骨折よ、ありがとう!

一条真也です。
土曜日の今日、整形外科に寄ってから、会社に顔を出しました。
骨折してから今日で2週間目です。全治4週間ですから、ちょうど半分来ました。
わたしの心は、「もう半分か」と「まだ半分か」の間にあります。
しかし、読書でも執筆でも半分来るまでは大変ですが、それを過ぎると時間が速く過ぎることも経験的に知っています。ゴール間近になると、加速度的に時間は進みます。



           社長室の前で、鳥丸課長と織田さんと一緒に・・・


松葉杖が外れるゴールを楽しみに、もう少し骨折生活をエンジョイしたいと思います。
「エンジョイ」というのは、もちろん痩せ我慢でもありますが、本心でもあります。
骨折していなかった頃には見えなかったことが色々と見えてくるからです。
特に、足の不自由な方や高齢者の気持ちが少しだけ理解できるようになりました。
北九州にある当社施設も回ってバリアフリーの具合をチェックできました。
何よりも、松葉杖をついていると、人の心がよく見えてきます。
本当に思いやりのある人。思いやりはあるけれど、それを「かたち」に表すのが苦手な人。そして、まったく思いやりがない人・・・・・。
サービス業におけるホスピタリティを考える上で、非常に勉強になります。
ブログ『3・11クライシス!』で、わたしは次のように書きました。
「わたしが石段で足を踏み外し骨折したのもクライシスであり、分岐点でした。
あのまま石段を転げ落ちて頭を打って絶命していた可能性もあったからです。
こういうときは、『足の骨折ぐらいで済んで良かった』と考えなければなりません」
しかし、今は「足の骨折ぐらいで済んで良かった」ではなく、「足を骨折して良かった」と思うことさえあります。もともと「何事も陽にとらえる」はわが社の信条であり、わたしの座右の銘は「禍転じて福となす」なのです。



しかし、わたしが「骨折生活をエンジョイしている」などと強がりを言えるのも、すべては周囲の人々のサポートのおかげです。
まずは家族、そして会社のみなさん、本当に毎日お世話になっています。
骨折してから、「ありがとう」という言葉を口に出す回数が本当に増えました。
それまでも「ありがとう」は口癖にしているつもりだったのですが、この2週間は倍以上の「ありがとう」を言っています。
「ありがとう」と口にするだけで心が感謝モードに入り、幸福感が湧いてきます。
ブログ「サンキュー!」に書いたように、以前、途方もない巨大な感謝の念に包まれたことがあったのですが、最近は日々それに近い精神状態です。
まったく、ありがたいことです。特にお世話になっている妻には、感謝してもしきれない思いです。わたしが骨折してから、小学6年生の次女も優しく接してくれます。
サンレー社長室の鳥丸課長、織田さんにも、手を合わせて拝みたいぐらいに感謝しています。松葉杖を支えているので、手は離せませんが。



それから、行きつけの整形外科のナースのみなさん。
わりと大きな病院で、4〜5人が交代で、わたしのギプスを外して足を拭き、それからまた包帯を巻いてくれます。1回包帯を替える毎に、何度も「ありがとうございます」と言うのですが、そのたびに豊かな気持ちになれます。
今日は、ベテランのナースさんが包帯を巻いてくれました。
その方は、ちょっと水前寺清子さんに顔が似ています。
わたしは、包帯を巻かれながら「ありがとう、チータ・・・」と心の中でつぶやきました。



水前寺清子といえば、若い頃に「ありがとうの歌」という名曲を歌いました。
ブログ「『ありがとう』のうた」でも紹介した歌です。
「ありがとう」というテレビドラマの主題歌でしたが、なんと水前寺清子はナース役で主演していました。わたしは、このドラマが大好きでした。歌も大好きです。
いきものがかりレミオロメンの「ありがとう」もいいですが、「ありがとうの歌」はもっと好きです。整形外科を出て会社へ向う車中で、わたしは「今日も〜明日も〜ありがとう〜♪」と名調子で鼻唄を歌いました。こんな心境になれたのも、骨折したおかげです。
まったく、何から何まで、ありがたいことです!


2011年6月4日 一条真也