月の広場

一条真也です。

昨夜は満月でしたが、あいにく空が曇っていました。
「今夜は、どうだろうか?」と思い、夕刻、「月の広場」に出て、空を見上げました。

2007年12月25日のクリスマス当日、サンレーの本社機能も兼ねる小倉紫雲閣がリニューアル・オープンしました。
そして、その隣接地に新時代の葬送スペースである「月の広場」が完成したのです。


               月の広場にて


太陽が神の生命のシンボルなら、人間の生命のシンボルは月です。
日ごと満ちては欠ける月は、生まれて老いて死ぬ、そしてまた再生する人の生命そのものなのです。
月の広場」の設計は、北九州を代表する建築家である白川直行氏にお願いしました。
日銀の白川総裁の弟さんです。
中央にある噴水(ムーン・プール)は、実際の月の満ち欠けによって可変するという、世界初の噴水です。その周囲には四季折々に花が咲く木々を植え、「死」と「再生」をコンセプトにした庭園をつくりました。
そこでは、「月への送魂」も行うことができますし、噴水の周りのロータリーを霊柩車がゆっくり通ります。それを輪になった参列者が見送ることによって、かつての「野辺の送り」のような「残心」のある出棺が可能になりました。
春は、桜の花びらが散ってゆく中を故人が見送られていきます。
夜には、月に向かってレーザー(霊座)の一条の光が放たれます。
そして、ひとつひとつの「死」が実は宇宙的な出来事であることを示すのです。

わたしが何より嬉しいのは、近所の小さなお子さんやお年寄りが散歩にやってきて、「月の広場」のベンチに腰掛けてくつろいでくれることです。
公園のような場所だと思っているのかもしれません。
これまではセレモニーホールに散歩で遊びにやって来るというのは考えられませんでした。初めて、「月の広場」に散歩の人たちが来たときは、わたしも驚きました。
でも、今では日常化し、毎日のように遊びに来てくれます。こうやって、少しづつ「死は不幸ではない」という文化が広まってくれればと願っています。


月の広場」には屋外スピーカーを設置しており、さまざまな音楽が流れています。
グレゴリオ聖歌モーツァルトのレクイエムも流れます。
千の風になって」や、わたしが作詞した「また会えるから」も流れます。
今夕は、「ミスター・ロンリー」が聴こえてきました。
きっと、「ジェットストリーム」のCDをかけているのでしょう。
なんだか、センチメンタルな気分になってきます。
ジェットストリーム」は、日本航空が提供するラジオ番組でしたから、空港のイメージがあります。そういえば、セレモニーホールとは「魂の空港」だと言えますね。
「今夜は、書斎でジェットストリームを聴きながら、ブログでも書くか」と思いました。


2010年3月2日 一条真也