「あなたたちは一人じゃない」

一条真也です。

わたしは、「サロンの達人」こと佐藤修さんのブログを毎日読んでいますが、ここ2日ほど更新されませんでした。佐藤さんは、千葉県の我孫子市にお住まいです。
何かあったのかと心配していましたが、今日、久々にブログを更新されていました。
それによれば、「節電の呼びかけにやっと気づいて、テレビやパソコンを自粛していました」とのこと。また、「ブログを書いていませんが、不要不急のブログを自重しているだけです」とも書かれていました。ひと安心です。
その佐藤さんのブログで、日本を励ます「あなたたちは一人じゃない」というYouTubeの映像が紹介されていました。友人の方がメーリングリストに流してくれたそうです。


ブログ「ハートフル・ソングス♪」で紹介したUSA FOR AFRICAの「WE ARE THE WORLD」に乗って、さまざまな日本に対するエールやメッセージが流れてきます。
その中で、国連からの「日本は今まで世界中に援助をしてきた援助大国だ。今回は国連が全力で日本を援助する。」というメッセージを見て、考えさせられました。
そうか! 日本って、援助大国だったんですね。
BBCでは、「地球最悪の地震が世界で一番準備され訓練された国を襲った。その力や政府が試される。犠牲は出たが他の国ではこんなに正しい行動はとれないだろう。日本人は文化的に感情を抑制する力がある。」とのコメントを放送しました。



ブログ「マナー世界一」で紹介した、混乱状況の中でも規律を守って行動している日本人のマナーの素晴らしさを称賛する言葉が登場します。
ツイッターの「外国人から見た日本人」というつぶやきでは、「外国人から見た地震災害の反応。物が散乱しているスーパーで、落ちているものを律儀に拾い、そして列に黙って並んでお金を払って買い物をする。運転再開した電車で混んでいるのに妊婦に席を譲るお年寄り。この光景を見て外国人は絶句したようだ。本当だろう、この話。すごいよ日本。」という言葉が書き込まれていました。



他の国では考えられない「正しい行動」がとれたのは、わたしたち日本人が先祖のDNAを受け継いできているからだと思います。
そのDNAとは、「思いやりの心」「うやまいの心」「つつしみの心」です。
これらの心は、“小笠原流礼法”として武士たちに流れていきました。
また、武士だけでなく、“江戸しぐさ”のように庶民にも流れていました。
中国の人々が感動した一枚の写真。帰宅難民となった日本人が新橋駅に座っていた写真。通行人のために通路を確保し、多くの人々が規律正しく座っていた姿に感動し、「中国は50年後でも実現できない」との声さえ出ました。
この新橋駅での規律正しさなど、まさに“江戸しぐさ”そのものではないですか!



昨日、首都圏で初の計画停電が実施されました。
東京電力の連絡が遅かったせいで電鉄会社各社の対応が遅れ、通勤の足が大いに混乱しました。そのときも、首都圏に住む人々は規律正しく駅の構内や外に並んで忍耐強く待っていました。その光景を北九州の自宅のテレビで見たわたしは、新宿駅で、浦安駅で、横浜駅で、信じられないほど長く続いている人の列をながめながら、「日本人は礼儀正しい」と心から思いました。そして、日本人であることを誇りに思いました。
天下布礼」の旗を掲げてきたわたしは、この日本に“小笠原流礼法”や“江戸しぐさ”の精神がちゃんと生きていて、それに世界中の人々が感動しているという事実が、本当に嬉しくて、ありがたくて、仕方がありません。
幕末の頃に日本を訪れた外国人の多くが、日本人の礼儀正しさに強い感銘を受けたといいます。このたびの未曾有の大災害に遭っても、なお礼儀正しい日本人の姿は、必ずや人類社会に良き影響を与えるものと信じます。



これまで、日本人は「自己主張ができない」とか「空気を読むばかりで自分というものがない」などと批判され続けてきました。
しかし、BBCがいうように、「日本人は文化的に感情を抑制する力がある」のでしょう。
日本人の「こころ」の中には、神道も仏教も儒教も混在しています。
それぞれの宗教を「なんでもあり」で、「いいとこどり」しています。
神道は「情」、仏教は「慈悲」、儒教は「仁」を重んじます。
いずれも、他者を思いやる「こころ」です。
そして、それはキリスト教の「隣人愛」にもつながっています。
ブログ『隣人の時代』にも書いたように、いま、世界中の多くの人々が隣人愛を示しています。「WE ARE THE WORLD」の歌詞のように、わたしたちは一人ではありません。わたしたちの真の国籍とは、地球です。



そして、改めて思うことは、「無縁社会」や「孤族」などありえないということ。
わたしたちの周囲には、目に見えない「縁」の糸がたくさん張り巡らされています。
今回の地震で、行方が知れなかった家族や隣人と再会した被災地の方々は、みな抱き合って号泣されていました。おそらく、その方々は「血縁」や「地縁」というものを強く再認識し、その「有り難さ」「かけがえのなさ」を痛感されたことでしょう。
その光景をテレビで観ているわたしたちも、また同じ気持ちになりました。
そして、日本を励ましてくれる世界中の人々の善意を前にして、わたしたちは「すべての人類は、地球に生まれたという縁を持っているのだ」ことに気づきます。
いわば、「地球縁」とでもいうべき大きな縁です。人類は、みな隣人なのです。
昨日、『隣人の時代』(三五館)の見本が出ました。
わたしは、本当に「隣人の時代」が到来したように思えてなりません。



最後に、ひとつだけ、言いたいことがあります。
マナー世界一」と世界中から称賛されている日本人。
世界中の国々に「国家の品格」を堂々と示した日本人。
くれぐれも、生活に必要なもの以外の商品を買い占めるような行為だけは慎んでほしいものです。東京の人々が都知事のいう「我欲」を丸出しにすれば、本当に困っている東北の人々に物資が行き渡らなくなります。また、こういう非常時に物を買い占めて儲けようとしている商売人がいるとしたら、その者は「人間失格」であると思います。
それこそ、そのような人間失格者には「天罰」が下るのではないでしょうか。


2011年3月15日 一条真也