口蹄疫と冠婚葬祭

一条真也です。

いま、羽田空港のラウンジにいます。
これから小松空港に向かいます。
今日は、午後から北陸大学の講義があるのです。
さて、宮崎県における家畜の口蹄疫の感染拡大が深刻化しています。
鳩山政権は、発生地から半径10キロ以内のすべての家畜にワクチンを打ったうえで殺処分とする方針を打ち出しましたね。
東国原英夫知事は、「非常事態」を宣言しました。



                  最重要伝染病の影響は?


口蹄疫にかかった牛を食べても人間には影響はないそうです。
とりあえず、食の安全には問題がないとのことで、安心しました。
かつて、狂牛病(BSE)や鳥インフルエンザによって食の安全への信頼が根底から揺らぎました。新型肺炎(SARS)の原因はハクビシンとされていますが、いずれも家畜や野生動物から人にうつる「人畜共通感染症」です。
「人畜共通感染症」という新世紀の悪魔は毎年のように出現し、人類を襲っています。
背景には、食の多様化や自然環境の破壊で人間と動物との距離が縮まったことや、地球温暖化、輸送・交通網の発達によって、病原体の生きる地域が拡散したことなどがあるといいます。
人間の営みが新たなウイルスの登場を引き起こしているのでしょうか。
20世紀に最大の被害をもたらしたスペイン風邪は1918年に発生し、1年間に全世界で6億人がかかり、38万人の日本人を含む2300万人の死者を出した。その後に世界的大流行となった57年のアジア風邪、68年の香港風邪なども含めて、その原因となるウイルスのルーツは鳥にあると見られています。
日本、韓国、ベトナム、タイと、ウイルスの発見地を地図にしるしてみると、稲やお茶の伝播ルートと重なります。
文明の回廊とは、感染症の道でもあったのです。



しかしながら、口蹄疫は最重要伝染病とされています。
その感染拡大を懸念して、集会や各種イベントの自粛を知事が求めています。
宮崎県で開かれる祭りも延期あるいは中止になっているそうです。
SARSの発生国とされ、被害が甚大だった頃の中国では、なんと結婚式や葬儀が禁止になった地域もありました。
人が集まると、感染拡大につながるというのです。
考えてみると、冠婚葬祭とはまさに人が集まることなのですね。
わが社も宮崎で冠婚葬祭事業を展開しているので他人事ではありませんが、冠婚葬祭とは平和の象徴なのだと痛感します。
宮崎県の方々が、安心して暮らせて、安心して祭りに参加できる日が一日も早く来ることを心より願っています。
東国原知事にしても、ここは就任以来で最大の踏ん張りどころ。
知事の地元を愛する心が、この最大のピンチから宮崎県を救ってくれることを信じます。


                  がんばれ、東国原知事


2010年5月19日 一条真也