『おじいちゃんがおばけになったわけ』

一条真也です。

お盆休みも終わりました。
この時期は、亡くなった祖父母を思い出しますね。
だからというわけでもありませんが、『おじいちゃんがおばけになったわけ』キム・フォップス・オーカソン著、エヴァエリクソン絵(あすなろ書房)を読みました。
2005年の絵本ランキングで、海外翻訳絵本の第1位に輝いた名作です。


                    明るい「死」の絵本


著者のオーカソンは、アンデルセンを生んだ童話王国デンマークの出身で、現在は映画の脚本家としても活躍しています。
画家のエリクソンスウェーデン生まれで、日本でも人気のイラストレターです。
物語の主人公はエリックという男の子。年齢は書かれていませんが、小学校に通っているようなので、6歳の1年生というところでしょうか。
このエリックには、おじいちゃんがいました。
エリックは、このおじいちゃんが大好きで、いつも「じいじ」と呼んで慕っていました。


でも、そのおじいちゃんが心臓発作を起こし、道に倒れて亡くなってしまったのです。
エリックは、悲しくて、いっぱいいっぱい泣きました。
それから、「じいじは、どうなるの」と両親に聞きました。
この年齢の子どもは、まだ死の意味をよく理解していないのです。
「じいじは天使になる」とママは言い、「土になる」とパパは言います。
でも、エリックにはどちらもピンときません。
納得のいかないまま自分の部屋に帰ったエリックのもとに、なんと死んだはずのおじいちゃんが現われました。
死んだ人が戻ってくるなんて誰も教えてくれませんでした。
エリックは驚いて、「そうか、じいじはおばけになったんだね?」と叫ぶのです。


それから、ささやかなエリックとじいじの冒険が始まりました。
どうやら、じいじは何か大切な忘れものをして、この世に戻ってきたようです。
でも、それが何なのか、なかなか思い出せません。
エリックがいろんな写真を見せても、うまく思い出せません。
しかし、ついに、おじいちゃんは大切なものを思い出します。
そして、エリックに素敵なプレゼントをくれるのでした。
詳しい内容はネタバレになるので書きませんが、とても心あたたまるお話です。
ぜひ、お盆休みに、幼いお子さんに読んで聞かせてあげたい本です。


本書の帯の裏には、次の3つのコメントが載っています。
「文句なしのイチオシ。死をあつかっているのに、明るくて楽しい。そして、最後には熱い涙が・・・・・。」千葉茂樹(翻訳家)
「3歳の娘に読み聞かせていますが、ラストはいつも私が泣いてしまいます。・・・・・宝物のような本です。」主婦(27歳)
「本を持って帰ってくると、息子は時には笑ったりもしながら、何度も読んでいる様子でした。一度読んでみようか・・・・・気軽な気持ちで読み始めた私は、涙がとまりませんでした。」主婦(32歳)
この明るい「死」の絵本は、わが社のグリーフケアのコンセプト・ショップ「ムーンギャラリー」のブックコーナーに、ぜひ置くつもりです。


2010年8月17日 一条真也