父親参観日

一条真也です。

今日は、次女の通う小学校に行ってきました。
「父親参観日」だったのです。
最近は父親のいらっしゃらない家庭への配慮もあり、「日曜参観日」と呼ばれています。
昨年は、スーツにネクタイで行ったところ、他にスーツ姿の人がほとんどおらず浮いてしまったので、今年は少々ラフな格好にしました。


                次女の通う小学校を訪れました


次女は一番前の席に座っています。
それで教室の中には入らず、廊下から授業の様子を眺めました。
授業は算数で、平方根などが出てきました.
「2の平方根」のところで、「1.41421356・・・」を「ヒトヨヒトヨ二ヒトミゴロ」と記憶するところなど、なつかしかったですね!
娘は何度か手をあげて、1回だけ当てられました。
なんだか親のほうが緊張しますが、正解だったので安心しました。(笑)



今日、気づいたのは生徒たちの姿勢の良さでした。
みんな背筋を伸ばして、きちんと椅子に座っている。
見ると、黒板の横に「立腰強化週間」という張り紙があったので納得しました。
この小学校は、いわゆる立腰教育を取り入れているのです。
立腰教育とは、日本を代表する教育思想家とされた森信三によって提唱されたものです。森信三は、次のように説きました。
人間が主体的な人間になるにはどうすべきか。
それは、人間は心身一如の存在ゆえ、性根の確かな人間を作るためには、まず身体から押さえてかからなければならない。
意識は瞬時に変転するものであり、その持続性を養うためにはどうしても身体から押さえてかかる必要がある。
そして、著書『立腰教育入門』において、「身体の中で一番動かぬところといえば胴体であり、その中心は腰骨である。腰骨を立て貫く以外に真に主体的な人間になるキメ手はないといってよかろう」と述べています。
そして、その具体的な方法とは、
一、尻を思いきり、後ろに突き出すこと。
一、反対に腰骨をウンと前に突き出すこと。
一、そして下腹に力を入れると、肩の緊張がスカッととれる。
現在、立腰教育は幼稚園から高校まで全国の教育機関で導入されています。
「立腰」には座禅の真髄が生かされているといわれますが、小笠原流礼法の「胴作り」も明らかに影響していると思います。
礼法という、大いなる人間関係の魔法の体系は、立腰という主体的な人間になるための素晴らしき魔法をも生んだのでした。
何よりも正しい姿勢が人間生活の根本であり、その意味で立腰教育を取り入れている学校の方針には父兄として安心感をおぼえました。



授業の後、父兄は講堂に移動して、講演を聴きました。
講師の先生は、福岡県警察本部・北九州サポートセンター係長の安永智美さん。
演題は、「問題行動の根っこ〜大切なお守り〜」でした。いわゆる非行少年の立ち直り支援をされているだけあって、非常に説得力があり、勉強になるお話でした。
安永さんいわく、非行少年とは「不幸少年」である。「悪い子」や「困った子供」ではなく、その子自身が「困っている」子供たちなのだという指摘には共感しました。
また、愛情を求める代償行為として、万引きなどの窃盗を繰り返す子供がいること。
恐怖と寂しさは攻撃性を育て、キレる子供たちが粗暴犯になっていくこと。
幼児期の忘れものを求めて、性非行に走る子供たちも多いこと。
頑張っている子供に対して、絶対に「がんばれ」と追い討ちをかけず、「がんばってるね」と言うべきこと。
茶髪も化粧も、子供たちにとっての「鎧」であり、親が守ってくれないから「自分で自分を守る」のだということ。
子供を非行に走らせない最大のお守りとは、「お母さん、お父さんを悲しませたくないから」という心であること。
以上のようなお話の最後に、子育ての中で一番大切なのは「聴く」「認める(ほめる)」「叱る」「伝える」の4点であり、子供に対する「生まれてきてくれて、ありがとう」「大好きだよ。大切な宝物だよ」という心の重要性を訴えておられました。
これは、子育てだけでなく、マネジメントにも通じることだと思います。
まさに、ハートフル・マネジメントとの共通性を強く感じました。



それにしても、かつては中学生がコンドームを持っているというのが話題になりましたが、今の中学生は妊娠検査薬を持っている子も多いそうです。コンドームくらい小学生高学年でも持っているとか。
また、安永さんが普通の中学生の男女200人に対して、「相手が好きだったら、セックスしてもいいと思うか?」という質問をしたところ、「いい」と答えた子が197人、「よくない」と答えた子が3人という結果だったという話にはショックを受けました。
結局、「自尊心」というものを持たないと、セックスにも薬物にも引きずり込まれてゆくと、安永さんは話されていました。
そして、「子供を守るものは親の気迫」という言葉が心に残りました。たしかに、今の子供に最も必要なものは「自尊心」であり、親に必要なものは「気迫」だと思います。
ちょうど、いま、上田紀行さんの『生きる意味』や『かけがえのない人間』などの一連の著書を読んでいるところだったので、内容にクロスする部分が多く、興味深く講演を聴くことができました。


2010年6月6日 一条真也