F−ace

一条真也です。
今日、先日収録したテレビ東京系の「F−ace」が放映されました。
テレビに出るのは、あまり好きではありません。
テレビに自分の顔を映し出されるのは、なんだか違和感があるからです。
でも今回の番組は、わが社の理念をきちんと紹介してくれ、ありがたかったです。
わが社の若い社員たちも、よく映っていました。


ひとつ、お断りしておきたいことがあります。
それは、わたしが番組のオープニングとエンディングで腕組みをしていることです。
わたしは、普段は絶対に人前で腕組みをしないことに決めています。
ビジネスマンとして絶対にしてはならないのが、腕組みと足組みだからです。
江戸しぐさでは、「衰運しぐさ」として非常に嫌われました。



とくに人と会話しているときは、コミュニケーションの姿勢をとるのが礼儀です。
腕組みは相手との間に柵を設けることであり、自由なコミュニケーションを拒否するという心理的圧力を与える結果になります。
そのうえに足まで組んでいれば、さらに相手を遠ざけようとすることになります。 
満員電車の中で足を組むのは、自分の前に障害物をつくって、それ以上人が近づいてこないようにするということです。
人が攻撃してきても、すぐに蹴ることができる防御態勢をとっているわけであり、失礼千万です。
わたしは人と接するとき、腕組み、足組みだけは絶対しないように心がけています。
お客様を相手にするサービス業の社長が偉そうに腕組みなどしていたら、その会社は非常に危険だと思っています。
やっぱり、傲慢な印象を与えますからね。
経済誌などの社長インタビュー企画で、カメラマンの方から「腕組みをしていただけますか」とよく言われるのですが、「わたしの信条なので」とお断りしてきました。
しかしながら、今回は番組自体のフォーマットとなる演出であり、出演者全員がそうしているとのことで、やむなく腕組みをした次第です。はい。



さて、「FACE」ということで顔について考えてみました。
自分の顔は目が小さくてあまり好きではありませんが、47歳にもなろうというオッサンが今さら親を恨んでも仕方ありません。
成人してからの顔は、完全に自己責任ですよね。
かつて「男の顔は領収書、女の顔は請求書」という言葉が流行しました。
うまいことを言うものです。
たしかに男の顔には人生が滲み出ているのかもしれません。
よく、年齢を重ねると、顔に締まりのない元アイドル歌手などがいます。
いわゆる、良い年の取り方をしていない感じがします。
一方、けっしてイケメンではなくとも、香川照之さんなどは実にいい顔をしていますね。



わたしは、顔というのは目や鼻の大きさとか全体のバランスといった容姿ではなく、とにかく表情が重要であると思っています。
とくに、政治家にしろ経営者にしろ、リーダーは表情が大切ではないでしょうか。
孫子』に「軍に将たるの事は、静にして以って幽なり」とあります。
軍を率いる時の心構え、つまり、リーダーの心構えは静であり幽であれ、というのです。
「幽」とは、計り知れないほど奥が深いという意味ですね。
わかりやすく言うと、味方がピンチに陥った時に動揺を顔に表わすようでは、リーダーの資格はない。
組織がピンチになれば、部下は真っ先にリーダーの顔色をうかがう。
そんなとき、リーダーがあたふたと動き回ったり、緊張しすぎたりすれば、部下はいっそう動揺する。常に冷静沈着であってこそ、部下の信頼は得られるというのです。


 
最後に、最も素敵な表情とは、やはり笑顔でしょう。
笑顔のもとに人は集まります。
笑顔など見せる気にならない時は、無理にでも笑ってみることです。
感情にしたがって動作が起こるように見えます。
でも実際は、感情と動作は並行するものなのですね。
ですから、快活さを失った場合は、いかにも快活そうにふるまうことが、それを取り戻す最高の方法なのだと思います。
まあ、そうは言っても、なかなか難しいですけどね。
イケメンでなくてもいいから、いつも笑顔の似合う人になりたいものです。


2010年3月27日 一条真也