結婚する理由

一条真也です。

おはようございます。
昨日は、「結婚とは何か」「夫婦とは何か」を考えました。
樹木希林さんは、夫の逮捕を受けた会見で奇妙で深い夫婦愛を見せてくれました。
さすがは、結婚情報誌「ゼクシイ」のCMで共演した夫婦です!


                  「朝日新聞」5月15日朝刊


今朝の「朝日新聞」に、「『結婚したい』震災後急増」という記事が出ていました。
大震災をきっかけに、生涯のパートナーが欲しいと思う人が増えているというのです。
結婚情報紹介サービス会社への資料請求件数が増加し、デパートのアクセサリー売り場では婚約指輪の売り上げが前年に比べて4割も増えているとか。
東京都内に住む一人暮らしの女性は、「将来への不安が膨らみ、家族を作ることの大切さを痛感した。人と絆を結ぶ努力がしたい」と述べているそうです。



わたしは、結婚には不安に揺れ動く「魂」を安定させる力があると思っています。
古代ギリシャの哲学者・プラトンは、元来一個の球体であった男女が、離れて半球体になりつつも、元のもう半分を求めて結婚するものだという「人間球体説」を唱えました。
元が一つの球であったがゆえに湧き起こる、溶け合いたい、一つになりたいという気持ちこそ、世界中の恋人たちが昔から経験してきた感情です。
そして、精力的に自分の片割れをさがし、幸運にも恵まれ、そういう相手とめぐり合えたならば、言うに言われぬ喜びが得られることをプラトンは教えてくれたのです。
わたしは、プラトンのいう球体とは「魂」のことであったと確信しています。
「結婚」によって、元来は一つのものだった「魂」の片割れ同士が再び結びつくのです。
すなわち、「結婚」とは「結魂」なのです!


                    なぜ人は結婚するのか


わが社では、「結婚は最高の平和である」という言葉を大切にしています。
トルストイの有名な小説の影響もあり、「戦争」と「平和」は反対語だと思われています。
しかし、「平和」という語を『広辞苑』などの辞書で引くと、意味は「戦争がなくて世が安穏であること」となっています。
平和とは戦争がない状態、つまり非戦状態のことなのです。でも、戦争というのは状態である前に、何よりもインパクトのある出来事です。単なる非戦状態である「平和」を「戦争」という強烈な出来事の反対概念に持ってくるのは、ちょっと腑に落ちません。
また、「結婚」の反対は「離婚」と考えられています。
これも、離婚というのは単に法的な夫婦関係が解消されただけのことです。
「結婚」は「結婚」は戦争同様、非常にインパクトのある出来事です。



戦争と結婚には、大きな共通点があります。
それは、別にしなくてもいいのに、好き好んでわざわざ行なう点です。
戦争も結婚も、ともに人間の強い意志をともなう「出来事」であり、「事件」なのです。
結婚には、異なるものと結びつく途方もなく巨大な力が働きます。
ゲーテは、それを「親和力」と呼び、「ひとりの人間をほんとうに心の底から愛すれば、ほかのすべての人にも好感を持てるようになる」という言葉を残しています。
まさに、ゲーテは結婚の平和性に気づいていたのです。
一方で、戦争が起こるときにも、ある力が働きます。
それは、異なるものを破壊しようとするマイナスの力です。
つまり、「結婚」とは親和の極致であり、「戦争」とは敵対の極致なのです。


                  最高の平和をお手伝いする


まったくの赤の他人同士であるのもかかわらず、人と人とが認め合い、愛し合い、ともに人生を歩んでいくことを誓い合う。まさに、結婚とは「最高の平和」ではないでしょうか。
結婚は最高に平和な「出来事」であり、「戦争」に対しての唯一の反対概念です。
わが社では、日々お世話させていただくすべての結婚式が「世界平和」という崇高な理念を実現する営みであるととらえています。
そして、冠婚スタッフである「むすびびと」一同が心からのサービスに努めています。
わたしは、『結魂論』(成甲書房)や『むすびびと〜こころの仕事』(三五館)などで、以上のような「結婚する理由」を述べました。


                  婚活からウエディングまで 


また昨年、結婚するためのノートである『幸せノート』(現代書林)を刊行しました。
そもそも、人間の「幸せ」とは何でしょうか?
「人間」という字は、人は一人では生きてゆけない存在だということを示しています。
人と人との間にあるから「人間」なのですね。
だから、「人間」よりも「人間関係」が問題になります。
そして、あらゆる人間関係の中でも、最も大切なものこそ「家族」という関係です。
その「家族」の基本となるものが「夫婦」ということになります。
昨年、「無縁社会」という嫌な言葉が流行しました。かつての日本社会には「血縁」という家族や親族との絆があり、「地縁」という地域との絆がありました。
日本人は、それらの絆を急速に失っているのです。
少子高齢化に加えて、生涯非婚人口も増え続けています。
このままでは多くの日本人が孤独死あるいは無縁死することが予想されます。
もっとも大切な絆こそ「夫婦」であり、「家族」であることは言うまでもありませんね。
やはり、「結婚」こそ「幸せ」への王道なのですね。
結婚する理由とは、古今東西、幸せになるためなのです!

       
2011年5月15日 一条真也