天使

一条真也です。

“美の商人”から“天使”を紹介していただきました。金澤翔子さんです。
銀座三越の隣にある大川原有重さんの画廊「晶アート」で彼女の「般若心経展」が開催されています。翔子さんは、ダウン症の若き書家として非常に有名な方です。


                  自作の前に立つ金澤翔子さん


彼女のプロフィールについては、こちらを御覧下さい。
翔子さんは、5歳から書家への道を歩むべく、日々厳しい修練・研鑽とたゆまぬ努力で孤高の境地まで書の芸位と格を押し上げられました。
今回、翔子さんが書いた「般若心経」の世界が展示されることになったのです。
般若心経の一文字一文字が葉書大サイズの和紙に書かれています。
すべて、翔子さんが渾身の力を込めて揮毫した作品です。


                  翔子さんの書いた「般若心経」


わたしは会場に足を踏み入れた途端、思わず息を呑みました。
そこに書かれた、すべての文字が生きているようだったからです。
「観自在菩薩・・・」から始まる文字の一つひとつが光り輝いて和紙から飛び出してくるような錯覚を覚えました。そして、浄土の世界が現出するような感覚にとらわれました。
言葉にならないくらい、本当に素晴らしい!
大川原さんは、「神様にもっとも近い存在として、アーティストがいるなら金澤翔子さんは文字通り大人(たいじん)として最右翼に位置付けられると確信します」と述べています。書家としては「100年に1人の天才」と呼ばれているそうです。
タオの第一人者として有名な加島祥造さんなども彼女の才能を絶賛し、展覧会のパンフレットに「翔子は、潜在意識の深みから働きかけている。それを自覚なしにする―それも不思議な美のセンスでもってする」という一文を寄せています。
また、彼女は「天使」とも呼ばれています。
ダウン症の人々を「天使」と呼んだのは神秘思想家のルドルフ・シュタイナーです。
でも、翔子さんの場合は、それだけではありません。
ダウン症とか天才芸術家という部分を超えて、彼女は人の心が読めるそうです。
その人に会った瞬間、心のきれいな人か汚い人かがわかるというのです。
だから、多くの人々が彼女のことを本物の「天使」だと呼ぶのです。


                  翔子さんとのツーショット


翔子さんは、わたしと会った瞬間、素晴らしい笑顔で迎えてくれました。
そして、わたしのことを「大好き!」と言って下さいました。
さらには、お恥ずかしいのですが、「結婚したい!」とまで言って下さったのです。
「こんなことは珍しいですよ」と、大川原さんも驚かれていました。
何度も何度も翔子さんと握手をしているうちに、なんだか涙が出そうになってきました。
わたしの心がどんどん浄化されるのが実感できたからです。
翔子さんは、わたしの可愛いイラストを描いて、プレゼントしてくれました。
そこにも、「けっこんしたい」と描かれていました。
このイラストは、わたしの宝物にしたいと思います。


                 翔子さんが描いてくれたイラスト


大川原さんからは、翔子さんのお母さんである金澤泰子さんの著書『天使がこの世に降り立てば』(かまくら春秋社)をプレゼントしていただきました。
晶アート」で見せていただいた展覧会の図録に泰子さんの言葉が掲載されており、それを読んで感動しました。5年前の2005年に開かれた展覧会に際しての言葉です。
以下に紹介させていただきます。



「生まれながらに障害を持って授かりました、私の娘、翔子が今年二十歳を迎えました。これを機会に、五歳より努力してまいりました書道の成果を一堂に集め、個展を開かせていただくことになりました。
 翔子が誕生と同時にダウン症であることを告げられました時の、私の絶望感は計り知れないものがございました。同じ苦しみを持つ親同士が、互いに励まし合うことを目的に、平成三年書道教室を開設し、障害児と親共々精進してまいりました。
 それから十五年、障害児も一芸に打ち込めば、素直に指導を吸収することを手応えとして感じ、光明と支えを見出した思いでございます。
この展覧会が、障害を持つ方々に、可能性を見出す喜びと、明るく生きる力を持っていただくことに、少しでも役立っていただければ、この上ない幸せと存じます。」


                  『天使がこの世に降り立てば』


晶アート」の会場には、翔子さんが10歳のときに書いたという「般若心経」も展示されていました。それもまた見事な作品でしたが、部分的に染みがありました。
そこを指差して、翔子さんは「これはね、わたしの涙の後なんだよ」と教えてくれました。
おそらく、子も母も多くの涙を流してきたのでしょう。重い障害を持って生まれてきながら、素晴らしい芸術によって多くの人々に感動を与え続ける金澤翔子さん。
翔子さんに会えて、本当に良かった。
「大好き!」と言われて、本当に嬉しかった。
わたしも、翔子さんが大好きです!
今日は(もう日付が変わってしまいましたが)、この世で本物の天使に会うことができて、神仏に心からの感謝を捧げたいと思います。


2010年6月27日 一条真也



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