岡本太郎展

一条真也です。

東京に来ています。
今日は、打ち合わせの合間を縫い、竹橋は北の丸公園東京国立近代美術館で開催されている「生誕100年 岡本太郎展」に行ってきました。
今年は、岡本太郎の生誕100年にあたります。これを記念して、岡本太郎がめざしたものの今日的意義を探る展覧会を開催されているのです。


                  東京国立近代美術館の前で

                  わたしの頭も爆発しました!


東京国立近代美術館に到着して「岡本太郎展」の前に立ったとたん、突風がビューッと吹きました。「芸術は爆発だ!」が岡本太郎の口癖でしたが、わたしの頭髪も爆発してしまいました。ヅラならば、確実に吹っ飛んでいたでしょう。
展覧会は」平日にもかかわらず大盛況で、チケット売り場にも多くの来場者が列をなしていました。入場すると、以下のような構成で多くの作品が展示されていました。
プロローグ「ノン!」、第1章「ピカソとの対決/パリ時代」、第2章「『きれいな』芸術との対決/対極主義」、第3章「『わび・サビ』との対決/日本美再発見」、第4章「『人類の進歩と調和』との対決/大阪万博」、第5章「戦争との対決/明日の神話」、第6章「消費社会との対決/パブリックアート・デザイン・マスメディア」、第7章「岡本太郎との対決」、エピローグ「受け継がれる岡本太郎の精神」
こうして見ると、岡本太郎という人がいかに多様なものと対決してきたかがよくわかります。なにしろ、最後は「岡本太郎との対決」ということで、自分自身とも対決してしまうのですから、ハンパではありません!



非常に盛り沢山の展覧会でしたが、特に興味深かったのが、3面スクリーンで岡本太郎が撮影したフィルム映像を上映するコーナーでした。
そこでは、秋田の「なまはげ」とか、岩手の「鹿踊り」とか、沖縄・久高島の「イザイホー」といった土俗的な日本の祭りを岡本太郎自身が撮影し、それらの映像に乗せて彼の言葉が紹介されていました。
そこには、岡本太郎が求めてきた「何だこれは!?」がたしかにありました。
思えば、沖縄文化の奥深さ、素晴らしさを最初に指摘したのも岡本太郎でした。
わたしは、岡本太郎正真正銘の天才であったと思っています。
しかし、どちらかというと、芸術家としての彼よりも思想家としての彼に惹かれます。
これは、「義兄弟」こと造形美術家である近藤高広さんの影響もあります。
近藤さんが、まさに「思想家としての岡本太郎」を「芸術家としての岡本太郎」よりも上位に置いており、わたしもその見方には多分に影響を受けました。


それから、初めて実物を観賞した「明日の神話」も迫力がありましたが、なんといっても、大阪万博での「太陽の塔」の発案から完成に至るまでの展示が面白かったです。
それにしても、大会場の屋根を突き破って、太陽の塔を建設したとは凄すぎます。
まるで、作家・石原慎太郎の『太陽の季節』に登場する、男性自身が障子を突き破るシーンを彷彿とさせます。もしかしたら、「太陽」つながりで、「太陽の塔」には「太陽の季節」の影響があったのでしょうか?
ブログ「太陽の塔」にも書いたように、わたしは太陽の塔が三度の飯より好きです。
ブログ『謎解き 太陽の塔』で紹介した本を書いたのは石井匠さんですが、彼はなんと鎌田東二さんの國學院での教え子なのだそうです。
ブログ「シャーマニズムの未来」で紹介したシンポジウムに、じつは石井さんも来られていたと鎌田さんから翌日お聞きしました。また、ブログ『生きる意味』で紹介した本の著者である上田紀行さんもシンポジウムに来られていたとか。
さらには、ブログ『場所と産霊』で紹介した本の著者である安藤礼二さんも来られており、安藤さんとは名刺交換させていただきました。
その他にも、日本の人文科学を代表するような学者の方々が、「シャーマニズムの未来」にはたくさん来場されていたようです。その中で、わたしは近藤高広さんとともに、司会者である鎌田さんから指名された上で発言させていただきました。
まことに光栄なことだと、後になってから痛感しています。
シャーマニズムの未来」といえば、岡本太郎という天才が追求してきたものこそ、まさに「シャーマニズムの未来」だったように思います。


                   戦利品の数々を見よ!


最後にミュジージアム・ショップで記念品を求めようとしたところ、ここでも長蛇の列が出来ていてビックリ!レジに並んでも、10分以上待たされたほどでした。
しかし、ショップにはじつに魅力的なグッズがたくさん売られていました。
特に、一目で気に入ったのは本格的な「太陽の塔フィギュア」です。
これまでも1500円のミニチュアは岡本太郎美術館で売られており、わたしも複数所持していました。しかし、このフィギュアは海洋堂の製作で、8500円というレアものです。
「太陽光」を社名に冠したサンレーの社長室に飾っておくことにします。
それにしても、聞きしに勝って、海洋堂の仕事は素晴らしい!
ブログ「四大聖人フィギュア」で紹介した例のモノも、もしも予算さえ許すならば、ぜひとも日本が世界に誇る海洋堂さんに発注したいです。


          特に、「太陽の塔フィギュア」と「TARO人形」を見よ!


太陽の塔フィギュア」の他には、布製の「TARO人形」が収穫でした。
この人形を書斎に放り込んでおけば、「芸術は爆発だ!」の叫び声とともに書斎が爆発するような気がしてなりません。取扱い注意の危険物を取り込むことによって、わが知的空間を活性化させること。それが、わたしの企みであります。
恍惚の表情で東京国立近代美術館を後にしたわたしは、大きな紙袋を抱えながら、伊藤忠商事さんとの打ち合わせに向ったのでした。
その打ち合わせを終えて、これから日本経済新聞社の方々と食事会です。
太陽の塔フィギュア」と「太郎人形」をゲットしたわたしの表情はまだ緩んでいます。


2011年4月28日 一条真也