『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』

一条真也です。

岸辺露伴 ルーヴルへ行く』荒木飛呂彦著(集英社)を読みました。
ルーヴル美術館バンド・デシネプロジェクト作品として描かれた作品です。
著者初のフルカラーコミック123ページで、まるで画集のように美しい本です。


            荒木飛呂彦初のフルカラーコミック123ページ!


ブログ『死刑執行中脱獄進行中』で紹介した著者の短編集があまりにも面白かったので、早速アマゾンで処女作の『魔少年ビーティー』、第2作の『バオー来訪者』、そして初短編集の『ゴージャス★アイリン』などを注文して、一気に読みました。
どれもそれなりに面白かったのですが、絵のタッチなどが現在とは違って、著者が進化する漫画家であることを実感しました。
そして、その進化のたどりついた先が、著者の最新作である本書です。
今年5月に刊行されたばかりの本ですが、もう、ブッチギリの面白さ!
しかも、実際にルーヴル美術館で作品が展示されたことからもわかるように、アートとしても最上級のレベルにあります。さらには、著者本人が意識して描いたと語っているように本書には日本文学としての香りもプンプン漂ってきます。



主人公の「岸辺露伴」とは、著者の大作『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部に登場する人気漫画家です。わたしは未読なのですが、奇妙なキャラクター揃いの『ジョジョ』の中でも特に奇妙な人物として描かれているとか。
漫画家としての彼は、作品のリアリティを何よりも重要視しています。なんと、妖怪伝説の取材のためだけに山を6つも買って破産したというエピソードもあるそうです。
また彼は人間を本にして、記憶を読んだり命令したりできる超能力の持ち主とか。
そんな彼が、初恋の女性が残した謎の言葉から「世界一黒い絵」の存在を知ります。
そして、その絵を追って渡仏、“美の殿堂”ルーヴル美術館へと向うのです。



定価が2667円とコミックにしては高めですが、本書はコミックというより画集ととらえたほうがいいでしょう。サイズも画集並みで、重さも結構あります。
片手で気軽に読むというより、机の上に置いてゆっくりと楽しみながら読む本です。
とにかく美しく、ストーリーが素晴らしい一冊です。
最初のページを開いた瞬間から、もうスッと物語の世界へ入って行けます。
これほど、絵と物語が最高のレベルで融合した漫画を見たことがありません。
日本の漫画の歴史においても、最高傑作の一つではないでしょうか。
というより、この作品で漫画という表現ジャンルがさらに進化した気さえします。
芸術作品として生まれた漫画の凄みを、ぜひ体験していただきたいと思います。
なお、わたしはルーヴルがお気に入りで、これまで数回訪れています。
本書には、かの美術館の雰囲気もよく描かれていました。


2011年7月11日 一条真也