格闘大国ニッポン

一条真也です。

今日からお盆ですね。
熱戦を繰り広げたロンドンオリンピックが無事に閉幕しました。懸念されたテロも発生せず、大会運営に大きな混乱もないまま17日間の会期は無事に終了しました。


朝日新聞」8月13日朝刊



大会最終日、レスリング男子フリースタイル66キロ級の米満達弘自衛隊)が優勝しました。レスリング日本男子としてはソウル五輪以来、24年ぶりの金メダル獲得です。
また、11日に行われたボクシング男子ミドル級の決勝では、村田諒太東洋大職)が日本勢としては48年ぶりとなる金メダルを獲得しました。
重量級であるミドル級での金は本当にすごい!
米満選手にしろ村田選手にしろ、日本男児は強かった!
わたしが何より嬉しかったのでは、レスリングとボクシングは格闘技の原点である「パンクラチオン」が分かれたものであり、それぞれ組み技系と打撃系の頂点に位置する競技だからです。パンクラチオンは、古代オリンピアの最大の花形競技でした。



男子だけではなく、日本の女子も強かった!
柔道女子57キロ級の松本薫選手、レスリング女子48キロ級の小原日登美選手、55キロ級の吉田沙保里選手、63キロ級の伊調馨選手も金メダルに輝きました。
特に、吉田選手と伊調選手は3連覇という偉業を成し遂げました。
今回、7人誕生した金メダリストのうち、体操の内村航平選手以外は柔道・レスリング・ボクシングと全員格闘技の選手でした。
日本は、いまや世界に冠たる「格闘大国」ですね。



残念なのは、柔道の男子で金メダリストが出なかったことです。
講道館創始者である嘉納治五郎講道館は、日本のオリンピック参加における最大の功労者でもああっただけに残念です。もっとも嘉納治五郎のめざした柔道は、きれいな一本が取れる「美しい柔道」、相手を思いやる「礼の柔道」、すなわち「武道としての柔道」であり、現在のようなポイント制の「スポーツ柔道」ではなかったとは思いますが。



それにしても、今大会では日本勢が大活躍しました。
今大会での日本の金メダルは7個で、「15個以上」とした目標には届きませんでした。
しかしながら、メダル総数は2004年アテネ大会を上回る史上最多の38個に達し、25個にとどまった前回の北京大会から大きく盛り返しました。


ブログ「ロンドン五輪の開幕」に書いたように、古代ギリシャにおけるオリンピックの発生には自国の大量の死者を弔う葬送儀礼の意味がありました。今回のロンドン五輪に参加した日本勢は、東日本大震災の犠牲者の供養を果たしたのではないでしょうか。
それにしても、葬儀から派生したオリンピックが終わった日に、日本列島がお盆に突入するというのも感慨深いですね。わたしたちは、常に死者とともに生きています。
そして、人間の営みの基本には「死者への想い」があります。
わたしは新作『唯葬論』(仮題)の構想を練りながら、ロンドンオリンピックの閉会式をテレビで観賞しました。いよいよ明後日、日本は「終戦の日」を迎えます。


2012年8月13日 一条真也