ダ・ヴィンチのキリスト画

一条真也です。

今朝の「朝日新聞」に、「ダビンチ製作のキリスト画発見」という記事が出ていました。
長らく行方不明だった幻の名画が発見されたというのですが、これは大ニュース!
なにしろ、描かれたのはキリストであり、描いたのはダ・ヴィンチだというのですから。


                  「朝日新聞」7月13日朝刊


言うまでもなく、レオナルド・ダ・ヴィンチはイタリア・ルネサンスを代表する芸術家で、「人類史上最大の芸術家」と呼ぶ人さえいます。
その彼によって描かれた「サルバトール・ムンディ(救世主)」という油絵があります。
「救世主」たるイエス・キリストが世界を祝福している絵だそうです。
美術史の学者によれば、この絵には驚くべき柔らかさと上品さがあるとか。
最初の所有者はイギリス国王のチャールズ1世でした。それからチャールズ2世が所有しましたが、18世紀半ばに競売にかけられ、それから行方が分からなくなりました。
1900年には、作者不明のまま英国のコレクターに売却されました。
2005年前、米国のオークションで現在の所有者である美術ディーラー会社が落札しました。そして2年前、その会社が「サルバトール・ムンディ」らしき絵をメトロポリタン美術館に持ち込んだそうです。そして今回鑑定の結果、ダ・ヴィンチの作だと確定したとか。
米国の芸術誌は、この絵には2億ドル(約160億円)の価値があるとしています。



ダ・ヴィンチが描いたキリスト像といえば、有名な「最後の晩餐」が思い浮かびます。
あの絵をモチーフにした世界的大ベストセラーがダン・ブラウンの『ダ・ヴィンチ・コード』で、トム・ハンクス主演で映画化もされました。
世の中には『ダ・ヴィンチ・コード』で提唱されたキリストについての仮説を信じている人が多いようですが、あれはあくまで小説であり、事実とは異なります。
最近、キリスト教研究の第一人者である竹下節子氏の著書『陰謀論にダマされるな!』(ベスト新書)を読んで、そのことを再確認しました。



ダ・ヴィンチ・コード』のキリスト観がフィクションに過ぎないとしても、今回の大発見によって、15世紀の天才ダ・ヴィンチが再びブームになることは間違いないでしょう。
絵は、11月からロンドンのナショナルギャラリーで展示されるそうです。
その後は、メトロポリタン美術館で展示されるのでしょうか?
世界中どこでもいいですから、機会があったら、ぜひ実物を観てみたいものです。


2011年7月13日 一条真也