外国人看護師

一条真也です。

東北での被災状況に福島原発の不安・・・・・と、日本国内は暗いニュースばかりですが、厚生労働省が久々に明るいニュースを発表してくれました。
外国人看護師候補者のうち、16人が国家試験に合格したというのです。


                  「朝日新聞」3月26日朝刊


いずれも、経済連携協定(EPA)に基づいて、インドネシアとフィリピンから受け入れた看護候補者です。3年前に第一陣として来日し、今夏に滞在期限を迎える91人のインドネシア人では、13人が合格したそうです。
それにしても、あまり多い合格者数とは言えません。
日本人を含めて、受験者全体では92%が合格しました。
しかし、EPA関係の合格率は4%に過ぎないそうです。
低い合格率の背景には、試験問題には日本語が使われるためです。
当然のことながら、外国人にとって日本語は難し過ぎます。
今回からは、病名に英語を併記するなどの工夫が見られました。
今後は、さらなる配慮が必要だと思います。
介護イノベーターこと清原晃さんとも先日話しましたが、日本語での試験は外国人にとって負担が大きすぎると言われていました。



いま、清原さんと一緒に新しい高齢者ビジネスのモデルを作っているところなのですが、その中で看護師や介護ヘルパーの育成という分野に注目しています。
よく知られていますが、日本におけるヘルパー数は圧倒的に不足しています。
老老介護」が日常化している中にあって、日本人だけで介護の問題を解消するのは不可能です。やはり、外国人、特にアジアの人々に門戸を大いに開く必要があります。
そして、わたしは日本の政令指定都市で最も高齢化が進行している北九州市を「外国人ヘルパー」養成のメッカにしたいと考えています。
北九州市は、すでに医療や介護といった産業の最先端都市ですし。


以前、その考えを小倉医師会の会長である中村定敏先生(小倉第一病院院長)に申し上げたことがあります。医療先端都市・北九州を代表する医師である中村先生も非常に興味を持って下さいました。
2003年に『老福論』(成甲書房)を上梓する以前から、わたしは「人は老いるほど豊かになる」とずっと唱えてきました。
それを実現するために、「老福社会」(高齢者福祉特区)におけるインフラとして外国人ヘルパーの存在を位置づけています。
わたしは、どんどん外国人に門戸を開放すべきだと思っています。もちろん、ヘルパーと看護師は違いますが、豊かな高齢社会を支えるプロフェッショナルである点では同じ。
じつは、わたしには、さまざまなアイデアがあります。
それはまた、いつか詳しくお話したいと思います。


               安心して老い、死ねる社会のために            


2011年3月26日 一条真也