのプロジェクトを抱えています。
その結果、休日返上の忙しさだそうです。でも、ベッカー先生はそんな事情を説明した後、「みんな、やりたくってやってるんです!」と言われました。
そのとき、わたしは「こころの未来研究センター」の5人の教授の正体が京の「志士」であるとわかりました。
それぞれの先生方の顔が坂本龍馬高杉晋作桂小五郎に見えてきました。
この志士たちが「こころの維新」を起こしてくれるかもしれません。
2日間、あまりにも多くのことを学び、考えさせられました。
この成果を、ぜひ執筆や経営に活かしていきたいと思います。

2010年2月21日 一条真也