60回目の満月通信

一条真也です。

京都大学こころの未来研究センター教授の鎌田東二先生と満月のたびに交わしている「ShinとTonyのムーンサルトレター」が記念すべき60回目を迎えました。


                     60回目になりました


いやあ、もう丸5年です。なんだか、あっという間でした。
前任者である鏡リュウジさんの後を受けてお引き受けしたものの、最初は何を書いていいやら、まったく要領を得ませんでした。
それが、なんとか、さまざまなテーマを縦横無尽に語らせていただきました。
この記念すべき60回目にあたって、「ムーンサルトレター」の単行本化が決定しました。
版元は、水曜社さんという東京の新宿にある出版社です。
水曜社の社長である仙道弘生さんは、不思議な縁でわたしの父と旧知の仲でした。
わたしも高校生の頃にお会いしたことがあったようです。
久方ぶりの再会でしたが、意外なドラマの展開に「縁」の不思議さを強く感じました。



ところで、この「ムーンサルトレター」、わたしが先攻で鎌田先生が後攻ですが、はっきり言ってあまり噛み合っていません。(笑)
というか、わたしはサーブを打つだけですので何もできないのですが、そのサーブを鎌田先生があまり打ち返してくれないのです。(微笑)
それどころか、ヘーゲルの『精神現象学』とか村上春樹の『1Q84』などをわたしが絶賛すると、鎌田先生はそれらをボロクソにけなすという有様です。(苦笑)
でも、第一次世界大戦の話をはじめ、何度かスウィングしたこともありました。



ときどき、「もしかして鎌田先生は自分をからかっているのかな?」と首を傾げることもあるのですが、今夜、美学者の秋丸知貴さんの話を聞いて納得がゆきました。
鎌田先生は、完全なる右脳思考の人なのです。
そして、秋丸さんによれば、「ムーンサルトレター」で鎌田先生の相手ができるのは小生しかいないそうです。鎌田先生もそのことをよく理解しておられるとのことでした。
まあ、今回の鎌田先生のレターの最後の次の言葉がすべてを物語っているでしょう。
「これからも60回といわず、60年、ムーンサルトレターを続けましょう!今生のいのちあるかぎり。いや、来世までも。」
ここまで言っていただければ、わたしも本望です。
ぜひ、60年でも、来世まででも、やろうじゃありませんか!
それにしても、記念すべき今回でさえ、わたしのレターの内容には触れていません。
出版化の件に対しても無反応で、まったくスウィングしていませんでした。(泣笑)
なにはともあれ、鎌田先生がお元気そうで何よりです。
今後とも、よろしくお願いいたします。


                  鎌田東二先生と(撮影:秋丸知貴)


2010年8月4日 一条真也