おせち料理

一条真也です。

正月といえば、おせち料理です。
わが家では、今年は二つのおせちをいただいています。
一つは、小倉・松柏園ホテルの四段おせち、もう一つは金沢・金茶寮の三段おせちです。例年はもっと多くのおせちが届くのですが、4人家族なので、これで十分です。


                    小倉・松柏園のおせち

                    金沢・金茶寮のおせち


サンレーグループの原点である松柏園ホテルは、おかげさまで料理が好評です。
博多や小倉のデパートなどでも人気で、よく売れています。
金茶寮は金沢を代表する名料亭で、わたしが客員教授を務める北陸大学のグループ会社なのです。その御縁で、ここ数年いただいていますが非常に美味しいです。
また盛り付けなども素晴らしく、大変参考になります。



外食産業やコンビニ産業が発達したために、今では一年中何でも揃っています。
現代の日本は、非常に季節感をおぼえにくい社会となりました。
でも、おせち料理を食べると、「ああ、正月だなあ」という実感が湧いてきます。
正月とは、もともと農耕の神様である「年神さま」を各家庭に迎えて祝うものです。
床の間に正月用のおめでたい掛け軸をかけ、年神さまへのおせち料理を重箱につめ、それを家族で食べるのが日本人の慣習でした。



「おせち」のルーツは、平安時代にまでさかのぼります。
宮中で行われていた「御節供(おせちく)」から始まったそうです。「御節供」は、5月5日の「端午の節句」や7月7日の「七夕」などの五節句に、神前に供える料理の総称でした。やがて、節句の一番初めの正月料理を「おせち」と呼ぶようになったのです。
江戸時代後期には、広く庶民が食べるようになりました。
それがきっかけで、おせち料理は全国に広がっていきました。



おせち料理は、「めでたさ」を重ねるという縁起をかついで、重箱に詰めて食卓に並べられます。中でも、黒豆、数の子、田作りの3種は「三つ肴(さかな)」と言われるおせちの代表格です。それらの料理には、それぞれ意味があり、願いが込められています。
黒豆は、一年中「まめ(まじめ)」に働き「まめ(健康的)」に暮らせるように。数の子はたくさんの卵から子孫繁栄を、田作りは小イワシを田の肥料にしていたことから五穀豊穣(ほうじょう)の願いが込められているのです。
他に、なますは紅白の縁起もの、ごぼうは「田夫」とかけて働き者になるように、エビは腰が曲がるまで丈夫にという長寿を、昆布巻きは「よろこぶ」の言葉にかけ、きんとんは「金団」と書き財産や富を得るものとされています。
おせち料理には、わたしたちの先祖から代々受け継がれてきた「願い」や「祈り」が込められています。まさに、究極のスピリチュアル・フードではないでしょうか。


2011年1月1日 一条真也