天使の軌跡

一条真也です。

今夜は珍しくテレビを観ました。
フジテレビで20時から放映された「奇跡体験! アンビリーバボー」に書家の金澤翔子さんが取り上げられたからです。


翔子さんのことは、ブログ「天使」に書きました。
番組では、「ダウン症天才書道家母娘の軌跡・・・亡き父と結んだ約束」として紹介されていました。タイトルからもわかるように、翔子さんの障害の部分がメインで、その天才性の説明がもう一つだったという不満は残りました。それでも良い番組でした。
まず、母親である金澤泰子さんの悲しみ。ダウン症の子を持って、自身の日記に「ゆりかごの中で殺してあげなければ」とまで書いた心中を思い、涙が出ました。



そして、父親である悟さんは翔子さんを溺愛し、「翔子が20歳になったら個展を開こう。ダウン症の子がここまでになりましたという報告の会にするんだ」と言っていました。
残念ながら悟さんは、その夢を叶えることなく夭折しましたが、翔子さんは「お父さまは影になって私を助けてくださる」と思っていたそうです。
その場面を見て、また涙。わたしも、亡くなった悟さんは、姿は見えなくとも実際に翔子さんをサポートしていたと信じます。
20歳で待望の個展を開催し、それが大成功に終わったとき、翔子さんは「お疲れさま」という父親の声が聞こえたそうです。



そうです。わたしたちは、死者とともに生きているのです。
わたしたちは、けっして死者のことを忘れてはなりません。
死者を忘れて、生者の幸福など絶対にありまえません。
ブログ「フラッシュは緑色?」に紹介されている写真週刊誌「FLASH」最新号で、『葬式は、要らない』の著者である宗教学者島田裕巳氏は「生きている人が死んでいる人に縛られるのっておかしいと思いませんか?」と述べています。
わたしは、島田氏の発言のほうがおかしいと思います。なぜなら、生きている人間は死者から縛られるのではなく、逆に死者から支えられているからです。
今の世の中、生きている人は亡くなった人のことを忘れすぎています。
だから、社会がおかしくなってしまったのではないかと思います。


番組の終わりのほうで、翔子さんが自分と同じく障害をかかえている子どもたちの手を取って書道を教えていました。その姿を見て、また涙が出てきました。
小学校の運動会の徒競走では、転んだ友達を気遣ってゴールを切らなかったそうです。
翔子さん、あなたは本当に優しい心を持っているんだね。
それなのに、こんなに力強い書が書けるなんて、本当にすごいね!
わたしは、あなたの書を見るたびに、大きなエネルギーを貰っています。



今夜の番組のことは、ブログ「美の商人」でご紹介した銀座の「晶アート」のオーナーである大川原有重さんのブログで知りました。
大川原さんは、「大川原有重の日記」、および、「大川原有重 春夏秋冬」という2つのブログで、よくわたしのことを書いてくれています。
また、7月27日に東京で開催される「孤独死」についての講演にも来て下さるとか。
大川原さん、いつも応援していただき、本当にありがとうございます。


最後に、翔子さんは亡きお父さんに向って手紙をよく書くそうですが、番組でも1通の手紙が紹介されていました。それは、便せんに次のように書かれていました。
「お元気ですか  私は24才になりました。  又、会いたいです。」
翔子さん、大丈夫!あなたは、いつか、きっと、お父さんに、また会えるよ。
わたしが保証する。絶対に、また会えるから、心配しないでね。
そして、これからも世の中の人たちを元気にしてくれる書をたくさん書いてくださいね!


2010年7月22日 一条真也