受賞のお知らせ

一条真也です。

ブログ「孔子文化賞受賞」に書きましたように、このたび、わたしは第2回孔子文化賞を受賞することになりました。身に余る名誉であると思っております。
その正式な受賞の通知状が一般社団法人・世界孔子協会から届きました。


観音開きの通知状

開くと、このようになっています



通知状は開閉式、いわゆる観音扉のようになっています。
中国の宮城の扉のような黄金の表紙で、左右に取っ手まで付いています。
その扉を開けると、「御招待状 第二回 孔子文化賞 受賞のお知らせ」と書かれた書状が出てきました。そして、「この度、中日互いの人々の心、また孔子五常の徳目である『仁、義、礼、智、信』を理解し、様々な活動を通じ、孔子哲学の普及にご尽力いただきました。また、自らも生きる論語孔子の礼儀を実践する姿勢に感謝し、その労をねぎらい第二回孔子文化賞を授与します」と書かれていました。



この通知状が届いて、わたしは本当に安堵しました。
というのも、受賞の決定を知らされて以来、もちろん心から喜びはしたものの、「じつは何かの間違いでは?」という疑念がずっとあったからです。心の底に、「このような素晴らしい賞を自分のような者が受賞できるはずがない」という思いがあったのです。
そして、だんだん「何かの間違いで、もし受賞が白紙になったらどうしよう」と思えてきました。そうなったら、ブログでも発表しているし、わたしの立場は完全にありません。
その不安は次第に強くなり、シンガポール滞在中にピークに達しました。
「もしもの時は、このままシンガポールに留まって、毎日スカイパークで泳いだり、親友の三浦と酒を飲んだりしながら、しばらく時間を稼ぐか」などと考えたりもしました。
そして、ほとぼりが冷めた頃、素知らぬ顔で日本に帰国しようという作戦です。
もちろん、冗談です(笑)。20日には大事な「隣人館」の竣工式もありますし、帰国しないわけにはいきません。でも、正式な通知状が届いて安心したのは事実です。


ShinとTonyのムーンサルトレター」第79信より



このたびの受賞に際して、多くの方々からお祝いのお言葉を頂戴しました。
京都大学こころの未来研究センター教授の鎌田東二先生もそのお1人です。
先日アップした「ShinとTonyのムーンサルトレター」第79信で、Tonyさんこと鎌田先生は次のように書いて下さいました。
「Shinさん、このたびの『孔子文化賞』受賞決定、まことにおめでとうございます!
筋金入りの孔子主義者のShinさんに受賞が決まり、審査員の選択眼に敬意を表します。ほんとうによかったです。生来の孔子主義者にして礼楽の実践者であるShinさんが受賞するのは、『天命』です。来年は満50歳だと思いますが、まさしく、『論語』の『50にして天命を知る』そのものですね。
日本の冠婚葬祭業と互助会の発展に務めた父上の佐久間進サンレー会長を始め、ご家族もサンレー社員のみなさんも大喜びのことと思います。
もちろん、義兄弟の造形美術家の近藤高弘さんもわたしも、です。
孔子文化賞』とは、孔子の子孫の孔健氏が会長を務める一般社団法人・世界孔子協会が昨年に制定・実施している賞で、孔子論語儒教の精神を広めた人物に贈られるものと聞いております。その第1回目には、野村克也氏(プロ野球東北楽天名誉監督)、渡邉美樹氏(ワタミグループ創業者)、 北尾吉孝氏(SBIホールディングス代表取締役執行役員CEO)、酒井雄哉氏(比叡山延暦寺大阿闍梨)の4名が受賞。今年の第2回目には、福田康夫氏(元内閣総理大臣)、稲盛和夫氏(財団法人稲盛財団理事長)、高木厚保氏(会津藩校日新館名誉顧問)、一条真也氏(平成心学塾塾長)。
凄い顔ぶれですね。授賞式は2月28日、東京目白の椿山荘で開催される由。
Shinさん念願の「天下布礼」が着々と進行していきますね。慶賀に堪えません。
というのも、Shinさんはこれまでたびたび人類史上で孔子をもっとも尊敬していることを公言してきました。そしてShinさんのブログでは、現役の方では稲盛和夫氏をもっとも尊敬しているとのことでした。その稲盛和夫氏と一緒に『孔子文化賞』を受賞するということは、『もっとも尊敬している歴史的人物の名前が入った賞をもっとも尊敬している現役社会人と同時受賞する』ということであり、大変得難い快挙であります。
Shinさんの『孔子とドラッカー 新装版』(三五館)は平成心学塾の基本テキストで、中国語版の刊行も検討されているとのこと。これから必ずやShinさんが礼楽の本場の中国で、孔子の思想について講演する機会も訪れることでしょう。ともあれ、ほんとうに、ほんとうにおめでとうございました」



