「震災遺児 1500人」

一条真也です。

東日本大震災から9ヵ月目の12月11日、各地で「鎮魂の祈り」が捧げられました。
その夜に放映されたNHKスペシャル「震災遺児 1500人」を見ました。
わたしは、ふだん、ほとんどテレビを見ない人間です。
でも、NHKドラマスペシャル「坂の上の雲」だけは見ています。
今夜その番組が終わった直後に、21時15分から「震災遺児」についてのNHKスペシャルが放映されることを知りました。それで、あわてて見た次第です。


NHKスペシャル「震災遺児 1500人」より



この番組は、NHK「シリーズ東日本大震災」の最新作だそうです。
番組のホームページには、次のように番組の内容が紹介されています。
東日本大震災は、1500人を超える子どもたちからかけがえのない父や母を奪った。それから9ヶ月がたった被災地の『震災遺児』たち。仮設住宅や親戚の家で落ち着いた生活を取り戻したように見えるものの、さまざまな形で苦しみと向き合っている。母を失った大きな悲しみを残された父と分かち合いながら、前に進もうと必死にもがく少年。両親や姉を失っても明るい笑みを絶やさず、悲しみに暮れる祖父母の生きる支えになっている少女。大切な人を失った子どもたちは、毎日を懸命に生きている。遺児たちを引き取った保護者も同じ被災者。子育てをするには高齢だったり、なかなか仕事が見つからなかったりと将来への大きな不安を抱えている。それでも子どもたちのため、復興が遅々として進まない被災地で一歩ずつ前に進んでいる。その姿をしっかりと見つめながら、子どもたちが希望を持って生きていける社会をどのように築いていけばいいのか考える」(「NHKホームページ」より)



東日本大震災で親を亡くした子どもは1567人です。
そのうち、両親を亡くした子どもは240人だそうです。
番組を見ていて、最愛の家族を失いながらも一生懸命に生きる子どもたちの健気さに何度も涙が出ました。子どもたちもですが、その父親、祖父母の方々の心中も察すると、たまりません。さらには、子どもを残して亡くなった母親たちの心残りや無念さを考えると、何ともやりきれない思いがします。



でも、死別は悲しい出来事ではあっても、けっして不幸ではありません。
愛する家族を亡くしたことにも意味があり、自分が残されたことにも意味があります。
そんな話を、いつか機会があったら震災遺児のみなさんにお話したいと思います。
いま、生きている人たちへのケアと、亡くなった人たちへのケアの両方が必要です。
そう、「グリーフケア」と「供養」の両方が求められているのです。
紫雲閣グループのスタッフがお役に立てることも多いかと思います。



「震災遺児 1500人」の案内役は、キャスターの鎌田靖氏が務めていました。
鎌田氏といえば、NHKスペシャル「無縁社会〜“無縁死”32000人の衝撃〜」の案内役でした。大きな論議を呼び起こした番組でした。
無縁社会」の放映は2010年1月でしたので、もうすぐ2年になろうとしています。
時の流れの速さには驚いてしまいますが、今年3月11日の東日本大震災による地震津波原発事故で、明らかに社会の方向性は変わってしまいました。昨年の流行語だった「無縁社会」あるいは「葬式は、要らない」も、すっかり死語となった観があります。


今年刊行された『隣人の時代』と『のこされた あなたへ



わたしは、NHKの「無縁社会」キャンペーンに強い危機感を抱き、『隣人の時代〜有縁社会のつくり方』(三五館)を書き、今年3月の東日本大震災の直後に上梓しました。
そして、大震災で多くの人命が奪われた惨状に心を痛め、『のこされた あなたへ〜3・11 その悲しみを乗り越えるために』(佼成出版社)を書き、今月上梓したばかりです。なお、同書はアマゾンなどで発売と同時に品切れになっていましたが、ようやく在庫が整いました。ご迷惑をおかけした読者の方々にはお詫び申し上げます。



わたしは、『隣人の時代』では「隣人祭り」を、『のこされた あなたへ』では「グリーフケア」の重要性を説きました。ともに、わが社が全力で取り組んでいるプロジェクトです。
今夜の「震災遺児 1500人」では、家族がみんな津波で亡くなった幼い少女が「うち(自分)だけ逃げちゃったから」と言って自分を責めている姿に心を痛めました。残された人の悲しみをケアする「グリーフケア」の普及は、現代日本社会の喫緊の課題です。
阪神・淡路大震災が発生した1995年が「ボランティア元年」と呼ばれたように、東日本大震災が起こった2011年が「グリーフケア元年」と呼ばれることを願っています。
いや、願っている場合ではなく、そうしなければなりません。



NHKは、これからも震災遺児たちの「その後」を定期的に取材し、NHKスペシャルとして放映してほしいと思います。そして、日本中に震災遺児やその他の被災者への支援を呼びかけていってほしいと思います。なぜなら、NHK東日本大震災プロジェクトのスローガンは「明日へ―支えあおう―」なのですから。
なお、NHKスペシャル「震災遺児 1500人」の再放送は、2011年12月15日(木)の午前0時15分〜1時04分(14日深夜)にNHK総合で放映されます。


2011年12月12日 一条真也