孔子の後継者たち

一条真也です。

金沢に来ています。
今日は、午後から北陸大学未来創造学部で前期最後の授業を行いました。
孔子研究」の最後の授業になりますが、テーマは「孔子の後継者たち」です。


               パワーポイントを使って講義をしました
 
                     孔子の後継者たち


まだ足が完全ではないので、黒板に字を書くことは控えました。
その代わりに、パワーポイントを使って講義をしました。
大学も節電令のため、大教室の設定温度が高く、熱中症になりそうな暑さでした。
それでも、偉大な儒者たちに礼を尽くして、ネクタイを締めたまま授業を行いました。



まず、孟子荀子朱子王陽明といった中国における儒教の超大物4人について取り上げました。孟子の「性善説」や「王道政治」、「浩然の気」、荀子の「性悪説」、朱子の「理気説」「性即理」、王陽明の「心即理」、「知行合一」、「致良知」などの儒教における重要思想についても説明しました。
日本人とか中国人といったことを超えて、とても大切なことを魂を込めて教えました。

                 
                学生たちは真剣に聴いていました


その後、日本の儒者朱子学陽明学に分けて紹介。
朱子学者としては、藤原惺窩、林羅山貝原益軒新井白石
陽明学者としては、中江藤樹、熊沢蕃山、山鹿素行伊藤仁斎荻生徂徠
以上のようなビッグネームを紹介しました。
余談として、安岡正篤三島由紀夫陽明学との関係についても話したところ、学生たちも興味深い顔をして聴いていました。


                   前期試験を行いました


そして講義の直後、前期試験を行いました。
真剣に講義を聴き、ノートを取らないと答案が書けない記述式の試験です。
試験は自筆のノートのみ持込可で、コピーは一切持ち込みを認めていません。
また、電子辞書の持ち込みを禁止しました。中国人留学生には酷だったかもしれませんが、留学生のほとんどは見事な日本語で答案を書いていました。
それを見ていると、いつもながら感動が湧いてきました。
彼らは、まだ1年生です。ほんの数ヶ月前に中国から日本にやって来て、一生懸命に日本語をおぼえ、日本人であるわたしから孔子の思想を学んでいる。
これが逆だとして、中国に留学した日本人の1年生が中国語で試験の答案が書けるかといったら、まず書けないでしょう。改めて、中国人の頭の良さを痛感しました。彼らの頭脳と勤勉さがあれば、中国は必ずや世界の超大国としてアメリカと張り合うでしょう。
真剣な形相で答案用紙に向かい、一心不乱にペンを走らせる学生たちの後姿を見て、わたしの胸は熱くなりました。この300人は、みんな、わたしの教え子です。
そこには日本人や中国人といった違いなど存在しません。
そうです、「人の道」に国境はないのです!
試験終了後に回収された膨大な答案用紙には、「礼」とか「王道」とか「知行合一」といった文字がたくさん踊っていました。


2011年7月13日 一条真也