豊かな心を求めて

一条真也です。

まだブログ休止中ですが、番外編としてUPいたします。
毎日、寒いですね。昨日は、福岡県全域で雪が積もりました。
昨夜、かつてない大量のアクセスが殺到しました。休止中のブログに何が?! 
驚いて調べてみると、ブログ『夜行観覧車』の記事に集中しています。
なんでも昨夜からTBS系列で「夜行観覧車」のドラマがスタートしたそうで、その関係で当ブログを参照した方が多かったようです。いや、それにしても驚きました。ネット時代とか何とか言っても、まだまだテレビの影響力は大きいのだと痛感しましたね。


日本経済新聞」1月19日朝刊



ところで、今朝の「日本経済新聞」にわたしの取材記事が掲載されました。
「肖像〜九州・沖縄」というコーナーで、日本経済新聞社北九州支局長である三宅一成(イッセイミヤケ!)さんが書いて下さいました。ブログ「オリンポスの神々に見守られて」で紹介した松柏園ホテルのガーデンで、わたしが孔子文化賞受賞を記念して出版した『礼を求めて』(三五館)を持った写真が掲載されています。また、わたしのこれまでの歩みやさまざまな試みなどを紹介した後、次のように書かれています。
「次に目指すのは北九州市を『高齢者が安心して暮らせる街にしていくこと』。介護事業への参入はその第一歩だ。同市での高齢化の進展を逆手に取り、『高齢者が全国から集まる都市づくりに取り組めば、世界からも注目されるはずだ』。」
そして記事の最後には、わたしが「夢の続きを見るため、『豊かな心』を求めて突き進む」と結んでくれました。「豊かな心」とは「ハートフル」、そして「礼」に通じます。
わたしは現在、「毎日新聞」に「ハートフル通信」というエッセイを連載をしているのですが、その第1回でも「ハートフルとは何か」について書きました。


毎日新聞」2012年10月5日朝刊



日経の三宅支局長が最後に書いて下さった「豊かな心を求めて突き進む」とは、わがスローガンである「天下布礼」ということです。新年早々、わたしは柔道着姿で「天下布礼」を訴えました。ブログ『夜行観覧車』へのアクセス数には及びませんが、わたしの柔道着の写真が掲載されたブログ「新年祝賀会」にも大きな反響がありました。
あの祝賀会は1月4日に開かれましたが、その夕方に妻の父親、つまり義父が亡くなりました。5日に通夜、6日に葬儀を行いました。義父は広島県に住んでいましたので、地元の互助会に入会し、滞りなく葬儀をあげていただきました。
家族を愛し続け、仕事に情熱を捧げ続けた義父は、77年の人生を堂々と卒業していきました。わたしは喪家の一員だったわけですが、セレモニーホールの担当者に何度も「ありがとうございます」とお礼を述べました。大切な家族の葬儀のお世話をしていただき、心の底から感謝の念が湧いたからです。わが社の紫雲閣のスタッフに丁重にお礼を述べられるお客様の心中がよく理解できました。



また、今月13日には長女が成人式を迎えました。
北九州市の成人式は「成人祭」と名づけられています。
例年通り、会場は八幡東区スペースワールドでした。式典で挨拶に立った北橋健治市長は「この日を大人への一歩を踏み出す区切りとし、支えてくれた人たちへの感謝を伝えるチャンスにしてほしい」と述べました。
振袖やスーツに身を包んだ7615人の新成人たちは晴れやかな思いで市長の挨拶を聴いたことだと思いますが、その中にはわたしの長女の姿もあったのです。
長女は振袖を着ましたが、わが社の松柏園ホテルで着付と美容を行いました。
ついこの前まで子どもだと思っていた娘の晴れ姿を見て、父親として感無量でした。
わずか1週間の間に家族の葬儀と成人式が行われ、非常に慌しい中にも「家族」というものの有難さ、大切さを強く感じました。



いま、日本は「無縁社会」などと呼ばれています。
しかし、この世に「縁」のない人はいません。
どんな人だって、必ず血縁や地縁があります。
そして、多くの人は学校や職場や趣味などでもさまざまな縁を得ていきます。
この世には、最初から多くの「縁」で満ちているのです。
ただ、それに多くの人々は気づかないだけなのです。
わたしは、「縁」という目に見えないものを実体化して見えるようにするものこそ冠婚葬祭ではないかと思います。結婚式や葬儀、七五三や成人式や法事・法要のときほど、縁というものが強く意識されることはありません。
冠婚葬祭が行われるとき、「縁」という抽象的概念が実体化され、可視化されるのではないでしょうか。そもそも人間とは「儀礼的動物」であり、社会を再生産するもの「儀礼的なもの」であると思います。



