東京自由大学講義

一条真也です。

東京に来ています。
昨夜、ついに、神田の「東京自由大学」で講義しました。
「21世紀世界地図」の講座で、テーマは「現代の冠婚葬祭」でした。

 
                 「神田の学び舎」で講義しました


東京自由大学は小さな市民大学ですが、学長の海野和三郎先生、理事長の鎌田東二先生の人脈もあり、これまで信じられないような豪華メンバーが講義をしてきました。
山折哲雄島薗進中沢新一茂木健一郎鏡リュウジ松岡正剛細野晴臣玄侑宗久荻野アンナ香山リカといった方々・・・・・それに、あの美輪明宏さんまで!
本当に、多種多様なフロントランナーたちが訪れている「神田の学び舎」に呼んでいただき、嬉しかったです。なにしろ、次回は政治哲学者の小林正弥氏(マイケル・サンデル『これからの「正義」の話をしよう』の訳者でもあります)が「正義」について語り、その次は、なんと内田樹氏が「身体」について語るというのです。うーん、すごい!
わたしは、東京自由大学こそは「知の梁山泊」であり、真の「リベラルアーツの殿堂」であると思っています。とういうわけで、東京自由大学で講義をさせていただくというのは、大変な名誉なのであります。


                    法螺貝の奏上でスタート


今日は第1部として最初に90分の講義、次に60分の質疑応答を含むオープンカフェ、第2部として『満月交感 ムーンサルトレター』の出版記念会という構成でした。
講義に先立って、前日に葬儀が行われたばかりの東京自由大学スタッフであった吉田美穂子さんの御冥福を祈る黙祷が行われました。それから、司会役である鎌田東二先生が講師紹介をして下さり、さらに法螺貝を吹いてくれました。
マイクを渡された後、わたしは「わたしも今日は大いにホラを吹きますので、よろしくお願いします。ウソはつくな、ホラは吹けがわが信条ですので」と言いました。
それから、日本における冠婚葬祭の現状や社会背景などを説明し、わが社の取り組み、それからわたしの考え方などをお話しました。


                   最初に90分の講義をしました
                  「天下布礼」について説明しました


天下布礼」についても説明しました。冠婚葬祭業の経営、執筆、大学の教壇に立つことを貫くキーワードです。それは、「人間尊重」思想を広く世に広めることです。
わたしは、冠婚葬祭ほど価値のあるものはないと心の底から思っています。なぜなら、何よりもまず、万人にとっての大問題である「結婚」と「死」に関わる仕事だからです。
結婚は最高の平和である」や「死は最大の平等である」というお話もしました。


                     鎌田先生と意見交換


それから、『葬式は必要!』に代表される儀礼必要論についても話しました。
約10万年前にネアンデルタール人が死者を埋葬した瞬間、サルがヒトになったともいわれ、葬儀は人間の存在基盤とも呼ぶべき文化です。
孟子は「人生の最大事は親の葬礼なり」と述べ、共産主義の生みの親であるマルクスにもっとも影響を与えた哲学者のヘーゲルも「親の埋葬倫理」を唱えています。
あらゆる宗教や哲学が肉親を弔うことの重要性を説き、古今東西、親が死んで、葬式を出そうと思えば出せるのに金がもったいないからといって出さなかった民族も国家もまったく存在しません。そんな前代未聞の存在に日本人がなってしまったら、これはもう世界の恥どころではなく、人類史上の恥です。
薬物禁止キャンペーンのコピーである「覚せい剤やめますか、それとも人間やめますか」にならえば「冠婚葬祭やめますか、そして人類やめますか」というところです。
わたしは自分の職業や立場に関係なく、本気でそう思います。
今夜は、そんなことを中心に、「神田の学び舎」で大いに吼えてしまいました。


