男のうた♪

一条真也です。

今からちょうど1週間前、「女子のうた♪」「男子のうた♪」「少年のうた♪」「少女のうた♪」と紹介し、続く「少年と少女のうた♪」の最後に「男の子 女の子」を紹介した後、そのまま一気に「魅惑の郷ひろみワールド」(笑)に突入していきました。
その結果、信じられないほど多くのアクセスが寄せられました。
また、個々のブログ記事の内容への反響も大きかったです。
京都の美学者」こと秋丸知貴さんからは、「一条先生のブログは、エンターテインメントとしても極上です!」との嬉しい言葉を貰いました。
また、音楽ブログに期待するという声があまりにも多かったので、今夜のサタデーナイトは「男子」でも「少年」でもなく、ここはガツンと「男」の歌を紹介したいと思います。
まず、最初は、わたしが一番好きな男の歌である石原裕次郎の「嵐を呼ぶ男」です。


それにしても、裕次郎の存在感を大きさを改めて痛感します。
最近、館ひろしが出演した缶ビールのCMで「嵐を呼ぶ男」が流されていましたが、やっぱり裕次郎じゃないと違和感がありますね。
ジャニーズ事務所「嵐」は5人ですが、裕次郎は1人で嵐を呼んでいた!
あえてジャニーズにこだわるなら、今年で芸能界デビュー30周年を迎える「マッチ」こと近藤真彦だけには許される役柄かもしれません。
マッチは、東宝映画で「嵐を呼ぶ男」のリメイクにも主演しましたし。



次の「男のうた♪」は、なつかしい宴会ソングです。
そう、三好鉄生の「すごい男の唄」です。これも缶ビールのCM曲でした。
「ビールをまわせ!」という歌いだしと「ハ! ドンドン!」のフレーズが印象的ですね。
この曲が流行った頃の日本は、とにかく元気がありました。
そして、この曲にかこつけて、よくビールを大量に飲みました。(笑)


そして、最後は映画「男はつらいよ」の主題歌です。
歌っているのは、もちろん、今は亡き渥美清です。
「俺がいるんじゃお嫁に行けぬ〜わかっちゃいる〜んだ妹よ〜♪」の歌詞から、もう引き込まれてしまいますね。この哀愁には、日本人なら誰でもイチコロだと思います。


いま、思うところあって、『隣人論』(仮題、三五館)の改稿作業をしています。
そこで、山田洋次監督の「男はつらいよ」を取り上げました。
ブログ『追悼「広告」の時代』にも書きましたが、佐野山寛太氏の著書を読むと、これからの社会のキーワードは「家族」であり、「隣人」であることがよく理解できます。
そこにはバーチャルな「マスコミ」ではなく、リアルな「皮膚コミ」があるからです。
佐野山氏は、その最高のモデルを、映画「男はつらいよ」の主人公である車寅次郎に見つけ、「寅さん社会の人間距離」という小見出しの文章で、次のように述べています。
山田洋次監督が描いた、渥美清演じる『フーテンの寅』こと車寅次郎とその家族隣人たちが織りなす世界は、じつに『手触り』そして『気持ち触り』がいい。そこは、まさに『皮膚コミ』の世界なのだ」 また、著者の佐野山氏は次のようにも述べます。
「寅さんの世界で『人間距離』とは、そのまま『心間距離』を意味する。自分と家族と隣人の『心間距離』はきわめて近い。心同士が防御服をまとわず、裸のまま付き合っているようだ」 そこには、自他を区別しない「人間愛」があふれています。
おいちゃんが「バカだねぇ、まったく」と言うときも、寅さんを本当にバカにしているのではなく、愛しているから嘆いているのです。
隣の印刷会社のタコ社長が挨拶もしないで勝手に入ってきても、誰も文句を言いません。具合の悪いときだけは、「出てってくれ」と追い払われますが、それが仲違いにつながることはありません。そこは、まさに以心伝心の世界なのです。
ここには、日本的な理想の隣人関係があるわけですね。
たしかに男はつらいですが、つらいときには隣人に甘えるのもいいかもしれません。


2010年10月23日 一条真也