『30冊の本』

一条真也です。

『30冊の本』山川紘矢・山川亜希子著(PHP研究所)を読みました。
長年、精神世界関係書の翻訳を続けてきた夫妻によるブックガイドです。
本書の帯には、「『アウト・オン・ア・リム』『神との対話』『ザ・シークレット』などが伝える真のメッセージ」という文字に続いて、「あなたの意識を変え、『幸せに平和に生きる』ための知恵の結晶たち」と書かれています。


「幸せに平和に生きる」ための知恵の結晶たち


1986年3月、シャーリー・マクレーンの『アウト・オン・ア・リム』が地湧社から出版されました。出版社もできて数年で知名度がなく、ほとんど宣伝もしない状態での船出でした。翻訳者も無名で、有名だったのは著者のシャーリー・マクレーンだけでした。
しかし、初版の4000部は1ヵ月とちょっとで売り切れました。そして、発売した翌日から翻訳者である著者夫妻のもとに全国から手紙が届き始めました。
いずれも、この本を読んで感動し、人生の方向が変わったという内容の手紙でした。
著者は、本書の「まえがき」に次のように書いています。
「『アウト・オン・ア・リム』は、その前に私たちの人生を変えていました。目に見えない世界の存在に私たちの目を開かせ、これからはすべての人が自分たちが魂の存在であることを知り、意識を大きく広げることが大切であり、この時期、宇宙的な規模で様々な動きがあることを知ったのでした」



本書にもマリリン・ファーガソンの『アクエリアン革命』という本が紹介されていますが、同書をはじめ多くの精神世界の本において、21世紀は「アクエリアス」つまり「水がめ座」の時代が来るということが記されています。
それは、大いなる「霊性の時代」であり、わたしの唱える「ハートフル・ソサエティ」にも通じるものです。著者は、「まえがき」で次のように述べています。
「時は21世紀、愛と平和と透明な知性の時代、水がめ座の時代がやってきています。今までのお金と権力、憎しみと恐れが支配する時代から、愛と平和、やさしさとワンネスに満ちた時代へと変わりつつあります。そして今は、古い社会の枠組みが壊れてゆく時だといわれています。経済も社会も変化が必要になっています。
新しいものを作るためには、古いものを壊す必要があるのです。
今、世界中で起こっていることはまさにそれであり、実はその下にはすでに新しい枠組みが少しずつ、作られつつあるのかもしれません」



本書には、新しい社会の枠組みを用意しているという30冊の本が紹介されています。
30冊の選択基準は、次の4点に基づいているそうです。
1.この25年間に出版された精神世界の翻訳本
2.人々の意識を変えるために大きな力を持つ本
3.私たち(著者夫妻)が訳した本の中から、最初に選択する
4.残りは私たちが大好きで自分たちの成長に役立った本を選ぶ
そして、その結果、選ばれた30冊の本の書名と著者名は、以下の通りです。
訳者名が記されていないものは、著者夫妻が翻訳を担当しています。



『アウト・オン・ア・リム』 シャーリー・マクレーン
ゴーイングウイズィン』 シャーリー・マクレーン
『なまけ者のさとり方』 タデウス・ゴラス
アルケミスト』 パウロ・コエーリョ
星の巡礼』 パウロ・コエーリョ
『ホワイトホール・イン・タイム』 ピーター・ラッセ
『前世療法』 ブライアン・L・ワイス
『魂の伴侶』 ブライアン・L・ワイス
『聖なる知恵の言葉』 スーザン・ヘイワード
『心の扉を開く』 アイリーン・キャディ
『フィンドホーンの魔法』 ポール・ホーケン
『大地の天使たち』 ドロシー・マクレー
『聖なる予言』 ジェームズ・レッドフィールド
『ラスト・バリア』 ルシャッド・フィールド
『マスターの教え』 ジョン・マクドナルド
『聖なる旅』 ダン・ミルマン
『秘密の本(新版ホワンの物語)』 ロバート・J・ペトロ
ザ・シークレット』 ロンダ・バーン
『宇宙からの手紙』 マイク・ドゥーリー
『ザ・パワー』 ロンダ・バーン
『天使のまなざし』 ジャッキー・ニューカム
『人生を変える波動の法則』 ペニー・ピアース
『アクエリアン革命』 マリリン・ファーガソン(松尾弌之:訳、堺屋太一:監訳)
神との対話』 ニール・ドナルド・ウォルシュ吉田利子:訳)
『ザ・ワーク』 バイロン・ケイティ(神田房枝:訳)
『さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる』 エックハルト・トール(あさりみちこ:訳)
『みんなが幸せになるホ・オポノポノ』 イハレアカラ・ヒューレン
『「成功」+「幸せ」を手に入れる21の原則』 アーノルド・パテント(あさりみちこ:訳)
『人生は廻る輪のように』 エリザベス・キューブラー・ロス(上野圭一:訳)
『ニュー・アース』 エックハルト・トール吉田利子:訳)



