映画「ブッダ」の感想

一条真也です。

映画「手塚治虫ブッダ〜赤い砂漠よ、美しく」が、28日(土)に全国公開されました。
わが社の社員もたくさん観たようですが、なかなか好評です。
セクレタリー」ことサンレー秘書室の織田祐子さんは博多の映画館で観たとのこと。
「すごく良かったです。ラストは感動しました!」と言っていました。
その映画館には、多くの僧侶の姿も見られたそうです。


東京在住の知人にも何人か映画のチケットをお渡ししたのですが、早速観に行かれた方々が数人いらっしゃいました。感想をお聞きすると、いずれも好評でした。
わたし自身の感想は、ブログ「手塚治虫のブッダ」に書きました。
わたしは、いま、『ブッダの考え方』(中経の文庫)という本を執筆中です。ブッダの考え方の基本である「生老病死」の苦悩を知るためには最適の映画です。また、インド社会のカースト制度に疑問を抱き、絶対の「平等」を唱えた部分もよく描けています。
ただ、映画の中のブッダが歴史上のゴータマ・シッダールタとそのまま同じかというと、もちろん、そんなことはありません。やはり映画ですから脚色されていますし、そもそも原作の手塚治虫のコミックからして、作者の視点が強く入り込んでいます。
だから、映画のタイトルも単なる「ブッダ」ではなくて、「手塚治虫ブッダ」なのです。


カラオケ・キング♪」こと日本経済新聞社の鈴木慎一さんからメールが届きました。
鈴木さんにもチケットをお送りしたのですが、早くも御覧になられたそうです。
ご本人の了承を得ましたので、以下にメールの内容を紹介いたします。
「公開初日の28日(土)に立川シネマシティーで『ブッダ』をみてきました。
70数人の小さな劇場でしたが、ほぼ満席で年配の方が多かったのが印象的でした。
きっとみなさん昔からの手塚治虫ファンで、真っ先に見たいと思った方々でしょう。
私も手塚ワールドを堪能させていただきました。
途中で涙をぬぐったり鼻をすすったりする人も結構いました。
子供はほとんどいなかったのですが、私の斜め前に小学校低学年と思われる女の子が親御さんと来ていました。
シッタールタが修行に入るまでを描いた作品なので、登場人物がみんな不幸になったり殺されたりで、あの子にはテーマが重過ぎるだろうなと思いました。小学校低学年は『ドラエもん』とか見た方がいいですよね。ファンタジーの世界がいいと思います。
作品の中で、貧しい夫婦がわが子を火葬するシーンがでてきますが、あれは間違っていると思います。私もインド駐在中に何度かヴァラナシに行って、火葬もみてきましたが、子供の場合、火葬はせずに遺体をそのままガンジスに流します。2500年前のインド北部からネパールにかけての地域の話なので事情が違うのかもしれませんが。
今もインドでは貧しい人や行き倒れの人には火葬する薪を買えなくて、遺体をそのままガンジスに流すケースがあります。完全に灰になるまでに相当な薪が必要なので中途半端な火葬でガンジスに流すケースもあります。
貧困にあえぐ人があふれるインドは2500年後の今もあまり変わらないのかもしれません。いろいろと考えさせられる映画でした。
吉永小百合のナレーションがよかったですね。
チケットほんとうにありがとうございました。
また東京においでの節はご連絡ください」



鈴木さんは大の映画通で、わたしともよく映画の話題で盛り上がります。
それだけでなく、日経新聞のインド支局長として数年間インドに滞在しておられました。
ですから、インドの人々の生活や信仰には非常に詳しいです。
その鈴木さんからの映画の感想は大変参考になりました。
東映さんをはじめ、関係者各位にもぜひ読んでいただきたいと思います。
特に、わたしは現地での火葬についてのコメントが勉強になりました。
わたしも足が治ったら、ぜひインドに行って、ブッダが歩んだ足跡をたどりたいと願っています。もちろん、その頃には刊行されている『ブッダの考え方』をバッグに入れて。


2011年5月30日 一条真也