庭は心を豊かにする

一条真也です。

金沢から東京に入りました。
昨日、兼六園でしみじみ思いました。
庭園ほど贅沢なものはありません。
いくら立派なハードであろうが、庭園には絶対かないません。
庭ほど、人の心を豊かにするものはないのです。


           庭園をはじめ、人間にとっての「遊び」の意味をさぐる


わたしはかつて、『遊びの神話』(東急エージェンシーPHP文庫)という本を書きましたが、帯には「デイズニーランド」の文字が躍っています。
そういえば、今日は東京デイズニーランド(TDL)がオープンした日ですね。
TDLは、1983年4月15日にオープンしたのです。

その『遊びの神話』において、わたしは庭園の意味と歴史について書きました。



西洋における庭園は、『旧約聖書』に出てくるエデンの園を再現する試みでした。
人気のイングリッシュガーデンでも幾何学的なフランス式庭園でもみんなそうです。
そのエデンの園をもっとも忠実に再現しようとしたのがイスラムの庭園文化でした。
コーラン』において、アラーの神はまさしく、楽園を庭園として規定しました。
そしてイスラムの人々は、来世にそれを熱望するだけでなく、現世においてもそのイメージを実現しなければならないと考えたのです。 
中国では道教の思想による神仙庭園が発達しました。
一方、日本では仏教の庭園文化が花開きました。
寺院の境内に極楽浄土の荘厳を試み、寺院の環境から生じる雰囲気によって信仰心を強めようとしたのです。ここに寺院庭園の一つの形式として浄土庭園が生まれます。
このように庭園とは天国や極楽の雛形だったのです。



                 松柏園ホテルの日本庭園


わが社の松柏園ホテルには日本庭園があり、おかげさまで好評をいただいています。
ここには松と柏もあれば、見事に咲き誇る桜もある。
漱石や鴎外の句碑もあれば、古代の聖なる岩・ペトログラフまである。
お客様から「こんなすごい庭がどこにありますか!」と言っていただくこともあります。
さらに、日本庭園だけではありません。
ローマ帝国の遺跡をモチーフにオリンポス12神を備えた西洋庭園もあります。
日本庭園と西洋庭園の両方を持っている施設というのは全国でもきわめて珍しい存在ではないでしょうか。
あなたも、ぜひ、松柏園の庭を見に来られて下さい。
きっと、贅沢な気分になれることと思います。



              古代ローマをイメージした西洋庭園


以前、わたしはリゾート・プランナーをやっていたことがあります。
この世に楽園をつくろうと思って、数多くのリゾート計画に携わりました。
その頃の志を書いたのが『リゾートの思想』でした。
その多くはバブル崩壊などで立ち消えになりましたが、現代人の病んだ心を癒す幸福の空間としてのリゾートは必要だと今でも思います。
わたしにとっての楽園とは、松柏園で共生している「和洋」両庭園なのかもしれません。


                     幸福の空間を求めて


2010年4月15日 一条真也