いまだ木鶏たりえず

一条真也です。
東京に来ています。
昨日は、副会長を務めている全国冠婚葬祭互助連盟(全互連)の正副会長会議および理事会に出席しました。今日は、これから(社)全日本冠婚葬祭互助会協会(全互協)の理事会に出席してから北九州に戻ります。
さて、連勝記録を続けていた横綱白鵬がついに敗れましたね。
15日、福岡国際センターで大相撲九州場所2日目が行われましたが、結びの一番で平幕・稀勢の里に寄り切られました。


初場所14日目の琴欧洲戦から続いていた白鵬の連勝は「63」で止まりました。
この九州場所で、史上1位の横綱双葉山の69連勝の記録を塗り替えると予想されていましたが、新記録は生まれなかったわけです。
ブログ「双葉の里」に書いたように、わたしは双葉山をリスペクトしていますので、正直言って、偉大なる69連勝の大記録が塗り替えられなかったことに安堵しました。
白鵬は嫌いな力士ではありませんが、やはり、国技・大相撲そのものの象徴である双葉山の神秘性は守られるべきだと思っていました。
それから、最大のライバルだった朝青龍がいない土俵で連勝を重ね、新記録を樹立したところで白鵬にとっても意味がないように感じました。
平成20年夏場所の千秋楽では、朝青龍白鵬が殴り合い寸前にまでなりました。
あのように場の空気が凍りつくような緊張感が、今の土俵からは感じられませんね。


それにしても、稀勢の里が天下の大金星をあげた瞬間の盛り上がりが今一つだったように思います。白鵬が金星を与えたのは、昨年秋場所6日目の翔天狼戦以来です。
最多記録を更新していた連続全勝優勝も4場所で途切れたわけですから、観客はもっと大騒ぎしてもおかしくありませんでした。禁止されているのでしょうが、座布団がまったく飛ばなかったのは少々寂しい気がしました。
昭和14年1月場所4日目、双葉山が安藝ノ海に敗れた瞬間は、座布団が乱れ飛び、ものすごい大騒ぎでした。もちろん時代が違いますが、若貴ブームの頃に比べても、大相撲の人気が低迷しているのは寂しいですね。


ある霊能者によれば、貴乃花双葉山の生まれ変わりだそうです。
ちなみに、双葉山は昭和43年に亡くなり、貴乃花は昭和47年に誕生しています。
そういえば、新興宗教との関わりなど、両者の共通点は多いですね。
貴乃花親方は、角界の改革を真剣にめざしています。
彼が日本相撲協会の理事長になれば、大相撲も変わるような気がします。
それにしても、右目が見えない状態で69連勝を成し遂げた双葉山は偉大ですね。


双葉山といえば、「いまだ木鶏たりえず」という言葉で有名です。
これは、中国古典の『荘子』に出てくる言葉です。
あふれる才能を内に秘めつつも、平然とした顔で立っている木鶏。
荘子は、そういう木鶏の姿に理想の人間像を見たのです。
双葉山が70連勝に失敗した後、緊張の糸が切れたのか、立て続けに負けました。寡黙で有名だった双葉山が、その頃に言った言葉こそ、「いまだ木鶏たりえず」でした。
そして、双葉山にその言葉を教えた人物こそ、かの安岡正篤でした。
世紀の大横綱双葉山は、安岡正篤の愛弟子だったのです!



ここ数日、わたしがブログでご紹介している安岡正篤の著書は、致知出版社から刊行されています。致知出版社には「致知」という月刊誌があり、わたしも購読しています。
その「致知」の読者による自主運営の勉強会の名前を「木鶏クラブ」といいます。
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2010年11月16日 一条真也