手紙と色紙

一条真也です。

27日の午後、やや大きめの郵便物が会社に届きました。
宛先は石川県金沢市にある北陸大学の住所で、宛名が「客員教授 一条真也様」となっています。北陸大学からは、サンレー北陸へ転送されました。
それが、さらに北九州市サンレー本社に送られてきたのです。


便箋6枚もの手紙を頂戴しました



開封してみると、2枚の色紙が入っていました。
しかも、その色紙には何も書かれていません。
よく見ると、1通の手紙が同封されていました。
手紙は便箋6枚にびっしり直筆で書かれていました。
差出人は、滋賀県にお住まいの中村恵蔵さんという方です。
中村さんは、手紙の冒頭に次のように書かれていました。
「突然の手紙を差し出しまして誠に失礼致します。
先生の本、『世界をつくった八大聖人』『法則の法則』『知ってビックリ! 日本三大宗教のご利益〜神道&仏教&儒教』や最近購入し読ませて頂きました『世界一わかりやすい「論語」の授業』は大変勉強になりました。有難うございました」


多くの生徒さんが感想文を書いてくれました



手紙によると、中村さんは高校の英語の先生でしたが、集団授業に行き詰まりを感じておられたそうです。それで退職後は個別指導の学習塾を開かれて、経営されています。手紙には、次のようにも書かれていました。
「生徒数十名全員に孔子の本を読ませたところ、わかり易く生きる上に大変為になると申して全員に先生の本を購入させて感想文を書かせました。人生如何に生きるべきか、また、生きている存在価値を問う意味においても孔子は色々なことを教えています。先生の本は大変読み易く生徒が楽しんで読んでいるので感謝致しております」
この文面を読んだとき、わたしは『世界一わかりやすい「論語」の授業』を読んで感想文を書いている生徒さんたちの顔が浮かんできて、大きな感動を覚えました。
まったく著者冥利に尽きるお言葉です。あの本は、本当にじっくり時間を書けて「世界一わかりやすい」という看板に偽りがないように全力で書きました。
ですから、その本が、これからの日本を担う若い人たちが『論語』に親しむきっかけになってくれたことを知り、こんなに有難く嬉しいことはないと思いました。



わたしは、会社が絶体絶命のときに社長に就任し、そこで『論語』に出合いました。
そして、『論語』の中の孔子の言葉に救われて、なんとか会社を再生させることができました。おかげさまで、赤字続きだった会社も黒字転換し、20億円もの経常利益も出すことができました。それ以来、ありがたいことに10年連続で増収増益を続けています。
わたしは、本当に『論語』によって人生の危機を乗り越えたのでした。
わたしは、人類史上で孔子を最もリスペクトしています。
そのようなことを多くの著書に書き、講演でも述べてきました。
大学の客員教授として「孔子研究」の授業を担当し、多くの日本人、中国人、韓国人に『論語』の素晴らしさを訴えてきました。なにより、本業である冠婚葬祭のお手伝いそのものが、孔子の説いた「礼」の実践であると思っています。



じつは現在、わたしが「第2回 孔子文化賞」の最終候補者になっているそうです。
孔子文化賞」とは、孔子論語の精神の普及に貢献した人に贈られるもので、孔子の第75代直系子孫である孔健氏が審査委員長を務めておられます。
昨年の第1回は、プロ野球東北楽天名誉監督で野球評論家の野村克也氏、ワタミグループ創業者の渡邉美樹氏、 SBIホールディングスの北尾吉孝代表取締役執行役員CEO、比叡山延暦寺大阿闍梨酒井雄哉氏の4名が受賞されています。
野村克也氏は、野球理論と「論語」を重ね合わせた『野村の実践「論語」』(小学館)を出版したことを評価されたものでした。
そして、今年の第2回は、なんと京セラ・KDDI創業者で日本航空会長の稲盛和夫氏らとともに小生がノミネートされているというのです。いや、驚きました。
まあ、わたしのような小物が受賞することなど最初から期待していませんが、孔子を尊敬する気持ち、『論語』を愛する心だけは誰にも負けないつもりです。


2枚の色紙に「礼」「人間尊重」と書きました



中村さんの手紙の最後には、次のように書かれていました。
「誠に不躾で厚かましい依頼かと存じますが、先生に是非とも座右の銘を揮毫して頂きたく念願致しております。何卒よろしくお願い申し上げます。うちの子もよその子も皆我が子のハートで教育を実践していきたいと思っております」
わたしは、2枚の色紙にそれぞれ「礼」「人間尊重」と書きました。
同義語であるこの2つの言葉を心を込めて書かせていただきました。
孔子からプレゼントされた「礼」すなわち「人間尊重」のハートを多くの人たちが受け止めてくれれば、こんなに嬉しいことはありません。
まさに、『論語』里仁篇にある「徳は孤ならず。必ず鄰(となり)あり」の心境です。


2012年1月28日 一条真也