江戸しぐさ講演会

一条真也です。

今朝、東京で目覚めると、雪が積もっていて驚きました。
東京でこれほどの大雪は久しぶりです。宿泊先のホテルで、取材や打ち合わせをこなした後で羽田空港に向かい、スターフライヤーで北九州に帰って来ました。


講演される越川禮子先生

300名収容の会場が満員になりました



夜は、北九州市戸畑区の「ウェルとばた」で開催された講演会に行きました。
サンレー秘書室の鳥丸課長、織田さん、山口さんも一緒です。
講演の演題は「江戸しぐさのすすめ」でした。
講師は、「江戸しぐさ語り部」で有名な越川禮子先生。
300名収容の「ウェルとばた」の中ホールが満員になっていました。
ここは、わたしの次女のピアノの発表会で1度訪れたことがあります。
天井が高くて、音響効果抜群の素晴らしいホールです。



講演会の冒頭、解説を担当した「姚江の会・九州」代表である橘一徳氏から「越川先生は86歳になられますが、それが信じられないほどお元気です」との言葉がありました。
じつは、講演会が始まる前に越川先生にご挨拶させていただいたのですが、本当に年齢を聞いても信じられません。3日連続の講演も平気でこなされます。
橘一徳氏は、陽明学者の林田明大氏のお弟子さんだそうです。
今月22日、わたしを訪ねてきていただき、松柏園ホテルでお会いしました。
ちなみに、越川先生も林田氏もわたしも、みんな三五館ファミリーです。


アシスタントの女性がホワイトボードに記入します

ホワイトボードに大きな字が書かれます



ブログ「マナー世界一」にも書きましたが、東日本大震災直後の東京の地下鉄の駅で見られた通勤客のマナーの良さは、世界から絶賛を浴びました。
まさに、「江戸しぐさ」のDNAが東京に残っていたことを痛感しました。
江戸しぐさ」とは、江戸時代の江戸に普及した「思いやりの作法」です。
当時、大都会だった江戸では日本中から習慣や気質が違う人々が集まって生活していました。習慣や気質が違うと、当然ながら争い事が起こります。
その争いごとを避けるため、お互いを尊重しつつ気持ちよく生活するため生み出された庶民の知恵が「江戸しぐさ」です。
今日の講演会では、越川先生は着席のままお話になりました。
そして、アシスタントを務める「NPO法人 江戸しぐさ」の正会員である遠藤さんがホワイトボードにキーワードを大きな見やすい字で書いておられました。


次々にキーワードが書かれました



江戸しぐさは、江戸の商人を中心とした町人たちの間で花開いた「思いやり」の形です。出会う人すべてを「仏の化身」と考えていた江戸の人々は、失礼のないしぐさを身につけていました。譲り合いの心を大切にし、自分は一歩引いて相手を立てる。
威張りもしなければ、こびることもしない。あくまでも対等な人間同士として、ごく自然に実践していたものが江戸しぐさなのです。
しぐさとは、ふつうは「仕草」と書きますが、江戸しぐさの場合は「思草」と書きます。「思」は、思いやり。「草」は草花ではなく、行為、行動を意味します。
つまり、その人の思いやりがそのまま行いになったものなのです。


越川先生、本当にお元気です!



わが社の佐久間進会長は、以前から江戸しぐさに注目していました。そのため、この道の第一人者である越川禮子先生を会社にお招きして、御指導いただきました。
もともとは小笠原流を会社ぐるみで学んでいました。
小笠原流武家の礼法ですが、江戸しぐさは商家の作法。
武士と商人の違いはありますが、ともに「思いやりのかたち」としては同じです。
わたしは、『人間関係を良くする17の魔法』(致知出版社)や『隣人の時代』(三五館)、『ホスピタリティ・カンパニー』(三五館)などで、「江戸しぐさ」を紹介しました。



越川先生によれば、「江戸しぐさとは、マナーではない」そうです。
そして、「江戸しぐさは、江戸っ子のよい癖です」とおっしゃっています。
癖というのは、いちいち考えなくても体が先に動いてしまうということです。
すなわち、陽明学の「知行合一」にも通じる世界だと思います。
そんな江戸しぐさの根底には互助共生の精神があると、越川先生はいいます。
人にして気持ちいい、してもらって気持ちいい、はたの目に気持ちいいもの、それが江戸しぐさなのです。最後に、「リーダーこそ、江戸しぐさを身につけるべき」という越川先生のお言葉が心に残りました。


2012年2月29日 一条真也


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