新茶の恵み

一条真也です。

丸島園の丸嶋兄弟が、おいしい新茶を届けに来てくれました。
高貴な香りの「八女茶」と水色のきれいな「知覧茶」の2種類です。
丸島園は、2008年に創業90周年を迎えた日本茶の名門企業です。


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丸島園は特に八女の高級玉露の老舗として知られます。自社の商品が「日本一の玉露」に輝いたときは、フジテレビの「笑っていいとも!」でも紹介されました。
そのときのお茶は、なんと1杯で5000円、1缶で10万円だったそうです。
わたしは、『茶をたのしむ』という監修書で、丸嶋兄弟と対談しました。
そこで、2人のお茶に対する熱い想いを聞き、日本茶の奥深さを知りました。


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緑茶はおいしくて、健康にもよいことで知られています。
でも、わたしは、さらなる茶の素晴らしさに気づきました。
ずばり、茶というものは、人間を平等にするのです!
まず、茶は富める者にも貧しい者にも平等です。貧しい暮らしの人が冷えた食べ物を食べる場合でも、茶と一緒に取れば、温かい食事をしているような気になれます。
どれほど多くの貧しく人生に絶望しているような人々が1杯の温かい茶によって、心やすらぐひとときを持つことができたことでしょう。というのも、日本でも中国でもイギリスでも、茶は水の次に安い飲み物であり続けたからです。



さらに日本では、茶は安いどころか無料で提供される水以外の唯一の飲み物です。
寿司屋でも蕎麦屋でも日本料理店でも、店に入ると1杯の茶が出される。
もちろん無料であり、いくらおかわりしてもタダ。
煎茶であれ番茶であれ、茶葉を購入するわけですから何かしらのコストがかかっているわけで、考えてみれば不思議な話です。
すべてのモノやサービスが商品化される資本主義社会。
その資本主義社会において、無償で提供されるお茶。
商品の試供品であれば、話は別です。日本はお茶の国だからお代を頂くほどのものではない、ではすみません。だとしたら、ブラジルはコーヒーの国だからブラジルのレストランでは、コーヒーがタダで出てくるのでしょうか。わたしは、この無料で万人に茶が出されるということに、仏教における「慈悲」の心をいつも重ねます。もちろん、茶の文化は仏教の禅から生まれましたが、わたしは仏教と茶の本質は似ていると思っています。



茶は単なる飲み物ではありません。
ペットボトルで飲めばよいというものではありません。
茶には「もてなし」の心が欠かせないのです。
茶で「もてなす」とは何か。それは、最高のおいしいお茶を提供し、最高の礼儀をもって相手を尊重し、心から最高の敬意を表することに尽きます。
そして、そこに「一期一会」という究極の人間関係が浮かび上がってきます。



丸嶋兄弟と話していて面白かったことがありました。
海外の人たちは「グリーンティー」というものに対して、非常に「平和」のイメージを抱くそうです。緑茶の「緑」は平和の色だからです。また、緑色は希望の色でもあるそうです。
色彩心理学の話を続けるなら、黄色は「嫉妬」の色だそうです。
そういえば、各出版社から出ている新書にも、さまざまな表紙の色がありますねぇ。
「嫉妬」の黄色ではなく、「平和」「希望」の緑色の新書を読みたいものですねぇ。(笑)
ともかく、美しい緑色の美味なる新茶を飲んで、わたしの心は格段に豊かになりました。
今日も元気だ、新茶がうまい!


2010年4月23日 一条真也