原発用ロボット

一条真也です。

朝日新聞」の夕刊に「原発アシモ開発へ」というトップ記事が出ていました。
福島第一原発の事故現場へのホンダの「アシモ」投入に関する内容です。
アシモはホンダが開発した人間に近い作業ができる二足歩行ロボットです。これを人が近づけない放射線量の高い場所で作業する専用ロボットに改良するというのです。


朝日新聞」8月12日夕刊


ブログ「ロボット大国?」に書いたように、わたしは日本のロボット産業には失望していました。このたびの福島第一原発の事故において、何の役にも立たなかったからです。
日本は、これまで「ロボット大国」などと呼ばれていました。
わたしは、今回の原発事故では世界一の日本製ロボットたちが大活躍するとばかり思っていました。そして、当然ながら、大いに期待していました。
しかし、結局はロボットの登場はなく、人間しか頼りにならないことが判明しました。
廃炉作業もですが、原発の周辺には死者と多くの行方不明者が放置されています。
強い放射能を浴びているため、生身の人間では近づけないのです。
放置されている方々の「人間の尊厳」は損なわれています。
こういうときこそ、ロボットの出番ではないでしょうか。
SF作家アイザック・アシモフによる「ロボット三原則」というものがあります。
人間への安全性、命令への服従、自己防衛を目的とする3つの原則です。
人間を守ってくれるもの、それがロボットなのです。



わたしが日本のロボットに対して過剰に期待しすぎていたのかもしれませんが、非常に残念でした。日本のロボット技術とは、ソフトクリームがうまく作れるとか、人間のように歩けるとか、サッカーができるとか、歌が歌えるとか、そういう「からくり人形」の延長線上でしか生かせないのでしょうか。
日本のロボットとは、どこまでもエンターテインメントなのでしょうか。
といったようなことを以前ブログに書きました。
人間型ロボットについては、ブログ『どうすれば「人」を創れるか』でも触れました。
それが、遅ればせながら、日本が誇るホンダが立ち上がってくれて嬉しいです。
原発アシモは、人が近づけない放射線量の高い場所でも作業してくれることでしょう。
朝日新聞社の橋本幸雄記者は、記事の最後に「事故現場では主に欧米製のロボットが使われているが、1〜2年後には日本の誇るロボット「アシモ」が活躍しているかもしれない」と書いています。わたしも、そうなることを願っています。
日本を救うために、アシモよ、アトムとなれ!


2011年8月12日 一条真也