わたしは、この鎌田先生のレターをシンガポールのホテルで読んだとき、本当に涙が出そうなくらい大きな感動を覚えました。特に、「もっとも尊敬している歴史的人物の名前が入った賞をもっとも尊敬している現役社会人と同時受賞する」ということが大変得難い快挙であると書いていただき、もう胸がいっぱいです。
ブログ「祝う心」にも書いたように、祝いの心とは、他人の「喜び」に共感することだからです。それは、他人の「悲しみ」や「苦しみ」に対して共感する「見舞う」という営みの対極に位置するものですが、じつは両者とも他人の心に共感するという点では同じです。
そして、他人を祝う心とは、まさに人間ならではの、最高にポジティブな心の働きだと思います。ブログ「見舞いの言葉」にも書いたように、鎌田先生は昨年わたしが足を骨折したときも心に沁みるお見舞いの言葉を送って下さいました。
鎌田先生は学者として一流であるだけでなく、人間としても素晴らしい方だと改めて痛感し、深く感謝の念を抱きました。本当にありがとうございました。


PHP文庫の書店用POP



さて、今回の孔子文化賞受賞に際して、出版界のほうでも動きがあります。
孔子とドラッカー 新装版』(三五館)は、すでに電子書籍化が決定していますし、中国語版の刊行も前向きに検討されています。
また、現代的な視点で『論語』の精神を紹介した『人間関係を良くする17の魔法』(致知出版社)もアマゾン・キンドルでの電子書籍化が決定しました。
さらに、『世界一わかりやすい「論語」の授業』(PHP文庫)は、PHPさんが書店用POPを作成して下さり、大々的にプロモーションをかけて下さるそうです。
本当に、ありがたいことです。それぞれの出版社さんに心より感謝いたします。



今あげた本以外にも、わたしは多くの著書で孔子の精神を紹介してきました。
葬式は必要!』(双葉新書)、『ご先祖さまとのつきあい方』(双葉新書)、『隣人の時代』(三五館)の「有縁社会再生三部作」をはじめとして、わたしの本にはすべて孔子の精神が溢れているように自分では思います。



さらに言えば、わたしのすべての活動の背景には孔子の「礼」の精神があります。
「礼」とは、わが社の事業である冠婚葬祭の根本となるものです。
それは「人間尊重」の心であり、その心を世に広めることが天下布礼ということです。
天下、つまり社会に広く人間尊重思想を広めることがサンレーの使命です。
わたしたちは、この世で最も大切な仕事をさせていただいていると思っています。
かつて織田信長は、武力によって天下を制圧するという「天下布武」の旗を掲げました。しかし、わたしたちは天下布礼です。武力で天下を制圧するのではなく、「人間尊重」思想を実践することによって世の中を良くしたいのです。


「夕刊デイリー」2月17日号



これからも冠婚葬祭を通じて、良い人間関係づくりのお手伝いをしていきたいものです。
また、わが社が隣人祭りを開催するのも、わたしが大学で教壇に立ったり本を書いたりするのも、すべては天下布礼の一環であると考えています。
天下布礼の新たな第一歩として、わが社は「隣人館」をオープンします。
明日は、いよいよ念願の竣工式が行われます。
孔子文化賞の名に恥じないよう、「礼」の心で介護事業にも取り組んでいく覚悟です。


2012年2月19日 一条真也