梶原一騎の格闘ロマン

一条真也です。

梶原一騎は本当に天才でした。
そして、その天才性は、「巨人の星」や「愛と誠」も悪くはないけれど、やはり格闘技マンガの分野で最大に開花したと思います。「柔道一直線」や「空手バカ一代」が出てきたら、やはり、「タイガーマスク」を避けては通れませんね。
ちびっ子ハウス、ミスターX、虎の穴、覆面ワールドリーグ・・・・・。
かつて、そのジャンル自体が巨大なファンタジーであるプロレスにさらなるファンタジーをこれほど重ねていった作品が存在したでしょうか。


そして、梶原一騎といえば、なんといっても「あしたのジョー」です。
たちあがれ日本」という新党の名前が話題になり、先日のブログにも書きました。
そこで取り上げられたガンダムよりも、わたしは「たて、たて、たつんだ、ジョ〜!」という丹下段平の叫び声のほうが真っ先に思い浮かびました。
力石徹が死んだとき寺山修司の発案で葬式が開かれたり、赤軍派が「われわれは、あしたのジョーである」と発言したり、数々の伝説に彩られた神話的な作品ですね。
尾藤イサオが歌うアニメの主題歌も最高にカッコよかった!


そして最後は、「キックの鬼」です。
キックボクシングのスーパースターだった沢村忠が主人公でしたね。
プロレス、ボクシング、キック・・・・・これは雑誌「月刊ゴング」の初期のショルダータイトルでしたが、この三つが当時の三大プロ格闘技でした。
「月刊ゴング」は、とうの昔に廃刊になりました。
それだけでなく、「週刊ゴング」も、一番好きだった「週刊ファイト」も廃刊になりました。
タイガーマスク」「あしたのジョー」「キックの鬼」・・・・・梶原一騎は、マンガやアニメという形で、三大プロ格闘技の最高のプレゼンテーションを行ったわけですね。
キックの鬼」で沢村忠が繰り出す真空飛びヒザげり、すごかったですね!


沢村忠」というリングネームは、極真空手の猛者であった「中村忠」と「大沢昇」の二人にあやかって付けられたとか。
沢村忠は、野口プロモーションに所属していました。
同時期に野口プロモーションに所属していたのが五木ひろしですね。
当時の野口修会長は、沢村と五木でエンターテインメントを制圧し、ラスベガスに進出するという途方もないプランを抱いていたようです。
「プロレスでもない、ボクシングでもない、第三の格闘スポーツ、それがキックだ!」というのが野口会長の口癖だったとか。
そのキックもK−1へと流れ、大流行。今では、そのK−1も・・・・・。
時の流れは、本当に早いですね。
でも、格闘技は永遠の男のロマンですよぉぉぉぉぉ!(ターザン山本風に)


2010年4月10日 一条真也