コラム(地縁)

一条真也です。

今日は、クリスマス・イブですね。
朝、新しい「ムーンサルトレター」がUPしていました。今年最後のレターです。
来年の1月には、いよいよ『満月交感 ムーンサルトレター』上下巻(水曜社)が刊行されます。新年早々、鎌田東二さんとともに世直しの狼煙を上げたいと企んでいます。
また、午後には新しい「中外日報」が送られてきました。
リレーコラム「時感断想」連載第4回目のコラム掲載紙です。
今回のタイトルは、「『隣人祭り』で地縁再生」です。


現在、わが社は「隣人祭り」の開催サポートを行っています。
今年だけで年間300回以上の「隣人祭り」を中心とした隣人交流イベントを開きました。
隣人祭り」は同じ地域に住む人々が集う食事会です。
このムーブメントが大きくなれば、孤独死も孤独葬も減るでしょう。
星の王子さま』で知られるフランスの作家サン=テグジュペリは言いました。
「真の贅沢とは人間関係の贅沢である」と。
人間関係を豊かにし、地縁を再生する「隣人祭り」への期待は大きいと言えます。


今日はクリスマス・イブですが、クリスマスはイエス・キリストの誕生日だとされています。
本当はイエスの誕生日ではないようですが、キリスト教にとって一年で最も意味のある日であることは間違いありません。
エスは、その短い生涯において「隣人愛」というものを説きました。
「隣人愛」は、もともと『新約聖書』に出てくる言葉です。
ルカによる福音書」には、次のように記されています。

 

すると、ある律法の専門家が立ち上がり、イエスを試そうとして言った。
「先生、何をしたら、永遠の命を受け継ぐことができるでしょうか。」
エスが、「律法には何と書いてあるか。あなたはそれをどう読んでいるか」と言われると、彼は答えた。
「『心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい、また、隣人を自分のように愛しなさい』とあります。」
エスは言われた。「正しい答えだ。それを実行しなさい。そうすれば命が得られる。」
しかし、彼は自分を正当化しようとして、「では、わたしの隣人とはだれですか」と言った。
エスはお答えになった。「ある人がエルサレムからエリコへ下って行く途中、追いはぎに襲われた。追いはぎはその人の服をはぎ取り、殴りつけ、半殺しにしたまま立ち去った。ある祭司がたまたまその道を下って来たが、その人を見ると、道の向こう側を通って行った。同じように、レビ人もその場所にやって来たが、その人を見ると、道の向こう側を通って行った。ところが、旅をしていたあるサマリア人は、そばに来ると、その人を見て憐れに思い、近寄って傷に油とぶどう酒を注ぎ、包帯をして、自分のろばに乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。そして、翌日になると、デナリオン銀貨二枚を取り出し、宿屋の主人に渡して言った。『この人を介抱してください。費用がもっとかかったら、帰りがけに払います。』さて、あなたはこの三人の中で、だれが追いはぎに襲われた人の隣人になったと思うか。」
律法の専門家は言った。「その人を助けた人です。」
そこで、イエスは言われた。「行って、あなたも同じようにしなさい。」
(『新約聖書』「ルカによる福音書」10章25〜37節より)



わたしは現代の日本に必要なものこそ「隣人愛」であると思います。
そして、それを実現するものこそ「隣人祭り」であると信じています。
中外日報」のリレー・コラムも今回でひとまず終わりです。
リレーのバトンは、高野山真言宗の松長有慶官長にお渡しいたします。
次のリレーの走者は、真言宗のトップという超大物です。
わたしは、緊張のあまりバトンを落としそうな気分です。
わたしは71人目のリレー走者だったわけですが、これまでの走者を見ても、有馬頼底(臨済宗相国寺派管長)、田中良昭(曹洞宗総合研究センター所長)、千田孝信(天台宗中尊寺貫首)、田中恆清(神社本庁副総長)、大谷光見(浄土真宗東本願寺派 本山東本順寺法主)、末木文美士東京大学教授)、八木誠一(日本基督教学会理事長)、西村恵信(禅文化研究所所長)、山内昌之東京大学教授)、大谷哲夫(駒沢大学総長)、谷口雅宣(生長の家副総裁)、大形市太郎(霊友会会長)、坪井俊映(浄土門主)、小林隆彰(比叡山延暦寺管長)、小峰禰彦(大正大学学長)、島薗進東京大学大学院教授)といった、それこそ日本の宗教界および宗教学界を代表する方々ばかりでした。
わたしのような若輩の冠婚葬祭業者が名を連ねるなど、普通はありえません。
こんな豪華な「こころのリレー」に参加させていただいたなんて、本当に夢のようです。
それだけに、わたしのような立場の者に言わせたいことがあったのでしょう。
機会を与えていただいた「中外日報」さんには心より感謝しております。
そして、わたしの4回にわたる拙いメッセージが、少しでも仏教界を中心とした宗教界の方々の「こころ」に届いてくれることを願っています。


2010年12月24日 一条真也