伊達直人

一条真也です。

ブログ「人と人のつながり」で紹介した鳥取県琴浦町の出来事には心が洗われました。
そして、もう1つ、素敵なニュースを「朝日新聞」で見つけました。
7日午後7時20分頃、沖縄県南城市大里の児童養護施設「島添の丘」にスクーターで訪れた男性がランドセル3個を正面玄関近くに置き、走り去ったというのです。


                  「朝日新聞」1月9日朝刊


ランドセルが届けられる1時間前に、島添の丘に1年生の児童数を尋ねる電話があったそうです。気付いた職員が声を掛けたものの、男性は顔全体が隠れるヘルメットをかぶったまま正体を語らず、手紙を手渡して去ったとか。
手紙には、「新一年生になる君達へ贈ります。君達の事を心から愛する者より ガンバレ 伊達直人」とだけ書かれていました。


伊達直人」とは、プロレス・マンガの名作「タイガーマスク」の主人公の名前です。
原作者は、かの梶原一騎です。史上最高のマンガ原作者です。
ブログ「柔道一直線」ブログ「空手バカ一代」ブログ「梶原一騎の格闘ロマン」に書いたように、わたしは少年時代から「強い男」に憧れ、梶原作品の大ファンでした。
わたしの「一条真也」というペンネームは、「タイガーマスク」と並ぶ梶原一騎の名作「柔道一直線」の主人公である「一条直也」から取ったほどです。
じつは、「伊達直人」をもじった「伊達真人」というペンネームも考えていたのです!
もしかしたら、「一条真也のハートフル・ブログ」は「伊達真人のハートフル・ブログ」だったかもしれないのです。いや、ほんとに。初めて告白しますけど・・・・・。



その伊達直人は、親のいない孤児(原作では「みなし児」という言葉が使われていました)だったという設定でした。彼は自身が育った児童養護施設の「ちびっこハウス」の子どもたちにさまざまなプレゼントを贈るのですが、自分の正体は隠して、虎の仮面をかぶり、タイガーマスクとして善意の行動を重ねるのでした。アニメ化された「タイガーマスク」のエンディング・テーマは「みなし児のバラード」というものでした。
ちなみに、新聞やテレビでは「伊達直人」を説明する際に、なぜか「ちびっこハウス」のエピソードを封印しています。でも、これでは現代の「伊達直人」の真意は伝わりません。
もし、「みなし児」というマンガ掲載あるいはアニメ放送当時の言葉が問題であるならば、現在はその言葉が不適切であると説明すればいいのではないでしょうか。


昨年12月25日には群馬県で、今年の元日には神奈川県で、それぞれ児童相談所で「伊達直人」の名前が記された紙と一緒にランドセルが見つかっています。
さらには、「読売新聞」によると、8日夜、岐阜市長良森町の児童養護施設「日本児童育成園」にも新品のランドセル5個が届けられたそうです。
ここでも「伊達直人」を名乗る手紙が同封されていました。
同園は思いがけない贈り物に、「遠くの話だと思っていたが、まさかうちにも届くとは思わなかった。大切に使わせてもらいたい」と感謝しているとのこと。
静岡市児童養護施設では、現金10万円がプレゼントされたそうです。さらに、厚木市児童相談所では、プラモデルなどのおもちゃ22個が置いてあるのが見つかりました。
もはや、「同時多発テロ」ならぬ「同時多発ボランティア」です!



いやあ、全国に出現している「伊達直人」は同一人物なのでしょうか?
それとも、複数の人間による「こころの架け橋」プロジェクトなのでしょうか?
いずれにしろ、心あたたまる素晴らしい話ですね。
「日本人もまだまだ捨てたもんじゃない」と思えてきます。
大阪の事件では心が痛みましたが、琴浦町と「伊達直人」には心が洗われました。
今年こそ、「人と人のつながり」の大切さにみんなが気づくようになればいいと思います。
やはり、「隣人の時代」が始まったような気がしてなりません。


2011年1月9日 一条真也