「上を向いて歩こう」

一条真也です。

普段はあまりテレビを観ないわたしですが、今夜は珍しくNHKの番組を観ました。
上を向いて歩こう〜日本人の希望の歌 その真実」という番組です。
音楽史に残る名曲が日本で誕生し、世界中で愛された背景が紹介されていました。


                       689トリオ

                「上を向いて歩こう」のテレビ初登場シーン


戦後の日本人に希望を与え、阪神淡路大震災のときも歌われ、現在も東日本大震災の被災者の人々に勇気を与えている稀代の名曲「上を向いて歩こう」。
この歌が誕生してから、この7月で50年になります。
半世紀に渡って日本人の心をとらえ続けたこの歌は、永六輔、中村八大、坂本九という3人の才能の合体によって生まれました。いわゆる「689トリオ」ですね。
3人と親交が深く、この歌と縁も深い黒柳徹子さんは、「ふつう、名前に数字が入っている人は珍しい。それが3人揃ったのだから運命的なものを感じた」と言われていましたが、まさに天が3人を引き合わせたのかもしれません。


                    仕掛け人の石坂範一郎

                 石坂が仕掛けた世界プロモーション


作曲家の服部克久氏が解き明かす、中村八大の作曲マジック。
安保闘争で挫折した永六輔が歌詞に込めた思い。
そして、まさにテレビという新世代のメディアの申し子だった坂本九の登場。
いずれも非常に興味深く感じました。
また、「上を向いて歩こう」を世界に向けて売り出した仕掛け人がいたことを初めて知りました。当時の東芝レコードの重役だった石坂範一郎という人物ですが、彼がヨーロッパ・ツアーを企画し、アメリカ上陸を実現させたのです。
「SUKIYAKI」というタイトルも彼の発案だそうです。
この人、ハンサムでダンディ! その上、アイデアと教養と国際感覚が豊かでした。
わたしは思わず、白洲次郎石津謙介を連想してしまいました。
彼の子息は、音楽評論家でユニバーサルミュージック会長の石坂敬一氏です。
日本レコード協会の会長も務められる音楽界のリーダーですが、若かりし頃は東芝EMIでビートルズピンク・フロイドを手がけた伝説のディレクターとして知られました。
音楽に対するワールドワイドな感覚は、親子二代に渡っていたのです。


                ついに、ビルボードの1位に輝く!

               米国内の日系人に大きな勇気を与えた


「SUKIYAKI」とタイトルを変えた「上を向いて歩こう」は、ついにアメリカのビルボードで1位の栄冠に輝き、その年のゴールド・ディスク賞も受賞します。
英語以外の言語で歌われた曲としては史上初でした。
1963年ですから、わたしが生まれた年の快挙です。
この快挙が、いかに日本人に勇気と希望を与えたことか!
戦後の復興期に日本国内で頑張っていた日本人はもちろん、米国内で肩身の狭い思いをしていた日系人たちも大喜びだったそうです。
「すべての武器を楽器に」という喜納昌吉さんの名言がありますが、最初は黒船で脅され、最後に原爆を2発も落とされたアメリカの国内で日本人の歌が大ヒットして、多くの米国人から愛されたという事実に、わたしの胸は熱くなります。
孔子は「礼」とともに「楽」を重視して、「礼楽」を唱えました。
「楽」とは音楽のことです。まさに、音楽とは究極の平和なのかもしれません。
番組では、高齢になった日系人の人々が目に涙を浮かべながら「上を向いて歩こう」を歌う場面が出てきましたが、それを観てわたしの涙腺も緩んでしまいました。


                   黒柳徹子さんのコメント

                   吉永小百合さんのコメント


黒柳徹子さんも、今でもこの歌を聴くと、涙が出そうになるそうです。
「喜びだけでなく、みんなの悲しみもやっぱり吐き出させるものもあるんじゃないですかね」と言われていたのが印象的でした。
また、映画「上を向いて歩こう」で坂本九と共演した吉永小百合さんは、「坂本九さんという人が、なんかずっと空の星になって私たちを見守って、上から頑張れよって言ってくれてるようですね」と言われていました。


                   奇跡の名曲よ、永遠なれ!
                  

今でも、多くの日本人がこの歌を愛唱しています。
ブログ「星のうた♪」で紹介した「見上げてごらん夜の星を」も、よく歌われています。
さらには、「明日があるさ」といい、「涙くんさよなら」や、「幸せなら手をたたこう」といい、坂本九の歌には本当にポジティブなものが多いことに気づきます。
きっと、天から大いなる使命を与えられていた人だったのでしょう。
そして、彼のポジティブ・ソングの最たるものが「上を向いて歩こう」でした。
この歌は、国家や民族や言語を超えて、信じられないほど多くの人々に愛されました。
なんと、1000万枚以上もレコードが売れたそうです。
まさに人類的名曲! この歌なら、宇宙人だって気に入るのではないでしょうか?
奇跡の名曲「上を向いて歩こう」よ、永遠なれ!


2011年7月18日 一条真也