政経よもやま話

一条真也です。

今日は、早朝から松柏園ホテルの神殿で「月次祭」が行われました。
その後、恒例である「平成心学塾」が開かれました。
ブログ「杖は知恵のシンボル」で紹介した杖をついて、わたしは演壇に立ちました。


                   平成心学塾で話しました          


今日は、午後から会場の松柏園に政経懇話会の大きな集会が入っています。
自見庄三郎郵政・金融大臣の主宰ですので、もちろん大臣もお見えになります。
警備や準備の都合もあるので、いつもより早めに話を切り上げました。
政経懇話会を意識してということではありませんが、わたしは珍しく政治の話から始めました。「最小不幸社会」の実現をめざしてスタートした菅内閣ですが、12日に厚生労働省が発表した「2010年国民生活基礎調査(概況)」によると、16%という過去最悪の貧困率になったことが判明しました。
原発問題も深刻ですが、こちらも非常に深刻な問題です。
16%という数字は、国が併せて公表した1985年以降の貧困率と比べても最悪の水準でした。18歳未満の子どもが生活の厳しい家庭で育っている割合を示す「子どもの貧困率」も15.7%と過去最悪の水準でした。世帯構成を見ると、「高齢者世帯」が2010年の時点で1020万7000世帯(推計)と、初めて1000万を突破しました。
じつに、全世帯(約4864万)の21%を占めます。
日本で高齢化が急速に進行している実態を裏付けました。


                 互助会のあるべき姿を語りました


日本社会が貧困に直面している今こそ、互助会の出番ではないかと思っています。
昨日、わが社が大分県中津市に新たに建設する結婚式場の地鎮祭が行われました。
おかげさまで、冠婚・葬祭ともに施設の建設がたくさん予定されています。
しかし、わたしは、今後の互助会は本業である冠婚葬祭事業以外にもさまざまな相互扶助への取り組みを示すべきだと考えています。
ホームレス支援もそうですし、被災者の就業サポートもそうですし、経済的に余裕のない高齢者が年金だけで暮らせる高専賃事業もそうです。
愛する人を亡くした人の悲しみを癒すグリーフケア・サポートもそうです。
もちろん、孤独死を減少させる「隣人祭り」の開催サポートもそうです。
困っている人がいたら、「どうやって助けるか」を考えること。
それが今後の互助会のあるべき姿だと思えてなりません。
また、あるべき姿になれば、互助会は互助社会実現へのエンジンとなります。
つまり、社会に最も必要な事業となり、国民から大きな支持を得るはずです。



それから、わたしが手に持っている杖を示して、次のような話をしました。
ギリシャ神話によるとテーバイ王の子オイディプスは怪物スフィンクスから謎をかけられます。「朝は四本足、昼はニ本足、晩は三本足をもつ動物は何か」と。
正解は人間でした。幼児は四本の手足で這い、成長するとニ本足で歩き、やがて年老いて杖にすがるわけです。すなわち、杖とは人間が創造した第三の足なのです。
ヨーロッパでは昔、足が悪くなくても聖人や学者は杖を持ったそうです。
なぜなら、それが知恵のシンボルとされたからです。
人類が杖に対して抱いてきた感情は、並なみならぬものがあります。杖とは、知恵や幸福が宿るものであり、人類は杖に指揮されて生きてきたのかもしれません。
わたしが「足が治った後も、杖を持ち続けたい」と言うと、みんな驚いていました(笑)。
足といえば、昨夜読んだ『ブッダ 神々との対話』『ブッダ 悪魔との対話』(ともに中村元訳、岩波文庫)の両方に、ブッダが足に怪我をしたエピソードが出てきて考えさせられました。『ブッダの考え方』という本を書いているときに、わたしが足を骨折したのも何かの意味があるのかもしれないなどと思いました。



その他は、大量死と日本文化の関係とか、観光とホスピタリティについてとか、応接間にお客様を迎えるときのマナーとか、亡くなられた宮尾すすむさんの「ああ日本の社長」の話とか、思いつくままに話していたら、あっという間に時間が来て、あわただしく訓話を打ち切りました。今日も非常に暑くなりそうです・・・・・。


2011年7月16日 一条真也