いま、冠婚葬祭互助会の社会的役割と使命が問われています。
わたしは、互助会の役割とは「良い人間関係づくりのお手伝いをすること」、そして使命とは「冠婚葬祭サービスの提供によって、たくさんの見えない縁を可視化すること」だと思います。そして、「縁っていいなあ。家族っていいなあ」と思っていただくには、わたしたち冠婚葬祭業者が本当に参列者に感動を与えられる素晴らしい結婚式やお葬儀を1件、1件お世話させていただくことが大切だと思います。
その上で、互助会が「隣人祭り」などの新しい社会的価値を創造するイノベーションに取り組めば、無縁社会を克服することができるのではないでしょうか。
冠婚葬祭互助会は、その名の通り、「相互扶助」そのものをコンセプトとした会員制組織です。そのルーツは、きわめて日本的文化に根ざした「結」や「講」にさかのぼります。
日本的伝統と風習文化を継承し、「結」と「講」の相互扶助システムが人生の二大セレモニーである結婚式と葬儀に導入され、互助会は飛躍的に発展してきました。
「豊かな人間関係」こそは冠婚葬祭業のインフラであり、互助会は「有縁社会」を再構築する力を持っています。わたしたち日本人が「豊かな心」を持ち続けていくために互助会の存在は不可欠であると、わたしは信じています。


互助会の果たす役割を示しています



現代日本社会の中で、互助会が果たす役割について明確に示した本があります。
昨年末に刊行された『無縁社会を生きる』(幻冬舎)という本です。
著者は、互助会保証株式会社の藤島社長です。
同社は、経済産業大臣から指定を受けた指定受託機関です。
冠婚葬祭互助会に対する保証事業を行うために、互助会と金融機関の出資で設立されました。わが社をはじめ互助会各社が日頃から大変お世話になっています。いくつかの互助会経営者へのインタビューも掲載されており、わたしも登場しています。
全互協では、「無縁社会の克服」をテーマに広報活動を展開してきました。
ブログ「無縁社会シンポジウム」に書いたように、昨年1月にはパネルディスカッションを開催し、その内容は『無縁社会から有縁社会へ』(水曜社)にまとめられました。同書の中で、6人の論客が無縁社会克服のための持論を展開しています。一方、『無縁社会を生きる』のほうは多くの調査資料から社会動向を分析することによって「無縁社会」への処方箋を提示しています。2冊の本は相互補完関係にあるように思います。


パナマ勲章伝達式にて



藤島社長は、経済産業省のご出身で、総合商社の双日(株)の副社長も務められました。さらにはパナマ大使も経験され、昨年10月11日にはパナマ大統領から名誉ある「バスコ・ヌニェス・デ・バルボア大十字勲章」を授与されています。
わたしは、ザ・ペニンシュラ東京で行われた勲章伝達式に参列させていただきました。
互助会業界からは、わたしの他にベルコの齋藤社長、メモリードの吉田社長、それにわたしの弟である佐久間康弘の4人が参列しました。
そのような輝かしいキャリアを持つ藤島社長は、多くの調査資料から「気になる社会動向」を分析した上で、「無縁社会」への処方箋を提示されています。そして、「自分の死を見つめること」に無縁社会を生き抜くヒントがあると喝破します。そのことで、誰もが自分の周囲の人間を大切に思えます。そこから、互いに助け合う社会が実現する。
「死を見つめ、縁を作る」という結論は、もはや調査データを超越した一流の人生観にほかなりません。社会の無縁化が進む中で、人々の「縁」を深め、「絆」を強める力を互助会は持っています。来るべき未来において、互助会の果たす役割はさらに大きくなっていくと、互助会保証の現社長は確信しておられます。まことに心強いことです。
わが社でも幹部や1級葬祭ディレクターをはじめ、多くの社員が同書を読みました。
みなさんも、『無縁社会を生きる』をぜひお読み下さい。



ということで、わたしは、これからも、「豊かな心」を求めて突き進むつもりです。
本格的なブログ再開に向けても、準備を進めています。
入念な検討を重ね、新しいデザインもほぼ決まりました。
どうか、もう少しだけ、お待ち下さい。
ニュー・ブログで、またお会いしましょう!


2013年1月19日 一条真也