月と死のセレモニー

一条真也です。

葬式は必要!』(双葉新書)の売れ行きが、おかげさまで好調のようです。
これも、「もちろん葬式は必要に決まっている!」と考えている人が多いからでしょう。
今回の出版ほど、「天下布礼」を強く意識したことはありません。
さて、『葬式は必要!』の中で紹介している「月への送魂」への反響が大きく、驚いています。もともとは、1992年に上梓した著書『ロマンティック・デス〜月と死のセレモニー』(国書刊行会)で提案したものです。


月は、世界中の民族の神話や宗教において、人間が死後おもむく世界とされました。
わが社では、「ムーン・ハートピア・プロジェクト」を推進しています。
霊界のシンボルである月に地球人類の墓標としての「月面聖塔」を建立し、地上から故人の霊魂をレーザー光線に乗せて月に送る「月への送魂」を行なうプロジェクトです。
「月への送魂」は2004年2月、北九州市サンレーグランドホテルのオープン・イベントとして実行され、その後も同所において頻繁に行なわれています。
「月面聖塔」の巨大模型がサンレーグランドホテルのロビーに展示されています。
将来、故人の分骨やデータを積んだロケットを発射して「月面聖塔」に納める予定です。
月に墓がつくられれば、地球上での墓地不足も解消できますし、世界中どこの夜空にも月は浮かびますから、それに向かって合掌すれば、あらゆる場所で死者の供養をすることができます。
また、埋葬によって死後の世界に対するネガティブな「地下へのまなざし」を持ってしまった生者にポジティブな「天上へのまなざし」を与えることにもなるでしょう。
月を霊界に見立てることによって、死後の霊魂が天上界に還っていくと自然に思い、理想的な死のイメージ・トレーニングを無理なく行なえるはずです。

                   
                       月への送魂                                


さらに月に墓をつくれば、当然ながら、地球上での葬送儀礼の内容も変わってきます。
葬儀とは、死者の霊魂が故郷である宇宙に帰還するのを送り出す里帰りの「送儀」ということになります。
お経が唱えられると、棺の上に死者の生前の姿がホログラフィー(立体映像)で浮かび上がります。死者のホログラフィーは、にっこりと微笑んでいて、参列者にさわやかで幸福な印象を与えます。
それからホログラフィーは光の粒子になってレーザーのプロジェクターに吸い込まれ、今度はプロジェクターから夜空に浮かぶ月に向かってレーザーが飛ばされます。
これで死者は月へと還っていったのです。
レーザーとは「霊座」、すなわち霊魂の乗り物に他なりません。
まさに壮大な夜のスペクタクル・セレモニーですが、これは決して思いつきでも奇をてらっているのでもありません。
一つひとつの葬儀が実は宇宙的な出来事なのだということを人々に実感させ、コスモロジカルでエコロジカルな死生観を与えるために必要な演出です。
そう、「月への送魂」は壮大な魂のエコロジーを実感するセレモニーなのです。
わたしは今後も、魂のエコロジストとして、新時代の葬送である「月への送魂」を広めていきたいと考えています。


                     月と死のセレモニー


2010年4月29日 一条真也