心の環境モデル都市

一条真也です。

「環境モデル都市」という言葉をご存じですか?
地球温暖化対策に積極的なモデル都市として、政府により選定された自治体です。
低炭素社会の実現に向けて、温室効果ガスの大幅削減などに取り組んでいます。


朝日新聞」2月4日朝刊



当初は10自治体の選定が予定されていましたが、2008年7月22日に82件(89自治体)の応募の中から以下の6自治体が環境モデル都市に選定されました。
横浜市(市民の省エネ製品購入を促す「環境ポイント制度」を導入する)
富山市(公共交通機関の利用促進を図る)
帯広市(灯油代替燃料として牛ふんを活用する)
北海道下川町(温室効果ガス吸収のため森林の保護育成政策を掲げる)
熊本県水俣市水俣病をきっかけに環境教育や省エネなどを進める)
北九州市(工場などから出た排熱を周辺の産業関連施設に供給して省エネにいかす)の6自治体です。また、2009年1月22日には、東京都千代田区京都市、愛知県豊田市、長野県飯田市高知県梼原町沖縄県宮古島市の7自治体が追加選定されました。ということで、現在の「環境モデル都市」は全部で13です。
今月3日、国は2010年度の取り組状況に対する評価結果を発表しました。
5段階評価した5指標についてスコアを算出したところ、北九州市が平均値で最も高い得点となったそうです。北九州市は、日本一の「環境モデル都市」というわけです。



北九州は、日本の「四大工業地帯」の1つとして、重化学工業を中心に発展しました。
かつては、八幡製鉄の煙突の吐く「七色の煙」が発展のシンボルでした。
しかし、産業の活発化は、一方で深刻な公害をもたらしました。
1960年代、北九州の大気汚染は国内最悪を記録しました。
工場廃水により、洞海湾は「死の海」と化しました。
この公害に対し、子どもたちの健康を心配した母親たちが立ち上がりました。
母親たちを中心とした住民運動がマスコミの報道に火をつけ、公害に対する社会の問題意識を高めました。ついには、企業や行政の公害対策強化を促すことに成功しました。そして市民、企業、行政の一体となった取り組みにより、環境は急速に改善されました。1980年代には、環境再生を果たした「奇跡の街」として国内外に紹介されるようになったほどです。まさに、ルネッサンス


末吉興一・元北九州市長と



北九州市は、なんと「国内最悪の大気汚染」から「日本一の環境モデル都市」へ変身したのです。これは、「禍転じて福となす」ということに他なりません。
最悪の状況を迎えたからこそ、そこに強い危機感が芽生え、どこよりも前向きな「環境」への取り組みが可能になったのでしょう。
わたしは、北九州市はもう一度、この「禍転じて福となす」を実現すべきと考えます。
いま、全国の人々に「北九州市のイメージは?」と聞くと、必ず返ってくる言葉が2つあります。ずばり、「暴力団」と「孤独死」です。
かつての「公害」に代わるネガティブ・キーワードであると言えるでしょう。
しかし、末吉興一前市長が見事に環境モデル都市へと変身させたように、また現職の北橋健治市長が日本最大の暴力追放運動を成功させたように、残る「孤独死」の問題も必ず解決できると信じています。


北九州市北橋健治市長と



現在、北九州市では「隣人愛の実践者」こと奥田知志氏が理事長を務められるNPO法人北九州ホームレス支援機構の大活躍で、日本で最もホームレスの人々や生活保護受給者の支援が盛んな街となっています。
詳しくは、ブログ「隣人の時代へ」ブログ「脱生活保護へ・・・」などをお読み下さい。
また、わが社もサポートをさせていただいている「隣人祭り」の開催は年間で500回を超え、日本で最も隣人祭りが盛んな街にもなっています。日本一の「環境モデル都市」となった北九州市は、これから「心の環境モデル都市」をめざすべきだと思います。
暴力のない街、孤独死のない街、そして思いやりにあふれた「助け合い」の街・・・・・。
9日、わたしは北九州芸術劇場で講演を行います。
テーマは、「ハートフル・シティを目指して〜日本一の“思いやり都市”をつくる〜」です。


日時:平成24年2月9日(木)
   (受付)13:00〜
   (開演)13:30〜16:00
   (基調講演)13:35〜14:35
   (活動発表会)14:45〜
会場:北九州芸術劇場 中劇場
   ・入場無料(乳幼児も入場可) ※要申込み
   ・無料託児所あり ※要予約(定員あり)
    (託児予約は参加申込みと一緒にお申込みください)
   ・手話通訳あり
   ・駐車場割引あり
   ・親子ルームあり



【お問合せ・お申込み先】お電話・FAX・メールにてお申込みください。
  北九州市総務企画局政策部政策調整課 北九州ミズ21事務局
  〒803−8501 北九州市小倉北区城内1番1号 
  (TEL)093−582−2156  (FAX)093−582−2176
  mizu21@city.kitakyushu.lg.jp



北九州周辺にお住まいの方は、ふるってご参加下さい。
会場でお会いできることを楽しみにしております。
一緒に、「心の環境モデル都市」づくりについて考えましょう!


2012年2月5日 一条真也