家族とインターネット

一条真也です。

小倉は暖かいです。
それに比べて、今朝の東京は雪が降ったそうですね。
なんでも41年ぶりの遅い雪とか。まったく異常気象ですね。
異常といえば、人間の世界でも信じられない事件が起きましたね。


              インターネットを解約され、家族を殺害


17日の午前2時すぎに愛知県豊川市に住む30歳の無職男性が、寝ている両親および弟家族のあわせて5人を包丁で刺した上に放火したのです。
焼け跡から、父親と1歳の女児の2人の遺体が見つかりました。
母親と弟夫婦もけがをしていて、1人は重症だそうです。
なにより衝撃的だったのは、調べに対して容疑者の男性が、「インターネットの契約を家族に解約された」と思い込んで5人を刺したと供述したことです。
まさか、インターネットのために家族を殺そうとするとは!



この容疑者は、何を目的にインターネットの契約をしていたのでしょうか。
彼はいわゆる「引きこもり」状態だったようですが、ブログやツィッターで誰かとつながっていたのでしょうか。
いくらWebでつながっても、それはしょせんバーチャルな人間関係でしかありません。
そして、リアルな人間関係の最たるものが「家族」です。
バーチャルのためにリアルを消そうとするとは!
まったく空恐ろしい時代になったものだと感じますが、それ以上にこの事件はバーチャルな世界が肥大化する現代社会を浮き彫りにする象徴的な事件であると思います。



わが社が業としている冠婚葬祭はバーチャルを超えたリアルな営みです。
「冠婚葬祭とは一言でいって何ですか?」と尋ねられたとき、わたしはいつも「人が集まることです」と答えています。
結婚式にしろ、葬儀にしろ、冠婚葬祭とは生身の人間が実際に集まってきて、喜びや悲しみの感情を持ち、祝意や弔意を示すことに他なりません。

ITとは、インフォメーション・テクノロジーの略です。
ITで重要なのは、I(情報)であって、T(技術)ではありません。
ドラッカーは、IT革命の本当の主役はまだ現われていないと述べました。
その情報にしても、技術、つまりコンピュータから出てくるものは、過去のもの、組織の内部についてのものにすぎないといいます。
本当の主役、本当の情報が登場するのはこれからなのです。
そして、真の主役こそ、「思いやり」「感謝」「感動」「癒し」といったポジティブな心の働きだと、わたしは信じています。

ITだけでは人類の心は悲鳴をあげて狂ってしまいます。
ITの進歩とともに、人が会う機会がたくさんある社会でなければなりません。
そして、多くの人が会う機会の最たるものこそ冠婚葬祭です。
結婚式や葬儀に限らず、七五三、成人式、長寿祝、法事、さらには隣人祭り、婚活セミナー・・・・・わが社は、これからも、ありとあらゆる人が集まる「理由」や「目的」を作っていきたいと思います。
今日も、早朝から月次祭の後で「平成心学塾」を開催しましたが、そこで映画「裸の島」を取り上げて家族の大切さを説きました。
無縁社会」を乗り越えるのも、すべては家族からです。


2010年4月17日 一条真也