タイガーマスク現象

一条真也です。

ブログ「伊達直人」で取り上げた児童養護施設の子どもたちへのランドセル、文房具、オモチャなどのプレゼント行為が全国的な拡がりを見せています。
今夜のニュースによると、現時点で39都道府県、92件が確認されているとか。
まさに、「タイガーマスク現象」ですね!


児童養護施設といえば、わが社も毎年、11月18日の創立記念日に文房具やお菓子などを寄贈させていただいています。
また、北九州市にサーカスが来たときは、市内の児童養護施設のお子さんたちを全員招待することにしています。最近、木下サーカスが来たときも一日の興行を借り切って、お子さんたちを招待させていただきました。


              2009年4月30日付「読売新聞」朝刊より


みんな、非常に喜んでくれました。わが社には数え切れないほど多くのサーカスの絵とお礼の手紙が届いたことは言うまでもありません。それを、わたしが読み、社内報に掲載して全社員も読みます。みんな、感動します。
自分以外の誰かの「こころ」と自分の「こころ」がつながったことに感動するのです。



でも、このたびの「タイガーマスク現象」は、企業ではなく、一般市民の方々が自発的に行っているようですね。本当に素晴らしいことだと思います。
もしかすると、「無縁社会」とか「孤族の国」と呼ばれるまでに人心が荒んだ果てのリバウンド現象かもしれません。「このままでは日本は大変なことになる!」という人々の危機感が多くの伊達直人を生んだような気がします。
ブログ「となりびと」で、隣人との心の交流について書きました。
隣人愛があれば、自分以外のどんな人でも愛すべき「となりびと」です。
伊達直人とは、結局「となりびと」の別名ではないでしょうか。



それにしても、多くの人々が善意の寄付活動にあたって、本名を明かさず、マンガのキャラクターの名を語っているところが興味深いですね。
匿名ブログなどで仮面をかぶったまま他人の誹謗中傷をする行為は卑怯千万ですが、善行において匿名で通すのは日本人の美点かもしれません。また、若い世代であれば「タイガーマスク」のことは知らないわけですから、今回大量に出現した伊達直人さんたちは、わたしと同じ40代半ば以上の人が多いように思います。



この騒動に関しては、原作者の梶原一騎もあの世で驚いていることでしょう。
タイガーマスク」の主人公が「伊達直人」、わたしにも縁が深い「柔道一直線」の主人公が「一条直也」ということで、二人とも名前に「直」がつきます。
おそらく、梶原一騎という人は「直」という字に思い入れがあったのでしょう。
「直」がそのまま表れることを「素直」といいます。
「素直」の重要性を誰よりも説いた人物こそ、あの松下幸之助です。
彼は、生涯「素直な心になりましょう。素直な心はあなたを強く正しく聡明にいたします」というメッセージを自身が主宰する「PHP」誌において発信し続けました。
素直といっても、それは一般によく使われているような、おとなしく従順という意味ではありません。松下幸之助がいう「素直な心」とは、私心なく曇りのない心というか、一つのことにとらわれずに、物事をあるがままに見ようとする心です。



お互いが素直な心になれば、していいこと、してはならないことの区別も明らかとなる。
また正邪の判別も誤ることなく、何をすべきかも自ずからわかってくるというように、あらゆる物事に関して適時適切な判断のもとに力強い歩みができるようになってくるというのです。すなわち、本当の素直な心とは自然の理法に従うこと、この宇宙万物一切のものを貫いている理法にとらわれず従いつつ、こだわらずに考え、かたよらずに行動するということなのです。そうすれば、社会は良い方向へ向かいます。
今回の「タイガーマスク現象」が、日本人の中に眠る「素直な心」に火をつけたのかもしれませんね。それにしても、いよいよ「隣人の時代」、そして「ハートフル・ソサエティ」が始まったような気がしてなりません。


2011年1月11日 一条真也