                  渡辺和子さんの質問を受けました

                    質問にお答えしました


質疑応答では、東京大学名誉教授でもある海野和三郎先生が質問して下さいました。
わが社の「サンレー」という社名が「SUNRAY」、つまり太陽光線に由来することを取り上げられ、「太陽光線ほど良質のエネルギーは宇宙にない。また、太陽光線ほど良く働くエネルギーもない」とおっしゃっていました。
太陽と月の大きさが同じであることの不思議も語られていました。まったく同感です。
海野先生のたたずまいは幽玄を思わせ、その思想は非常に深遠です。
まさに、海野先生こそは「現代の老子」であると再確認いたしました。



それから、「命・地球・平和産業協会」の代表である渡辺和子さんも、いくつかの非常に有意義な質問をして下さいました。
ブログ「いのちを考えるゼミ」で紹介した昨年2月のセミナーで渡辺さんとは初めてお会いしたのですが、その後、わたしの著書をたくさん読んでいただいたようです。
この日、便箋7枚にもおよぶ丁重なお手紙を渡辺さんから頂戴しました。
渡辺さんは拙著『ハートフル・ソサエティ』と『ハートフル・カンパニー』を読まれて非常に感激されたそうです。いつも2冊を持ち歩かれて、中国や北朝鮮への出張の際にも持参されたとか。しかし、残念なことに北京のホテルに本を置き忘れてしまいました。
帰国後、書店を回ってもその2冊はなかなか置いていなかったそうですが、わたしの他の著書は必ず何かが置いてあったので、その本を購入していただきました。
ちなみに、渡辺さんはアマゾンなどのネット注文はしない方だそうです。
本は、必ず書店で求められるという主義の持ち主なのです。



あまりに嬉しかったので、お手紙の一部を以下に紹介させていただきます。
「『法則の法則』、『人間関係を良くする17の魔法』、『茶をたのしむ』、『花をたのしむ』、『葬式は必要!』、『愛する人を亡くした人へ』、『むすびびと』、『結魂論』、『龍馬とカエサル』、『ロマンティック・デス』、『最短で一流のビジネスマンになる! ドラッカー思考
・・・・・私はずっと『ハートフル・ソサエティ』を求めて書店回りをしている内に、何だか天が私の個の生き方から生と死、愛、リーダーシップと読み進めるように導いて下さっていると思い始め、拝読していきました。そして、いよいよ12、13冊めに『ハートフル・カンパニー』と『ハートフル・ソサエティ』を注文で手にすることができました。(中略)満を持して天から届いたように貴重に思えました」
それから、渡辺さんは13冊の著書についての感想を手紙に綴って下さいました。
わたしは魂が震えるほど感動して、ありがたくて仕方ありませんでした。
そして、思わず、手紙に向って手を合わせてしまいました。
渡辺さん、本当にありがとうございました。



昨年のセミナーでも、渡辺さんは「志」についての深い質問をして下さいました。
そのことを鎌田先生に申し上げたところ、「渡辺さんほど志をもって生きている人はいないよ!」と言われていました。社会を良くするために東奔西走しておられるそうです。
本当に、東京自由大学には素晴らしい方がたくさんいらっしゃるものです。
それはともかく、わたしの著者をネット以外で購入される場合は、ぜひ出版社に直接注文していただければ、確実にお手元に届くかと思います。
ちなみに、『ハートフル・ソサエティ』、『ハートフル・カンパニー』の版元である三五館の電話番号は、(03)3226−0035 です。
なお、今年の秋には、『ハートフル・カンパニー』の続編となる『ホスピタリティ・カンパニー』(仮題)を三五館から本名で上梓する予定です。どうぞ、ご期待下さい。



海野先生や渡辺さんの他にも、活発な質問、貴重な意見が多く出されて、1時間のオープン・カフェはあっという間に過ぎ去ってゆきました。
オープンカフェの終了後は、お買い上げいただいた『満月交感 ムーンサルトレター』にサインをしたり、多くの来場者の方々と写真撮影したりしました。
今日は、みなさんとお会いできて、本当に幸せでした。
みなさん、どうも、ありがとうございました!


                    来場者の方と記念撮影


2011年1月22日 一条真也