「無縁社会」キャンペーンの正体?

一条真也です。

無縁社会」キャンペーンが、ついに正体を見せはじめたのでしょうか?
「Yahoo! ニュース」に「NHK『無縁社会』で過剰演出 ネット軽視だ!出演者から苦情相次ぐ」のタイトルで、「夕刊フジ」2月17日号の記事が紹介されていました。


                  「Yahoo! ニュース」より


その記事には、次のように書かれています。
「人間関係が希薄で、孤独死が増える日本。この現状をリポートするNHKのドキュメンタリー企画『無縁社会』の取材手法に批判が相次いでいる。番組にかかわった複数の出演者が、意図的に『無縁』を演出されたとして、過剰演出と不満を募らせているのだ」
事の発端は、11日に放映されたNHKスペシャル「無縁社会〜新たなつながりを求めて〜」の内容にあったようです。わたしは出張中でこの番組を見ていませんが、録画はしてあるので、近いうちに見ようとは思っていました。



また放送の翌日、アルファブロガー池田信夫氏が自身のブログで、「昨夜のNHKの『無縁社会』の番組が、あちこちで話題になっている。私は『働く世代の孤立を防げ』というタイトルだけで見る気がしなかったが、内容は想像以上に恥ずかしいものだったようだ」と述べていたので、気にはなっていました。
その記事のタイトルは、「『無縁社会』キャンペーンの恥ずかしさ」となっています。
池田氏は、NHK「無縁社会」および朝日新聞「孤族の国」キャンペーンを「有縁社会」へのノスタルジーに満ちているとして批判しているようです。
また、「無縁社会」や「孤独死」を肯定している島田裕巳著『人はひとりで死ぬ』(NHK出版新書)の内容を高く評価されているご様子。
「有縁社会」の再生をめざすわたしとは明らかに意見が違いますが、NHK「無縁社会」キャンペーンをまったく認めていない点では同じです。



サロンの達人」こと佐藤修さんも、「無縁社会」キャンペーンに対して批判的です。
佐藤さんは、自身のブログの1月26日の記事「NHKは『無縁社会』を推進したいのでしょうか」で、わたしが書いたブログ『人はひとりで死ぬ』を紹介してくれました。さらにNHKの「無縁社会」キャンペーンに対しての怒りを表明し、次のように述べられています。
「最近、NHKの会長を誰にするかが話題になっていましたが、まともな人が会長になったら、こんな破廉恥なキャンペーン(発想が逆です)は見直すでしょうが、議論しているメンバーにはそんな感受性はないかもしれません。
現実を変えていくのがキャンペーンの意味であって、現実を追随し問題を固定化させることはキャンペーンというべきではありません。
少なくとも私の視聴料金は使ってほしくありません。
問題を創りあげて『利益』を得るのが、近代産業の常套手段です。
いわゆる「ソリューションビジネスモデル」ですが、社会の成熟化により、生(なま)の問題がなくなってくると、自分たちで問題を創り出すというおかしなことが起こり出します。
これは『産業のジレンマ』の典型例ですが、無縁社会論も、その言葉と事実をはやらせることで私服を肥やす人は少なくないのです」
さすがは佐藤さん! まったく同感です。



NHKは明らかに「無縁社会」という結論ありきで番組を作っているようです。
いたずらに人々を絶望させ、不安に陥れて、いったいどうするのでしょうか?
そのほうが視聴率が取れる番組が作れるのでしょうか。
佐藤さんの「現実を変えていくのがキャンペーンの意味であって、現実を追随し問題を固定化させることはキャンペーンというべきではありません」という言葉は至言です。
これから、「無縁社会」キャンペーンはどうなってゆくのでしょうか?


2011年2月18日 一条真也