葬祭責任者会議

一条真也です。

今日は、朝の9時から会社の健康診断がありました。
15時からは、伊藤忠商事の新しい九州支社長・常慶氏の訪問を受けました。
福岡県の大平村ご出身の常慶支社長は、物腰柔らかいジェントルマンでした。
そして、17時からはサンレーグループ「全国葬祭責任者会議」において、社長訓話をしました。各地から、わが社の誇る“おくりびと”たちが集結しました。



                  全国葬祭責任者会議のようす


ブログ「冠婚・衣装責任者会議」でも話しましたが、今日は基本に立ち返って、わが社が最も大切にしている「ホスピタリティ」について話しました。キリスト教の「隣人愛」、仏教の「慈悲」、また儒教の「仁」・・・すべての人類を幸福にするための思想における最大公約数とは、おそらく「思いやり」の一語に集約されます。そして、その「思いやり」を形にしたものが「礼」や「ホスピタリティ」です。わたしは、5年前に「思いやり形にすれば礼となり横文字ならばホスピタリティ」という短歌を詠みました。洋の東西の違いはあれど、「礼」も「ホスピタリティ」もともに、「思いやり」という人間の心の働きで最も価値のあるものを形にすることに他ならないのです。茶道において「礼」は、「しつらい」「もてなし」「ふるまい」として形に表れますが、人との出会いを一生に一度のものと思って最善を尽くしながら茶を点てる「一期一会」の精神も含め、まさにジャパニーズ・ホスピタリティとでもいうべき世界をつくっていると言えます。
21世紀の姿を予言したダニエル・ベルは、脱・工業社会とは「人間が人間を相手に働く社会」だと言いましたが、ホスピタリティは21世紀における最重要テーマなのです。


                ホスピタリティについて説きました


「ホスピタリティ」こそは、わたしたちがハートフル・ソサエティをつくるための最大のキーワードです。ホテル、結婚式、葬儀、写真、司会、コンパニオン派遣、清掃、そして介護・・・わが社が関わるすべての事業は、ホスピタリティを必要とします。
サンレーグループは、今後もホスピタリティ・カンパニーをめざします。
さて、ホスピタリティ産業における人材レベルの高さといえば、リッツカールトンとディズニーが有名です。ところが、この2社には決定的な違いがあります。
リッツカールトンは、人の「素質」を見極める、すなわち社員の「ポテンシャル重視」の企業です。ディズニーは、どんな人材でも育てることを重視する、すなわち「教育重視」の企業です。今日は、両社の具体的なマネジメントの実例も多く紹介しました。
わが社は、今後も新しいセレモニーホールを続々とオープンさせていく予定ですが、いくらハードが整っても大事なのはハート、すなわちホスピタリティ・マインドであると訴えました。1級葬祭ディレクターの数も200名を超え、「労働集約型産業」から「知識集約型産業」への転進を図っていきましたが、さらに「精神集約型産業」へ進化したいと願っています。その最大のキーワードこそ、「ホスピタリティ」に他なりません。


                  精神集約型産業をめざします


ちなみに、今年の11月18日にわが社は創立45周年を迎えますが、それを記念して『ホスピタリティ・カンパニー』(三五館)という本を本名の佐久間庸和として上梓する予定です。同じく本名で書いた『ハートフル・カンパニー』(三五館)の続篇となります。内容は、毎月の社内報の冒頭にある「マンスリー・メッセージ」を5年分集めたものです。
HP「ハートフルムーン」でも公開していますが、それを1冊の本にまとめる予定です。
「ホスピタリティ」を書名に冠した著書を上梓することは、長年の夢でした。


                  グリーフケアについて話しました


その他、グリーフケア・サポートについても話しました。
阪神・淡路大震災が起こった1995年が日本における「ボランティア元年」なら、東日本大震災が起こった今年は「グリーフケア元年」になるのではないかと思います。
今日は、グリーフケアに関するさまざまな話題に触れましたが。
中でも、日本におけるグリーフケアの第一人者で、上智大学グリーフケア研究所所長の髙木慶子氏が指摘する「グリーフケアでは、こういうことを行ってはいけない」というNG的行為を紹介しました。髙木氏は著書『悲しんでいい』(NHK出版新書)で、「ケアする際の好ましくない態度」を7つあげています。家族を失った遺族の協力を得て実施した調査の結果からまとめたもので、以下のようになっています。
1.忠告やお説教など、教育者ぶった態度。指示をしたり、評価したりするような態度
2.死という現実から目を背けさせるような態度
3.死を因果応報論として押しつける態度(過去の事実と現実の死とを短絡的に結びつけ、悪行の報いやたたりなどと解釈すること)
4.悲しみを比べること(子どもの死は配偶者との死別より悲しいなどとする見かた)
5.叱咤激励すること
6.悲しむことは恥であるとの考え
7.「時が癒してくれる」などと、安易にはげますこと。もっぱら楽観視すること



グリーフケアは、けっして商売道具ではありません。
それは、愛する人を亡くした人の悲しみを癒す最も崇高な「こころの仕事」です。
そして、これからの“おくりびと”は単なる葬儀の実務だけでなく、ご喪家の心のケアのお手伝いもさせていただく“いやしびと”にならなければならないと述べました。
その後、松柏園ホテルで懇親会が開かれました。
サンレー北陸の東常務の乾杯の音頭でスタートしました。
最後は、サンレー・オリジナルの「末広がりの五本締め」で締めました。
さらに懇親会の後は、松柏園のラウンジで二次会も開かれました。
日頃は離れて仕事をしている仲間たちが大いに親睦を深めた夜となりました。
今年は、創立45周年をはじめ、1級葬祭ディレクター200人、紫雲閣50店舗、そして施行件数10000件という大きな節目の年となります。
そのメモリアル・イヤーを最高の形で送れそうで、本当に有難いことです。


               サンレー名物「末広がりの五本締め



2011年8月29日 一条真也