「老人と子供のポルカ」

一条真也です。

日本が「無縁社会」を乗り越え、「最大不幸社会」にならないためには、老人と子どもをつなぐ、まさに「ファーカンダ」の思想が必要であると思います。
そんなことを考えていたら、老人と子どもをつなぐ素晴らしい名曲を思い出しました。
左卜全とひまわりキディーズの「老人と子供のポルカ」です。


1970年2月にリリースされた歌ですが、約40枚を売り上げるヒット曲となりました。
この当時、日本は高度経済成長の集大成としての「日本万国博覧会」の開催が迫っていました。そして、その反動として、学生運動、交通事故、ストライキなどの深刻な社会問題が山積していた時代でもあったのです。
そんな時代に生まれた「老人と子供のポルカ」はリズムこそ軽快でコミカルではありますが、その中身は「『ゲバ(学生運動)』『ジコ(交通事故)』『スト(ストライキ)』の被害者は老人と子供である」というメッセージソングでした。
「やめてケレ」「助けて」という歌詞は、老人と子どもの痛切な叫びだったのです!
わたしは当時、小学2年生でしたが、この歌を初めて聴いたとき、「ズビズバ〜」という左卜全の歌いだしに大変なインパクトを受けました。この「ズビズバ〜」は、後年、清水アキラによって徹底的に「ものまね」され、笑いの対象になります。
でも当時は、畏怖の念に近い感情さえ抱いたことを記憶しています。



当時76歳だった左卜全は、日本音楽史上最高齢歌手のデビューとして、話題となりました。その後、浦辺粂子(当時80歳)、きんさんぎんさん(当時99歳)らが歌手デビューしたために最高齢歌手の記録は塗り替えられましたが、現在でもオリコン10位以内の獲得は最年長記録です。
バックコーラスの「ひまわりキディーズ」とは、劇団ひまわりに所属していた女子小学生3人組によるグループです。

老人と子供のポルカ」は、老人と子どもの意外な組み合わせ、さらに左の歌声の絶妙なリズムのずれが人気を博し、大ヒットとなりました。
しかしながら、買い取り契約であったため、左には20万円しか支払われなかったとか。
「やめてけれ〜」という左卜全の叫び声が聞こえてきそうですね。(笑)
ちなみに、この怪曲、いや名曲は2009年11月、サントリービタミンウォーターのCMで替え歌が使われています。



最後に、「ひまわりキディーズ」のメンバーの1人は後に夫婦デュオ「ル・クプル」を結成した藤田恵美であることをご存知ですか?
わたしは、この事実を知って、非常に感動しました。夫婦愛を歌った永遠の名曲として知られる「ひだまりの詩」は、「老人と子供のポルカ」につながっていたんですね!
「夫婦が愛し合うこと」そして「老人と子どもを大切にすること」。
2曲とも、現代日本にとって、とても大切なメッセージソングではないでしょうか。


2010年9月20日 一条真也