礼を求めて

一条真也です。

「小倉間税会会報」最新号が送られてきました。表紙は、小倉城の写真です。
小倉間税会の会長は、ナフコ会長夫人である深町宏子氏が務められています。
深町会長は、昨年11月に財務大臣納税表彰も受けられています。


「小倉間税会会報」の表紙



その「小倉間税会会報」の巻頭エッセイを、わたしが書かせていただきました。
これまで、小倉記念病院の延吉正晴院長、「月の織女」こと染織家の築城則子先生といった地元を代表される方々が執筆されてきたそうです。誠に光栄であると思っていますが、わたしは「礼を求めて」というタイトルで書かせていただきました。


「小倉関税会会報」第18号



最初に、このたび受賞した「孔子文化賞」についての説明をさせていただきました。
わたしの受賞理由としては、まず、著作や主宰する平成心学塾を通じて、孔子および儒教の思想や倫理思想の普及に貢献したこと。加えて、北陸大学客員教授として日本の学生や中国からの留学生に孔子研究の授業を行ってきたこと。さらには、社業を通じて「礼」の実践に努めたことなどだそうです。それらの理由の中で最も嬉しかったのは、社業を通じての「礼」の実践が認められたことです。
「礼」とは、わが社の事業である冠婚葬祭の根本となるものです。
それは「人間尊重」の心であり、その心を世に広めることが「天下布礼」ということです。かつて織田信長は、武力によって天下を制圧するという「天下布武」の旗を掲げました。しかし、わたしたちは「天下布礼」です。武力で天下を制圧するのではなく、「人間尊重」思想を実践することによって世の中を良くしたいのです。




わが社は、今年から高齢者介護事業に進出しましたが、最初の施設となる有料老人ホーム「隣人館」」が飯塚市にオープンしました。
隣人館の月額基本料金は、7万8000円となっています。
内訳は、家賃が3万3000円、管理費が5000円、食費が4万円です。まさに究極の地域密着型小規模ローコストによる高齢者専用賃貸住宅なのです。飯塚市の次は、北九州市八幡西区折尾に2号店を作り、さらに各地に展開していく予定です。
孔子の説いた教えのポイントは、「人は儀礼を必要とする」ということ、そして「人は老いるほど豊かになる」ということではないでしょうか。
前者のほうは従来の冠婚葬祭事業がそのまま実践になっていますが、後者のほうはまさに高齢者介護事業がそれに当たります。
その意味で、この事業は「人は老いるほど豊かになる」という長年の考えを実現するものであり、人間尊重を実行するという意味で、「天下布礼」の一環なのです。
そこで大事なことは「孤独死をさせない」ということ。隣人祭りをはじめとした多種多様なノウハウを駆使して、孤独死を防止するシステムを構築することが必要です。
「隣人館にさえ入居すれば、仲間もできて、孤独死しなくて済む」を常識にしたいです。
全国の独居老人の方々にも、どんどん隣人館に入居していただきたいと願っています。




介護業も冠婚葬祭業も、あるいはホテル業も、すべては「人間尊重」というわが社のミッションに直結しています。わが社は「礼」の実践を生業とする「礼業」だと思っています。
世の中には農業、林業、漁業、工業、商業といった産業があります。
わが社の関わっている領域は「礼業」です。「礼業」とは「人間尊重業」でもあります。
そして、「ホスピタリティ・インダストリー」の別名でもあります。
以前、「思いやり 形にすれば礼となり 横文字ならばホスピタリティ」という短歌を詠んだことがあるのですが、東の「礼」も西の「ホスピタリティ」も結局は「思いやり」を形にしたものであり、それが「もてなし」へと発展するのだと思います。



最後は、「そして、小倉から・・・」というメッセージを述べました。
「礼」は古代中国で生まれたコンセプトですが、日本には600年来の伝統を持つ小笠原流礼法があります。小笠原流礼法を司ったのは、もちろん小笠原家です。
そして改めて言うまでもありませんが、かつて小倉は小笠原藩でした。
小倉に生まれたわたしも、父の影響で小笠原惣領家の故・小笠原忠統先生より礼法を学びました。現在、弊社では現場の教育訓練に礼法を取り入れています。
お辞儀や歩き方といった「形」を通して「礼」の心を追求する礼法は、今こそ、モラル・ルネッサンスが必要とされる現代社会において輝きを放つと思います。
形の乱れは心の乱れ。世直しの風を小倉から日本全国に吹かせたいと願っています。



じつは、孔子文化賞の記念出版として、『礼を求めて』という本を現在製作中です。版元は三五館さんで、「出版界の青年将校」こと中野長武さんが編集してくれています。
5月18日に開催される「孔子文化賞受賞祝賀会」において、この本を参加者の皆様にお配りする予定です。今後の「天下布礼」に向けての決意表明の書となるでしょう。



なお、今日は17時から松柏園ホテルで、あるセレモニーを行います。
サンレーグループにとって、非常に重要なセレモニーです。
天下布礼」をさらに進めるために、強力な援軍がわが社に駆けつけてくれました。
これから、その入社式および歓迎懇親会を行うのです。
詳しくは、また後ほど御報告させていただきます。


2012年4月20日 一条真也