隣人祭り・秋の観月会

一条真也です。

今日は朝から「財界九州」新年号の取材と撮影がありました。
写真は、ムーンギャラリー小倉本店で撮影しました。
「財界九州」の新年号に登場させていただくのも、早いもので、もう10年目になります。
そう、わたしが2001年に社長に就任してから、もう10年が過ぎたのです。


                   ムーンギャラリー本店にて


今夜は、北九州市八幡西区のサンレーグランドホテルで、「隣人祭り・秋の観月会」が盛大に開催されました。おかげさまで、今年で3年目の開催になります。
今年も300名を超える人々が、見事な満月を楽しみました。


                    隣人祭り・秋の観月会


いま、「無縁社会」という言葉が時代のキーワードになっています。
現在の日本の現状を見ると、「無縁社会」と呼ばれても仕方がないかもしれません。
では、わたしたちは「無縁社会」にどう向き合えばよいのか。さらに言うなら、どうすれば「無縁社会」を乗り越えられるのか。
わたしは、その最大の方策の一つは、「隣人祭り」であると思います。
隣人祭り」とは、地域の隣人たちが食べ物や飲み物を持ち寄って集い、食事をしながら語り合うことです。都会に暮らす隣人たちが年に数回、顔を合わせます。
隣人祭り」は、今やヨーロッパを中心に世界30カ国以上、1000万人もの人々が参加するそうです。ECも正式支援を決定していますが、「隣人祭り」のキーワードは「助け合い」や「相互扶助」です。ならば、多くの人は日本に存在する某組織のことを思い浮かべるのではないでしょうか。そう、互助会です。正しくは、冠婚葬祭互助会といいます。
「互助」とは「相互扶助」を略したものなのです。わたしはフランスで起こった隣人祭りと日本の互助会の精神は非常に似ていると思っています。サンレーはまさに互助会であり、わたしは互助会の全国団体である全互連の副会長を務めています。


                 今年も多くの人が集まりました


無縁社会」が叫ばれ、生涯非婚に孤独死や無縁死などが問題となる中、冠婚葬祭互助会の持つ社会的使命はますます大きくなると思っています。
いまや全国で2000万人を超える互助会員のほとんどは高齢者であり、やはり孤独死をなくすことが互助会の大きなテーマとなっているのです。
早速、互助会であるわが社では、2008年10月15日にサンレーグランドホテルにおいて開催された「隣人祭り」のサポートをさせていただきました。
サンレーグランドホテルの恒例行事である「秋の観月会」とタイアップして行われたのですが、これが九州では最初の「隣人祭り」となりました。
日本の政令指定都市の中で最も高齢化が進行し、孤独死も増えている北九州市での「隣人祭り」開催とあって、マスコミの取材もたくさん受け、大きな話題となりました。
その後も、わが社はNPO法人ハートウエル21と連動し、隣人祭り日本支部公認のオーソドックスな「隣人祭り」の他、わが社オリジナルの「隣人むすび祭り」のお手伝いを各地で行っています。2009年は約190回を開催し、2010年は300回以上の開催を予定しています。「隣人祭り」と「隣人むすび祭り」などを合わせれば、わが社は日本で地域の隣人が集う「隣人交流イベント」あるいは「地縁再生イベント」の開催を最もサポートしている組織だと思います。いや、世界でも5本の指に入るのではないでしょうか。


                  日本スタイルの「隣人祭り」で


本家のフランスをはじめ、欧米諸国の「隣人祭り」は地域住民がパンやワインなどを持ち寄る食事会ですが、そのままでは日本に定着させるのは難しいと考え、わが社がサポートする「隣人交流イベント」では、季節の年中行事などを取り入れています。
たとえば、花見を取り入れた「隣人さくら祭り」、雛祭りを取り入れた「隣人ひな祭り」、節分を取り入れた「隣人節分祭り」、七夕を取り入れた「隣人たなばた祭り」、秋の月見を取り入れた「隣人祭り・秋の観月会」、クリスマスを取り入れた「クリスマス隣人祭り」といった具合です。おかげさまで大変好評を得ています。
これは日本におけるコンビニエンスストアマーケティングを参考にしました。アメリカ生まれのセブンイレブンを初めて日本に輸入したとき、当初はうまくいかなかったとか。
しかし、セブンイレブン・ジャパンの社長であった鈴木敏文氏が日本流に「おにぎり」や「おでん」などの販売を思いつきました。それからは大ブレークして、すっかりコンビニが日本人の生活に溶け込んでいった事実はよく知られています。
わたしは、このことを「隣人祭り」のヒントにしたのです。欧米の文化をそのまま日本に輸入してもダメで、日本流のアレンジが必要であるということを学んだわけです。


                    夜空の満月をバックに


さて、日本人には「月見」の文化があります。
日本人は月が好きです。日本文化を考えるうえでのキーワードは「自然」ですが、松尾芭蕉は、自然を「造化(ぞうか)」と呼びました。
「造」はつくりだすこと、「化」は形を変えることです。英語の「ネイチュア」と見事に一致していますね。すなわち、ネイチュアとは、物ではなく運動なのです。そして日本の自然において、「雪月花(せつげつか)」がそのシンボルとなります。つまり、雪は季節の移り変わり、時間の流れを表わし、月は宇宙、空間の広がりを表わします。花は時空にしたがって表われる、さまざまな現象そのもののシンボルといえるでしょう。
「造化」の三大要素の一つが「月」である意味はとても大きいと思います。
日本では、明治の初めまで暦は中国にならって太陰暦を使っていました。
いうまでもなく、太陰暦というのは月を基本にした暦であり、農耕のプランもそれによって決められていました。当然、日本人の生活全体にわたって月が深く関わってきたことがわかります。今夜、見事な満月を見上げながら、わたしは古代日本人たちの「こころ」を、まるでテレパシーのように感じたような気がしました。


                 月あかりの下で開く一冊の本


2010年10月22日 一条真也