この中で、わたしは半分くらいの本を読んでいました。本書で初めて知った本も多く、たとえばジャッキー・ニューカムの『天使のまなざし』などには強い興味を惹かれました。
『天使の眼差し』の紹介文の冒頭には、次のように書かれています。
「亡くなった家族や親友にもう一度会いたい、もう一度話をしたい、と思ったことはありませんか? もっと温かく接してあげればよかった、もっと一緒にいてあげたかったなどと思って、一度そのことを謝りたいと思ったことはありませんか。
『天使のまなざし』は、そのような人たちのための本です。私たちは波動の存在であり、この世に肉体を持っていようと、体を失って向こう側の世界にいようと、実は私たちは様々な方法で再会し、触れ合っているのですよと、この本の著者、ジャッキー・ニューカムはやさしく語っています」



こんな紹介文を読んだら、もう『天使のまなざし』を読まずにはいられません。
これは、わが社が取り組んでいる「グリーフケア」に直結する本だと思いました。
それで、早速アマゾンで注文しようと思ったところ、絶版になっていました。
仕方ないので古書で注文しましたが、気づくと、本書で紹介されている名著の多くが絶版状態になっています。現在の日本の出版状況を考えたら仕方ないのかもしれませんけれども、つまらない新刊を次から次に出すよりも、本当に読者の「こころ」に養分を与える良書を残してほしいものです。


現在、日本は東日本大震災に見舞われ、原発事故による放射能汚染の不安が強く漂っています。世界を見ても、環境破壊やテロや戦争などの問題が山積みです。
こんな危機的状況にある人類について、著者は「あとがき」で次のように述べています。
「人間はこれまでも、危機に遭遇しながら、その都度、何とか飛躍的な手法を発見して、命をつないできたことを知っているからです。危機は乗り越えることができます。人間はエゴという弱点を持っていますが、私たちの中には常に神聖な魂が宿り、いつも何らかのきっかけによって、覚醒するのを待っているからです」
そして、本書『30冊の本』が多少なりとも魂のさらなる目覚めに役立つことを願っているそうです。この人間をとことん信じきる著者の姿勢には、大いに共感しました。


最後に、YouTnbeに面白い動画を発見しました。ブライアン・ワイスの『未来世療法』を著者夫妻が訳してPHP文庫から刊行されているのですが、その告知動画です。
この映像に、なんと「出版界の炎のランナー」こと中村悠志さんが出演しているのです。
撮影者は山川紘矢氏で、奥様の亜希子氏も出演しています。
急にカメラを向けられた中村さんの困惑ぶりが微笑ましいですが、しっかりと真面目にコメントしており、視聴者に非常に好印象を与えます。撮影者の山川紘矢氏も、「中村さんが好青年なので、出演してもらいました」とエンドロールに書いていました。
わたしも、中村さんのことを「これぞ、好青年!」といつも思っています。
中村さんとの初めての仕事は、『開運! パワースポット「神社」へ行こう』(PHP文庫)でした。その後、『世界の「聖人」「魔人」がよくわかる本』(PHP文庫)でも一緒に仕事をしました。この本も、本当に素晴らしい内容だと今も胸を張って言える本です。
話題になった『最期のセレモニー』(PHP研究所)の出版でもお世話になりました。
そして、最新刊の『世界一わかりやすい「論語」の授業』でも編集を担当して下さいました。中村悠志さんの姿を意外なところで見れて、嬉しかったです。


2012年2月24日 一条真也