談志の戒名に思う

一条真也です。

今日は、これから全国商工会議所の「観光振興大会」に参加します。
同大会のパネルディスカッションで、わたしはパネリストを務めるのです。
ところで、落語家の立川談志が21日に亡くなりましたね。
喉頭がんのためで、75歳でした。落語に対する独自の理論と型破りな芸風で知られ、古典落語の世界に新風を吹き込んだ人でした。


                  「朝日新聞」11月24日朝刊


とにかく権威を嫌い続けましたが、最後に自分でつけたという戒名には驚きました。
「立川雲黒斎家元勝手居士」
「たてかわうんこくさいいえもとかってこじ」と読みます。
「ウンコくさい」という言葉を入れ込んだのは明らかに確信的ですね。
これは、前代未聞の戒名ではないでしょうか。
フジテレビ「とくダネ!」に出演していた弟子の立川談笑は、この戒名について「半分シャレで、半分本気だと思う」と語っていました。
また、「こういった情報番組で冗談みたいな戒名が読み上げられることを想定しているわけで、時限爆弾的なギャグ」とも言っていました。見えない姿になった談志師匠は、そんな様子を見て大笑いしているのかもしれませんね。


                  「朝日新聞」11月24日朝刊


戒名をシャレにすることについては嫌悪感を示す人も多いでしょうが、万人に訪れる「死」をあまり深刻ぶらずにユーモアでとらえる姿勢は悪くないと思います。
「戒名は自分でつける」的な安易な発想とは違って、談志の戒名からは一種の哲学を感じます。まるで人間を「糞袋」だと表現したフランソワ・ラブレーをも連想させますが、「人間というのは、そんな大層なもんじゃねぇ」ということが言いたかったのでしょうか。
談志はよく、落語とは「人間の業の肯定」であると語っていたそうです。
そんな彼の思想が戒名にもよく表れていると思います。
立川談志、最後まで型破りな人生を全うしました。合掌。


2011年11月24日 一条真也