センダックの思い出

一条真也です。

いま、訃報のニュースが入りました。
8日、アメリカの絵本作家であるモーリス・センダック氏が亡くなったそうです。
脳卒中後の合併症のために死去したそうですが、享年83歳でした。
エリック・カールトミー・ウンゲラーと並んで、わたしの大好きな絵本作家でした。

娘たちに読んでやったセンダックの絵本



センダック氏は、1928年にニューヨークのブルックリンで生まれました。わたしが生まれた年である63年に発表した絵本『かいじゅうたちのいるところ』は全世界で約2000万部、日本で約100万部を売り上げるロングセラーになりました。
この物語では、少年マックスがボートで不思議な怪獣たちが住む島にたどり着きます。
その怪獣たちも、じつに愛嬌のある姿をしており、親しみが持てます。
この絵本は64年、優れた絵本に贈られる米国で最も権威のあるコルデコット賞を受賞しました。その後、70年には国際アンデルセン賞も受賞しています。
さらに、この作品は2009年に映画化もされており、わたしも観ました。


わたしが最初に『かいじゅうたちのいるところ』を知ったのは、文化人類学者の山口昌男氏の著書の中でした。山口氏は、『かいじゅうたちのいるところ』をはじめとして、センダックの絵本にはすべて「神話的思考」があると述べており、興味を抱いたのです。


そこで、長女が生まれると、『かいじゅうたちのいるところ』『まよなかの台所』『ピエールとライオン』『ジョニーの数え歌』『チキン・スープ ライスいり』などの絵本を買ってきて、読んでやりました。もちろん次女にも読んでやりました。そのうち、センダックの絵本のアニメをほとんど収録した「世界絵本箱」のビデオを入手しました。
2人ともそれを繰り返し観ていましたが、じつは、わたしもよく観ました。


今夜、ネットでセンダックという名前を見て、とても懐かしくなりました。
娘たちとのかけがえのない思い出を提供してくれた偉大な絵本作家に感謝します。
そして、センダック氏の御冥福を心よりお祈りします。合掌。


2012年5月9日 一条真也