平和インテリジェンス

一条真也です。

東京に来ています。
昨夜、藤和彦さんという方にお会いしました。
3月29日に電話のあった内閣官房の情報分析官の方です。
隣人の時代』(三五館)を読まれたそうで、「ぜひ、お会いしたい」と言われました。


                       藤和彦さん   
                  

藤さんは大の読書家です。ご自分でも本を書かれています。
アマゾン「藤和彦著作一覧」を見ると、内閣情報分析官の要職を務められながら多くの著作を出されています。特に『世界を動かす石油戦略』(ちくま新書)とか『石油神話』(文春新書)、『石油を読む』(日経文庫)といった本のタイトルが目を引きます。
藤さんは、東日本大震災からの日本の復興のために、この4月から世界平和研究所の主任研究員になられたそうです。
世界平和研究所は公益財団法人で、文字通り、世界平和のための研究活動をする組織です。中曽根康弘元首相(大勲位)の提案で設立された団体です。
中曽根氏は、わたしの媒酌人である故・前野徹氏と大変親しく、前野氏の葬儀委員長を務められたほどです。また、わが社の佐久間進会長も中曽根氏と親しくお付き合いさせていただき、中曽根通産大臣時代に初代の全互協会長として冠婚葬祭互助会事業を法制化したという経緯があります。
一昨日、藤さんから「とにかく急いでお会いしたい。今度は、いつ東京へ来られますか?」との電話があり、急遽、金沢から東京に向ったのです。



羽田空港からモノレールで浜松町へ、そこから赤坂見附へ。
待ち合わせをしていたホテルのラウンジ」に到着すると、藤さんは一心不乱に本を読まれていました。見ると、その本は拙著『ハートフル・ソサエティ』(三五館)でした。
藤さんは、「いやあ、すごく面白い本ですね!」と言って下さいました。
それから初対面なので、わたしたちは名刺交換し、自己紹介をしました。
藤さんは1960年生まれで、84年に経済産業省(当時は通商産業省)に入省されました。産業金融、通商政策、エネルギー、中小企業振興分野に携わった後、2003年から内閣官房へ出向されました。担当は、エコノミック・インテリジェンスです。



「インテリジェンス」とは、ずばり「諜報」のことです。
諜報とは「はかりごと」に関わる情報をあつかう作業です。狭義には情報収集を意味しますが、広義には分析、評価、資料作成などの活動を含めます。
日本では「インテリジェンス」というと「知性」ぐらいしか思い浮かびませんが、アメリカやイギリスなどでは諜報活動を意味するのです。
ちなみに非合法な諜報活動を「スパイ」と呼ぶそうです。
かの佐藤優氏が「外交インテリジェンス」なら、藤さんは「エコノミック・インテリジェンス」というわけですね。しかし、ご本人に直接お会いして、わたしは「この人は、平和インテリジェンスだ」と思いました。
日本の平和、世界の平和のために、あらゆる情報を収集し、分析し、かつ実行していくのです。「平和」といっても、いわゆる「市民活動家」などとは違って、政財官、あるいはマスコミに強大なネットワークを張り巡らせています。



その“平和インテリジェンス”から、わたしは重大なミッションを与えられました。
もちろん、その内容のすべてをここに書くことはできません。
でも、その中の1つは「隣人祭り」に関わることです。
福島原発事故により、福島のコミュ二ティが崩壊の危機に晒されています。
ずばり、わたしに福島の避難所で「隣人祭り」を開いてほしいというのです。
また、いま、大震災のスケープゴートとしての「東電いじめ」が深刻化しています。
藤さんは、今後、東京電力が避難所での「隣人祭り」のお世話をすべきだと考えておられます。そこで、わたしに「葬式」もとい「総指揮」をしてほしいというのです。
それを成功させれば全国から注目され、国をあげて各地で「隣人祭り」が開催されるというのです。まずは、東電幹部向けに「隣人祭り」の講演をしてほしいとのこと。


                   「読売新聞」4月6日朝刊


いやはや、まったくビックリ仰天です!
世の中、本当に何が起こるかわかりません。
でも、これが成功すれば、時期的にもかなり話題性があるでしょう。
それにしても、『隣人の時代』がこういうかたちで波及していくとは、思ってもいませんでした。『隣人の時代』といえば、今朝の「読売新聞」全国版の1面に書籍広告が出ていました。九州では明日7日に掲載されるそうです。
そこには「支え合い、助け合いは、人類の本能――人間を救えるのは人間しかいない」というキャッチコピーが大きく踊っています。
もうすぐ、「朝日新聞」の全国版にもこの広告が出ることになっています。
ブログ「生きた言葉」に書いたように、「隣人の時代」とか「となりびと」といった言葉を1人でも多くの方に知っていただきたいと思います。
そして、1人でも多くの方に『隣人の時代』をお読みいただきたいと思います。



本日配信の「日経ビジネス オンライン」で、株式会社リケンの小泉年永会長の言葉に感銘を受けました。それは、「被災地とは関係が薄い企業や人ほど、人の心を救える。助けられた側は『関係ないあの人たちまで俺たちのことを助けてくれた』と考えます。第三者の意識ではダメです。今回の震災は日本全体の危機。関係ない企業なんてありません」との言葉でした。まさに、「第三者」ではない「隣人」の時代が到来しました。


               「日経ビジネス オンライン」4月6日号


また、同じ「日経ビジネス オンライン」には、藤さんの書かれた「『冠つき寄付』で過剰貯蓄を復興に生かす」という記事が大きく出ています。
とても画期的で、かつ具体的な復興への提案であると思います。
日本復興にかける藤さんの情熱には頭が下がります。
わたしに対して福島での「隣人祭り」開催を熱く説く藤さんの姿から、幕末の日本を飛び回って志士たちを口説き続けた坂本龍馬を連想しました。
わたしたちは、新しい社会、新しい時代を建設するための「同志」なのかもしれません。
新しい社会とは「ハートフル・ソサエティ」であり、新しい時代とは「隣人の時代」です。
藤さん、日本と世界の平和のために、今後ともよろしくお願いいたします!


2011年4月6日 一条真也