互助社会に向って

一条真也です。

サンレー北陸の社員旅行を抜けて、1人で軽井沢から東京に向かいました。
今日は、社団法人・全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)の社会貢献基金助成金交付式が東京・新橋で行われます。わたしは全互協の広報・渉外委員長として、交付式に出席しなければならいのです。


                    全互協の本部前で


社会貢献基金とは、地域のさまざまな災害の救済、社会福祉事業、環境保全事業、国際協力など 社会貢献活動を行う各種団体等への助成、並びに社会貢献に資する調査・研究を目的とした事業に対する助成を行うためのものです。
それによって、日本の生活文化と地域社会の発展に寄与することを目的としています。
互助会の全国組織である社団法人・全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)は会員企業、さらには互助会会員からの募金による「社会貢献基金」を運営し、さまざまな団体に対しての助成を行っています。詳しくは、「全互協・社会貢献基金HP」をご覧下さい。


                委員長として、最初に挨拶しました


毎年多くの団体から助成金交付の申し込みがあり、審査の結果、交付するプロジェクトを選びます。「互助会」が「互助社会」への入口となるためにも、社会貢献基金による助成活動の意義は非常に大きいと言えます。
そして、今日は4団体に助成金の交付を行いました。
交付式では最初に、わたしが簡単な挨拶をしました。
「互助社会を実現するために、みなさんの活動は非常に意義深く、全互協として応援させていただきました」と述べました。
それから4団体の代表に助成金の目録をお渡しし、その後はみなさんの活動内容および現状についてお話をお聞きしました。


                4人の代表者に目録をお渡ししました


本日、交付を受けた4つの団体とは、以下の通りです。
まず最初は、緊急クラウンジャポンさん。赤い羽根をつけた俳優さんで知られており、クラウン(道化師)によって「笑い」を通じたコミュニケーションを広く提供しておられます。
代表の村上さんはフランスでクラウンの勉強をされましたが、現在、村上さんを含めて3人のクラウンが活躍しています。
昨年は高齢者が主な対象でしたが、今年は病院生活を送っている児童が対象で、中には重度の患者もいるそうです。今後は、障害者の活動場所も訪問する予定とか。
この活動は、かのパッチ・アダムスが有名ですね。
大笑いしたところでお開きにするという点が素晴らしいと思います。
介護者の方にも赤い羽根をつけてほしいと、村上さんは語っておられました。



2つ目の団体は、NPO法人 介護者サポートネットワークセンター・アラジンさん。
この団体は、高齢者や認知症の方を介護している方をサポートしています。
現在、全国には介護者が所属している団体が各種ありますが、そのうち35団体をネットワークしているといいます。
事務局長の中島さんによれば、2000年に介護法が成立して要介護者のための仕組みはできたけれど、介護者を支える仕組み作りが遅れているとのこと。
わたしは、介護者のバーン・アウト(燃え尽き)問題に関心を持っていますので、中島さんのお話は非常に興味深かったです。
ぜひ、介護者が集まって互いの悩みを相談したりできる常設の「介護者センター」を設立したいとおっしゃっていました。そう、介護者にも「居場所」が必要なのですね。



3つ目の団体は、NPO法人 フリースクール全国ネットワークさん。
全国にある70のフリースクールをネットワークしている団体です。
全国の不登校の小学生は2万人以上、中学生は10万人以上おり、不登校の高校生は5万人以上、高校中退は6万人いるそうです。
事務局長の香川さんによれば、全国の子どもたちの中で、学校のいじめや学校への登校圧力を苦に自殺するケースが増えているとか。
不登校への認識やフリースクールの存在を知っていれば、命を取り留めたり、心穏やかに生活することができるようになるケースがたくさんあります。
また、学校に行きたがらない子どもに悩み、その結果が事件につながるなど、子どもへの不登校に対する世間の無理解のために苦しんでいる親もたくさんいます。
そういった子どもや親をサポートする団体のネットワークなのです。
香川さんも、常設の会場でフリースクール活動を行いたいとおっしゃっていました。
ここにも、「居場所」を求めている人々がいることを知りました。



そして4つ目の団体は、NPO法人 ADRA Japanさんです。
ADRAとは、「Adventist Development Releaf Agency」の略です。
キリスト教プロテスタントのアドベンティスト派から発祥した国際NGOだそうです。
活動には、医療、保健衛生、経済支援、緊急救援、農村での食料確保といった5つの柱があるとのこと。わが社会貢献基金では、最初の2つ、すなわち医療と保健衛生についてサポートさせていただいています。
地震や台風や津波など、大規模な自然災害が毎年のように起きています。
プログラム・オフィサーの須原さんをはじめ18名のスタッフからなる同団体は、チリ、ハイチ、ネパール・・・世界中に飛んで、さまざまな支援活動を行っているのです。
あと2週間ほどで、須原さんもチベットに飛ぶと言われていました。


                  みなさんから話をお聞きしました

                  いろんな過酷な現実を知りました


以上、4団体から来られた4名の方々にお話を伺いました。
みなさん、本当に素晴らしい活動をされています。
みなさんの活動報告を聞いていると、「この社会もまだまだ捨てたものじゃない」と思えてきます。この4団体を含め、社会貢献基金では16団体に助成金を交付します。
まさに、「お互いさまの社会」「助け合い社会」に向けた互助会らしい事業ですね。


                   ハートフル・ピープルと一緒に


たしかに現実は過酷です。なかなか理想だけでは物事は進まないでしょう。
しかし、「自分がやっていることは社会のためになっている」と胸を張って言える活動をされているみなさんの顔は輝いていました。また、みなさんもお互いの報告を聞いて、自分の知らない世界を知り、とても興味を抱かれたようでした。
それぞれの団体がさらに相互扶助の関係になれれば素敵ですね!
そのお手伝いを、これからも、ぜひさせていただきたいです。
素晴らしきハートフル・ピープルの輝いている顔を見ていたら、「ハートフル・ソサエティ」の到来が近づいてきたような気がしました。


2010年10月29日 一条真也